【2678】アスクル(東証プライム) OP
現在値 2,031円/100株 P/E 19.2 P/B 3.09 5月配当 11月配当 株主優待あり
オフィス用品配達で先駆、ヤフーと個人向けEC『ロハコ』等で連携。
配当金は5月末・11月末の年2回の合計36円で、配当利回りは1.77%となります。
アスクルは株主優待制度を導入しており、5月末・11月末の株主に対して、2,000円分のクーポン(※買上500円超につき、500円使用可)を進呈しているため、配当優待利回りは約3.74%となります。
業績を確認していきます。2022年5月期から新収益基準に移行しています。
■2021年5月期 売上高 4,221億円、営業利益 139.2億円 EPS 75.8円
■2022年5月期 売上高 4,285億円、営業利益 143.0億円 EPS 90.8円
■2023年5月期 売上高 4,467億円、営業利益 146.2億円 EPS 100.4円
■2024年5月期 売上高 4,820億円、営業利益 165.0億円 EPS 105.5円 ce
□2023年8月1Q 売上高 1,130億円、営業利益 28.2億円 EPS 17.7円(9/15)
□2023年11月2Q 売上高 2,300億円、営業利益 72.0億円 EPS 49.2円 四e
2023年5月中間期の売上高はYoY+4.2%の4,467億円、営業利益はYoY+2.2%の146.2億円となり期初予算水準で着地しました。柱のB2B事業については、経済活動再開にともない飲食業・旅行業が回復したほか、商品別ではOA・PC、文具等の消耗品需要が増加しました。また、一括資材購入サイト“ソロエルアリーナ”のオープン化で、検索エンジン経由の購入がみられました。他方、B2C事業のLOHACOも客単価上昇による物流費の削減やB2B融合による効率化により黒字転換を果たしています。
進行期である2024年5月期の売上高はYoY+7.9%の4,820億円、営業利益はYoY+12.9%の165億円を予想しています。B2B事業はサイト再刷新のほか、“ソロエル”顧客の新サイト移行を予定しており、併せて検索エンジンからの誘導強化や個別推奨機能の拡充等で集客を強化します。B2C事業のLOHACOは、B2B融合によるオリジナル商品介達や効率化のほか、ZHD(LINEヤフー)の集客力活用を進めます。なお9月15日開示の1Qは売上高1,130億円&営業利益28.2億円で進捗しており、見栄えはしないものの実質計画線と解されます。
進行期は2025年5月期を終期とする4ヵ年中計の3年度目であり、最終的に売上高5,500億円(CAGR6%)、営業利益275億円(CAGR18%)を目指すほか、ROE20%(実績14%)、B2B事業売上高4,135億円(最終年度2桁成長)、LOHACO単独売上高743億円(CAGR9%)を計数目標としています。当初は売上成長を最重視しており、B2Bの売上高こそ概ね計画線で推移しているものの、B2CのLOHACOは黒字化優先としたほか、ZHD(LINEヤフー)の販促変更による流入低下で、売上成長が物足りない状況となっています。
今次中計での取組事項は、①品揃え拡大、②B2Bサイト強化、③ZHD協業、④PF改革の4点が挙げられています。①は“取扱商品2倍“、“在庫商品4倍”、“オリジナル商品1.4倍”を掲げ、ロングテール戦略で医療・介護や製造業MROを強化し、首位のMonotaROを追います。本年2月はアドバンテッジ経由で歯科用品通販ECのフィード(年商125億円)を買収しています。②は一括購買の“ソロエル”のオープン化を実現し、システム統合費用に多額の時間と投資を要していたものの、新ASKULサイトへの一元化で効率化が図られる目算です。
③のZHD協業は、NB商品中心のPayPayモール店と、オリジナル商品の多いLOHACO本店の補完効果や、PayPayのポイント還元策による顧客流入を見込んでいましたが、上述のLINEヤフーの販促変更で成長がやや不透明な情勢です。④のPF改革は、2021年竣工の葛西のASKUL東京DCに77億円を投じ、自動型AIロボット等の高性能マテハン設備により省人化・高速化を図っており、稼働率も徐々に向上しているような状況です。
他方、株主還元については、2円増配の年36円配を予想しています。自己資本比率は28.3%(買掛金でB/Sが重い)ではあるものの、実質無借金で460億円超のネット現金を保有しており好財務を維持しています。
*参考記事① 2023-04-07 1,726円 OP
【2678】アスクル/子会社のアルファパーチェスが上場、経済活動再開で概ね計画線の推移。
*参考記事② 2022-10-25 1,544円 OP
【2678】アスクル/新サイト稼働のB2B事業は概ね順調も、今期もまた追加投資発生か。
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