【8892】日本エスコン/京都の賃貸大手・四条大宮ビルを買収、ストック賃貸収入が着実増。 | なちゅの市川綜合研究所

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【8892】日本エスコン(東証プライム)   BY

現在値 897円/100株  P/E 8.55  P/B 1.28 6月株主優待 12月配当

京阪神を中心に分譲マンションを展開。09年に事業再生ADRを終結。
配当金は3月末一括の48円の配当で、配当利回りは4.28%(*12ヵ月割戻)となります。

日本エスコンは株主優待制度を導入しており、10単元以上を1年以上保有する6月末株主に対して、1,000円相当のクオカードを進呈しておりますので、配当と合計した配当優待利回りは約4.37%となります。また2年以上の継続保有で進呈額が3,000円となる長期優遇制度も導入しており、その場合の同利回りは約4.55%となります(*12ヵ月割戻、いずれも10単元保有時)。

業績を確認していきます。

■2020年12月期 売上高 773億円、経常利益 111億円 EPS 111.9円 

■2021年12月期 売上高 790億円、経常利益 91億円 EPS 67.4円 

■2022年12月期 売上高 994億円、経常利益 140億円 EPS 76.0円

■2023年3月期変 売上高 1,200億円、経常利益 155億円 EPS 104.5円ce修正

□2023年6月2Q 売上高 479億円、経常利益 63.1億円 EPS 44.1円 

□2023年9月3Q 売上高 619億円、経常利益 70.9億円 EPS 47.9円(10/25) 

 

2023年6月中間期の売上高はYoY+17.3%の479億円、経常利益はYoY+23.0%の63.1億円となり、対前・対計画で増収増益となりました。主力の分譲事業は北広島(全118戸)、高槻(全81戸)、伏見桃山(全73戸)などYoY▲27戸となる全490戸を引渡したものの、高単価・好採算物件が多かったためセグメントでは大幅増収となりました。また賃貸事業も商業施設のリーシング好転で改善したものの、分譲事業以外については、岐阜羽島物流等を売却したものの昨年の大型物件売却反動で減収となりました。

 

なお当社はこの度決算期変更を公表しており、3月決算に移行します。進行期の計算期間を12ヶ月→15ヶ月に延長し、2024年3月期の見通しとして売上高1,200億円&経常利益155億円を見込んでいます。柱の分譲事業は、大橋(全140戸)、本川越(全102戸)、橋本Ⅱ(全84戸)などYoY横ばいの1,268戸を引渡す計画ですが、8末時点契約率は91%水準に達しています。賃貸事業もリーシングの進捗で賃収増加が見込まれるほか、7月末に四条大宮ビル(※後述)を買収しています。なお10月25日公表の3Q決算は、売上高619億円&経常利益70.9億円で推移しており、修正計画線並みの進捗と解されます。


当社は2020年の中部電力への三割増資で204億円の追加出資を受け、持分法から連結子会社(50.3%)成りしています。中電被連結時点での中計目標は、この2023年12月期に売上高1,100億円(CAGR12%)、営業利益160億円(CAGR10%)とする計画でしたが、進行期決算の3ヵ月延長に伴って売上高1,200億円&営業利益180億円に増額しています。昨年、傘下REIT物件拠出に関するコンプラ違反で一部業務停止となり、REIT増資による成長シナリオが後退したものの、足許好調で過達公算が高い状況です。

 

取組事項は、①賃貸利益割合増加(14%→26%)、②年間1,200戸供給体制の確立③中電との連携強化、④新規事業等の強化となっています。①は2,200億円(純額1,900億円)を投じて、ブック保有物件を増やす方針です。2021年に関西を中心に賃貸レジやオフィスビル等を数多く所有するピカソ(年商60億円/経常益16億円)、優木産業(年商30億円/経常益4億円)らを約300億円で取得し、本年7月にも京都を中心に43物件&420億円を所有する四条大宮ビル(年商31億円/経常益20億円)を282億円で取得しており、ストック賃貸収入割合が着実に増加しています。

 

②・③は中電被連結化によるシナジーで同社遊休地の活用案件や中部エリアでの深耕を図ります。実際に白壁や一宮での分譲事業や、植物工場のテクノパーク袋井や名古屋競馬場跡地開発で中電系とJV展開しており、協業成果がみられます。④の北広島球場は命名権のみながら、隣地で分譲住戸(118戸)を完売させたほか、来年はシニア分譲と北広島駅周りで分譲と商業施設/ホテル開業を予定しており、道内プレゼンス拡大を契機に札幌エリアでの開発も推進します。

 

財務面については、中電非連結化による信用力強化により調達金利が抑制出来おり、JCRの長期発行体格付けは、2022年に「A格→A+格」へと上げされています。但し目下の四条大宮ビル買収や積極的な仕入れにより、自己資本比率は再び19.1%まで急速に悪化しています。株主還元に関しては、今次中計で「減配しない」累進的配当政策としており、進行期は決算期修正により年48円配当(配当性向45.7%)を見込んでいます。


*参考記事①  2023-05-13 876円 BY

【8892】日本エスコン/REIT業務改善命令も、好調な分譲事業の牽引で中計は無事達成圏。

 

*参考記事②  2022-12-01  845円 BY

【8892】日本エスコン/REIT運用子会社で行政処分も、柱の分譲・賃貸は軒並み好調。

 

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