【8892】日本エスコン (東証1部) BY
現在値 732円/100株 P/E 8.42 P/B 1.18 6月株主優待 12月配当
京阪神を中心に分譲マンションを展開。09年に事業再生ADRを終結。
配当金は12月末一括の38円の配当で、配当利回りは5.19%となります。
日本エスコンは株主優待制度を導入しており、10単元以上を1年以上保有する6月末株主に対して、1,000円相当のクオカードを進呈しておりますので、配当と合計した配当優待利回りは約5.32%となります。また2年以上の継続保有で進呈額が3,000円となる長期優遇制度も導入しており、その場合の同利回りは約5.60%となります(※いずれも10単元保有時)。
業績を確認していきます。
■2018年12月期 売上高 543億円、経常利益 104億円 EPS 105.9円
■2019年12月期 売上高 721億円、経常利益 118億円 EPS 119.1円
■2020年12月期 売上高 773億円、経常利益 111億円 EPS 111.9円
■2021年12月期 売上高 790億円、経常利益 91億円 EPS 67.4円
■2022年12月期 売上高 1,000億円、経常利益 122億円 EPS 86.9円 ce
□2021年3月1Q 売上高 127億円、経常利益 5.8億円 EPS 2.4円(4/27)
□2021年6月2Q 売上高 363億円、経常利益 47億円 EPS 27.2円 ce
2021年12月期の売上高はYoY+2.2%の790億円、経常利益はYoY▲18.5%の91億円となり、計画線の減益ながらも若干の未達となりました。主力の分譲事業については、大和高田駅(全205戸)、千里長居公園通(全108戸)、千里青山台(104戸/全152戸)、西明石(全77戸)、などYoY+368戸の1,020戸を引き渡しました。他方、分譲事業以外については、前年のREITや中電不動産へのWH売却(計200億円)の剥落影響が大きく、8月の上場REITがPOによる拠出120億円(熊本のシュロアモール長嶺46億円、廿日市のフジグランナタリー39.5億円、ヤマダ電機札幌白石店13億円など)や、琴似コルテナ1、古賀市土地の売却等があったものの前年に届きませんでした。
進行期である2022年12月期の予算については、売上高がYoY+26.6%の1,000億円、経常利益はYoY+34.1%の122億円を見込んでいます。分譲事業については、引渡が本格化する瓢箪山(残88戸/全144戸)をはじめ、つくば(全218戸)など通期で1,200戸を引き渡す計画ですが、既につくばが契約完売となるなど、1月末時点の契約率は70.0%に達しています。一方、分譲事業以外については、物流2物件が契約済となっており、東条・佐倉の2物件を引き渡すとみられるほか、買収したピカソ・優木産業の通期寄与により利益貢献の高い賃貸事業が大幅増となります。
当社は2018年より中部電力の持分法適用を受けていたものの、昨年4月には三者割当増資で204億円(@769円)の追加出資を受け、連結子会社(50.3%)化しています。被連結時点のロール後の中計における業績目標は、3年後の2023年12月期に売上高773→1,100億円(CAGR12%)、営業利益122→160億円(CAGR10%)とする計画を公表しており、足許時点でもこの数字は変更していないものの、計画超の進捗である旨のアナウンスがなされているため、達成蓋然性は高いものと考えられます。
注力取組事項は、①賃貸利益割合の増加(14%→26%)、②年間1,200戸供給体制の確立③中電との連携強化、④新規事業等の強化が軸となっています。①は中電からの調達資金で2,200億円(純額1,900億円)を投じて、傘下REITに適宜物件拠出はするものの、ブックで保有する物件を増やしていく方針です。昨年末に不動産賃貸業者のピカソ(年商60億円/経常益16億円)、優木産業(年商30億円/経常益4億円)らを約300億円で取得しています。同社らは関西を中心に賃貸レジやオフィスビル等を数多く所有し、のれん81億円(確定額)の計上があったものの、20年償却のため経常利益ベースで15億円程度の上乗せされることとなりました。
②・③は中電被連結化による資金調達力・クレジット強化にくわえ、中電遊休地の活用案件や中部エリアでの深耕を図ります。④は、物流施設の開発や、麻布の「了聞」という納骨堂事業に加え、昨年9月にはリノベーション賃貸マンション等を主要クライテリアとする私募ファンド(SPC)を当初7物件で組成しており、後継の私募REITに繋げる予定となっています。なお、北広島のボールパークは年末竣工・翌年3月開業を予定しており、現時点では計画どおりとなっているほか、隣地の分譲住戸(118戸)も引き合い順調であり、中計最終年度での寄与が見込まれます。
財務面については、中電子会社化もあり、金利が0.77%水準まで更に削減出来ており、JCRの長期発行体格付けA格を取得し、昨年末に500億円分の発行登録も済ませており、今後は社債での調達を目論んでいます。なお、今次中計期間ではレバを活用した事業拡大を企図しており、最終的には同21%水準まで借金を膨らませる方針です。他方、株主還元に関しては「減配しない」累進的配当政策を一度取り下げた後で再度復活させた経緯があるため、向こう3年間は年38円+が維持される公算です。
*参考記事① 2021-11-04 829円 BY
【8892】日本エスコン/ピカソほか7社を大型買収も、“のれん代”大きく利益寄与は限定的。
*参考記事② 2021-05-08 759円 BY(コンビクション)
【8892】日本エスコン/4月より中部電力の連結子会社化、累進的配当政策が復活。
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