【1419】タマホーム/好調だった戸建市況の風向きが変わりつつあり、受注動向を注視したい。 | なちゅの市川綜合研究所

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【1419】タマホーム(東証プライム) NT

現在値 3,615円/100株  P/E 11.3 P/B 3.43   5月配当・株主優待 11月優待

注文住宅会社。ロードサイド型独立店を積極展開し大々的な広告で集客。
配当金は5月末の年1回185円のため、配当利回りは約5.12%となります。

タマホームは株主優待制度を実施しており、5月末・11月末に単元株以上を保有する株主に対して500円のクオカードを進呈しておりますので、配当優待利回りは約5.25%となります。また、3年以上保有を継続する株主に対しては、長期優遇制度によりクオカード進呈額が倍の1,000円となりますので、この場合の配当優待利回りは約5.39%となります。

業績を確認していきます。  

 

■2021年5月期 売上高 2,180億円、営業利益 109.9億円 EPS 243.3円 

■2022年5月期 売上高 2,407億円、営業利益 118.9億円 EPS 282.2円  

■2023年5月期 売上高 2,560億円、営業利益 132.6億円 EPS 298.4円 

■2024年5月期 売上高 2,570億円、営業利益 141.0億円 EPS 317.3円 ce 

□2023年8月1Q 売上高 532億円、営業利益 13.8億円 EPS 32.1円(10/10)

□2023年11月2Q 売上高 1,254億円、営業利益 69.0億円 EPS 163.1円 四e

2023年5月期の売上高はYoY+6.4%の2,560億円、営業利益はYoY+11.5%の132.6億円となり、3Qの増額修正後の水準で落着しました。注文住宅・戸建分譲事業については、期初時点の拠点数は横ばいの254箇所ながら、受注残高はYoY+5.0%の1,469億円と豊富に抱えていたことから、引渡棟数は同▲492戸の合計9,059棟に減少したものの、単価増でカバーしました。また、不動産事業は小規模宅地分譲が好調だったほか、TWG銀座イーストの一棟売りが寄与したものの、マンション分譲の案件が無く反落となりました。


進行期である2024年5月期の予算については、売上高がYoY+0.4%の2,570億円、営業利益はYoY+6.3%の141.0億円を予想しています。終わった期の受注が低調だったこともあり、期初時点の全社受注残高はYoY▲13.0%の1,277億円と例年以上に発射台が低い一方、5ヶ月分が開示済の期中の受注速報は99%水準で推移しており、業績達成は不透明感が漂います。実際のところ、10月10日開示済の1Qは売上高532億円&営業利益13.8億円とビハインド気味であり、競合他社の苦戦も鮮明になっているため、下振れ懸念が燻ります。

 

進行期は5年中計の3年度目であり、最終年度の2026年5月期に売上高3,200億円(CAGR8%)、営業利益200億(CAGR13%)を目指す計画です。「新築住宅着工棟数No.1」を目標に、主要4セグメントの底上げで成長を図ります。周辺領域への業容拡大よりは、スケールを活かしたコスト削減と価格競争力によるシェア増を目指します。終わった期までは順調に仕上がったものの、そもそもの計数目標が強すぎるほか、足許で戸建市況の風向きが急速に変わりつつあるため、達成のハードルはかなり高いものと解されます。

 

注文住宅事業は、集客が頭打ちとなる中で高付加価値商品による単価アップに舵を切っており、従来型の高断熱商品である「大地の家」にくわえ、夏涼しく・冬温かい「笑顔の家」という新しい機能性商材も投入し、割高な省エネ住宅を売り込む方針です。リフォーム事業については、年間1万棟の供給実績の積み上げにより、築10年超の住戸も相応に増えてきたことから(総販売16万戸のうち6割程度)、保証期間延長工事の受注を図ります。不動産事業については、オフィスの区分分けによる投資商品化やビル一括のサブリースといった賃貸事業などを強化します。


他方、株主還元については、近年の空前の好業績を背景に劇的に増配してきた経緯があり、6年前に年15円だった配当金は、実績ベースで180円まで膨らんだほか、進行期も更に5円積み増して年185円配当を予想しています。計算上の配当性向は58.3%に上るものの、自己資本比率も3割強を確保しているほか、資金繰りしやすい業種のため、特段問題の無い配当水準と判断しています。


*参考記事①  2023-04-12 3,555円 NT

【1419】タマホーム/販売棟数は減少基調だが、記念配を普通配に切り替え大増配。

 

*参考記事② 2022-10-22 ​​​​​​ 2,306円 NT

【1419】タマホーム/“文春砲”を打ち返して連続最高益、配当性向も漸増で更に増配。

 

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