【6540】船場/進捗率の見栄えが悪いが、翌期の年46円配当の可視性は高まったとみる。 | なちゅの市川綜合研究所

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【6540】船場(東証スタンダード)  BY

現在値 878円/100株  P/E 12.9  P/B 0.78   12月配当 株主優待なし

商業施設の企画、設計から監理、施工までを一貫。売上の1割強がイオン系。
配当は12月末一括の35円配当のため、配当利回りは3.99%となります。船場は株主優待制度を実施しておりません。

業績を確認していきます。

■2020年12月期 売上高 217億円、営業利益 3.8億円、EPS 97.3円

■2021年12月期 売上高 192億円、営業利益 4.6億円 EPS 35.3円  
■2022年12月期 売上高 228億円、営業利益 7.7億円 EPS 29.1円

■2023年12月期 売上高 240億円、営業利益 8.0億円 EPS 48.7円 ce

□2023年6月2Q 売上高 111億円、営業利益 3.4億円 EPS 41.1円  

□2023年9月3Q 売上高 158億円、営業利益 4.3億円 EPS 53.4円(11/13) 
 

2023年6月中間期の売上高はYoY▲13.0%の111億円、営業利益はYoY▲35.7%の3.4億円となり、減収減益ながらも計画線を確保しました。国内は大型店の出店延期や競合との価格競争激化の影響を受け、専門店・オフィス・レジャー等が軒並み減となった一方、海外は新型肺炎禍の一巡により、台湾を筆頭に軒並み増収を確保しました。個別の大型案件として「三井アウトレット木更津リセール店」「三井ららぽーと/アウトレット大阪門真」を、海外は「イオンモールミェンチェイ」を引き渡しています。


2023年12月期の通期見通しは2Q前に微修正しており、売上高はYoY+5.2%の240億円、営業利益はYoY+3.1%の8.0億円と期初予想を据え置く一方、不動産売却特益で最終利益のみ2億円増額しています。進行期は元より下期偏重予定だったものの、上期末時点の受注残は大型店を中心にYoY+54.4%の65.0億円まで膨らんでおり、中間上振れ着地と採算性向上等を考慮すれば予算は達成公算が高い状況です。尚、11月13日に公表済の3Qは売上高158億円&営業益4.3億円で進捗しています。

当社は2024年12月期を最終年度とする中計で、向こう3年間で売上高を192億円→280億円、営業利益は4.6億円→11.0億円に引き上げる計画です。売上依存度が高かったイオングループ向けの売上は、同社の投資意欲後退でかつての2割から1割まで低下しています。そのため顧客ポートフォリオの再構築を推進しており、従来の商業施設から教育分野やオフィス分野の新規顧客開拓や、エシカル・デジタルといった新領域を推進します。

 

エシカルについては、廃棄物リサイクル率が9割程と非常に高いエシカル型の設計施工によりESG志向の顧客に高付加価値を訴求しており、本年6月にはスマイルズの企画による新型の在庫処分店「KISARAZU CONCEPT STORE(三井アウトレット木更津)」の内装を手掛け、工事産廃の完全リサイクルを実現しています。

 

このほか、3次元モデリングのBIM活用によるデジタル設計を推進しており、VRやARへの拡張運用だけでなく、生産性向上による業務効率化でコスト削減も進捗しています。なお30年前から進出している海外事業については、進出済の香港・台湾・SG・上海・ベトナムにくわえ、2019年にマレーシアに進出を果たしており、足許ではイオンモールのカンボジア3号店となるミェンチェイ店でデジタル広告等を手掛けるなどしています。

 

財務状況については、当社は無借金経営を長年に継続しており、保有する現金同等物も90億円程と、じゃぶじゃぶの財務状況を維持しています。そのため株主還元については、特益算入後で配当性向50%オーバーと高水準ではあるものの、2円増配の年35円配当を見込んでいるほか、翌期は更に11円増配の年46円配当と大幅な増配を予想しています。


*参考記事① 2023-05-02 773円 BY

【6540】船場/期初受注残は低調も、翌期予想の年46円配は高配当妙味が意識されよう。

 

*参考記事② 2020-05-16 912円 OP

【6540】船場/通期ガイダンス撤回も、好財務原資に配当は前期据え置きか。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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