【8892】日本エスコン(東証プライム) BY
現在値 845円/100株 P/E 9.71 P/B 1.30 6月株主優待 12月配当
京阪神を中心に分譲マンションを展開。09年に事業再生ADRを終結。
配当金は12月末一括の38円の配当で、配当利回りは4.50%となります。
日本エスコンは株主優待制度を導入しており、10単元以上を1年以上保有する6月末株主に対して、1,000円相当のクオカードを進呈しておりますので、配当と合計した配当優待利回りは約4.61%となります。また2年以上の継続保有で進呈額が3,000円となる長期優遇制度も導入しており、その場合の同利回りは約4.85%となります(※いずれも10単元保有時)。
業績を確認していきます。
■2019年12月期 売上高 721億円、経常利益 118億円 EPS 119.1円
■2020年12月期 売上高 773億円、経常利益 111億円 EPS 111.9円
■2021年12月期 売上高 790億円、経常利益 91億円 EPS 67.4円
■2022年12月期 売上高 1,000億円、経常利益 122億円 EPS 86.9円 ce
□2022年6月2Q 売上高 408億円、経常利益 51.3億円 EPS 34.5円
□2021年9月3Q 売上高 505億円、経常利益 53.1億円 EPS 35.5円(10/26)
2022年6月中間期の売上高はYoY+63.6%の408億円、経常利益はYoY+165.6%の51.3億円となり、対前・対予算で増収増益となりました。主力の分譲事業については、千里青山台(47戸/全152戸)、幕張本郷(70戸/全70戸)、平野(58戸/全58戸)などYoY+72戸の517戸を引き渡しました。他方、分譲事業以外については、福岡県古賀市玄望園とちばリサーチパークの物流2施設84億円の引渡しと、堅調な戸建販売の寄与により増益したほか、賃貸事業も買収したピカソグループの寄与で増益となり、全セグメントで堅調な進捗となりました。
2022年12月期の通期見通しについては、売上高がYoY+26.6%の1,000億円、経常利益はYoY+34.1%の122億円と期初予想を据え置いています。柱の分譲事業は、完成在庫の瓢箪山(残50戸/全144戸)をはじめ、つくば(全218戸)や八尾桜ヶ丘(全72戸)など通期で1,200戸を引き渡す計画ですが、つくばも八尾も契約完売となっており、8月下旬時点の契約率は既に91%水準に達しています。また、好採算の賃貸事業についても、買収したピカソ・優木産業の通期貢献することから、全社利益率は一段増となります。10月26日に3Q決算が公表されており、売上高505億円&経常利益53.1億円で推移しており、分譲引渡の期末集中を考慮すれば計画線とみられます。
当社は2018年から中部電力の持分法適用会社となり、2020年の三割増資で204億円(@769円)の追加出資を受け、中電の連結子会社(50.3%)となっています。中電被連結時点での修正中計の業績目標は、3年後の2023年12月期に売上高773→1,100億円(CAGR12%)、営業利益122→160億円(CAGR10%)とする計画を公表しており、足許時点でもこの数字は変更しておらず、直近では傘下REIT物件拠出に関するコンプライアンス違反で一部業務停止が発生しているものの、概ね計画線での進捗と解されます。
取組事項は、①賃貸利益割合増加(14%→26%)、②年間1,200戸供給体制の確立③中電との連携強化、④新規事業等の強化となっています。①は2,200億円(純額1,900億円)を投じ、傘下REITに物件拠出はするものの、ブック保有物件を増やす方針です。2021年末に不動産賃貸業者のピカソ(年商60億円/経常益16億円)、優木産業(年商30億円/経常益4億円)らを約300億円で取得しています。同社らは関西を中心に賃貸レジやオフィスビル等を数多く所有していることから、のれん償却後で経常益15億円程度が上乗せされることとなったほか、初年度で中計の半分弱の投資を前倒しで達成しています。
②・③は中電被連結化による調達力・信用力強化にくわえ、同社遊休地の活用案件や中部エリアでの深耕を図ります。分譲事業では、名古屋屈指の高級住宅地である白壁や一宮で中電不動産とJV展開するほか、アジア大会の跡地利用等の公共性の高い参画しています。④の北広島のボールパークは(NPB規定違反による暫定利用問題はあるものの、)年末竣工・翌年3月開業を予定しているほか、隣地の分譲住戸(118戸)も108戸の契約が完了しています。
財務面については、中電非連結化による信用力強化で調達金利を0.77%水準まで削減出来ているほか、昨年取得したJCRの長期発行体格付けは、この9月に「A格→A+格」へと上げされており、発行登録済の500億円枠を活用した社債での調達が見込まれます。他方、株主還元に関しては「減配しない」累進的配当政策を一度取り下げた後で再度復活させた経緯があるため、向こう3年間は年38円+(配当性向43.6%)が維持される公算です。
*参考記事① 2022-05-18 732円 BY
【8892】日本エスコン/賃貸事業割合増で安定化、北海道球場隣地分譲も引き合い好調。
*参考記事② 2021-11-04 829円 BY
【8892】日本エスコン/ピカソほか7社を大型買収も、“のれん代”大きく利益寄与は限定的。
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