【8892】日本エスコン(東証プライム) BY
現在値 876円/100株 P/E 8.88 P/B 1.28 6月株主優待 12月配当
京阪神を中心に分譲マンションを展開。09年に事業再生ADRを終結。
配当金は12月末一括の38円の配当で、配当利回りは4.34%となります。
日本エスコンは株主優待制度を導入しており、10単元以上を1年以上保有する6月末株主に対して、1,000円相当のクオカードを進呈しておりますので、配当と合計した配当優待利回りは約4.45%となります。また2年以上の継続保有で進呈額が3,000円となる長期優遇制度も導入しており、その場合の同利回りは約4.68%となります(※いずれも10単元保有時)。
業績を確認していきます。
■2020年12月期 売上高 773億円、経常利益 111億円 EPS 111.9円
■2021年12月期 売上高 790億円、経常利益 91億円 EPS 67.4円
■2022年12月期 売上高 994億円、経常利益 140億円 EPS 76.0円
■2023年12月期 売上高 1,100億円、経常利益 142億円 EPS 98.6円 ce
□2023年3月1Q 売上高 285億円、経常利益 44.9億円 EPS 31.5円(4/27)
□2023年6月2Q 売上高 460億円、経常利益 52.0億円 EPS 35.6円 ce
2022年12月期の売上高はYoY+25.8%の994億円、経常利益はYoY+54.0%の140億円となり、対前で大幅増収増益となったほか、対計画でも利益は上振れました。主力の分譲事業については、つくば(全218戸)や八尾桜ヶ丘(全72戸)、幕張本郷(全70戸/全70戸)など過去最高の1,185戸(YoY+165戸)を引渡しました。他方、分譲事業以外については、福岡県古賀市玄望園とちばリサーチパークの物流2施設84億円の引渡しと、子会社の戸建販売が堅調だったほか、賃貸事業もピカソグループの通期寄与で増益となり、全セグメントで好調に推移しました。
進行期である2023年12月期の通期予算については、売上高がYoY+10.6%の1,100億円、経常利益はYoY+1.3%の142億円を見込んでいます。柱の分譲事業は、北広島(全118戸)、大橋(全140戸)、本川越(全102戸)などYoY横ばいの1,164戸を引渡す計画ですが、この北広島や小振りの白金・上新庄等も契約完売のため、期初契約率は70%水準に達しています。賃貸事業もリーシング進捗で賃収増加が見込まれるものの、3月開業の球場は命名権のみ取得のため貢献無しとなります。なお、4月27日に1Q決算が公表されており、売上高285億円&経常利益44.9億円で推移しており、引渡し集中により高進捗となっています。
当社は2018年より中部電力の持分法適用会社となり、2020年の三割増資で204億円の追加出資を受け、連結子会社(50.3%)成りしています。中電被連結時点での修正中計目標は、この2023年12月期に売上高773→1,100億円(CAGR12%)、営業利益122→160億円(CAGR10%)とする計画としていましたが、今次公表の単年度予算は目標計数を超過しています。昨年、傘下REIT物件拠出に関するコンプライアンス違反で一部業務停止となり、REIT増資による成長シナリオが後退したものの、好調な分譲事業の牽引でカバー出来る見通しです。
取組事項は、①賃貸利益割合増加(14%→26%)、②年間1,200戸供給体制の確立③中電との連携強化、④新規事業等の強化となっています。①は2,200億円(純額1,900億円)を投じて、ブック保有物件を増やす方針です。2021年末には関西を中心に賃貸レジやオフィスビル等を数多く所有不動産賃貸業者のピカソ(年商60億円/経常益16億円)、優木産業(年商30億円/経常益4億円)らを約300億円で取得しており、のれん償却考慮後で15億円程を上乗せしました。また、上記のCo.違反でREIT拠出の難易度が上がったこともあり、図らずも賃貸利益割合は30%程に迄達する公算となりました。
②・③は中電被連結化による調達力・信用力強化にくわえ、同社遊休地の活用案件や中部エリアでの深耕を図ります。実際に白壁や一宮での分譲事業や、アジア大会の跡地利用や植物工場のテクノパーク袋井などで中電不動産とJV展開しており、協業成果がみられます。④の北広島球場は命名権のみ取得となるものの、隣地の分譲住戸(118戸)も完売させたほか、来年にはシニア分譲、北広島駅周りで分譲・商業施設・ホテルの開業を予定しており、パイプラインが充実しています。
財務面については、中電非連結化による信用力強化により調達金利が漸減傾向にあるほか、一昨年に取得したJCRの長期発行体格付けは、昨年9月に「A格→A+格」へと上げされており、発行登録済の500億円枠を活用した社債での調達が想定されます。他方、株主還元に関しては「減配しない」累進的配当政策を一度取り下げた後で再度復活させた経緯があるため、向こう3年間は年38円+(配当性向43.6%)が維持される公算です。
*参考記事① 2022-12-01 845円 BY
【8892】日本エスコン/REIT運用子会社で行政処分も、柱の分譲・賃貸は軒並み好調。
*参考記事② 2022-05-18 732円 BY
【8892】日本エスコン/賃貸事業割合増で安定化、北海道球場隣地分譲も引き合い好調。
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