【2678】アスクル/子会社のアルファパーチェスが上場、経済活動再開で概ね計画線の推移。 | なちゅの市川綜合研究所

なちゅの市川綜合研究所

「別に勝たなくてもいいので、負けないこと」を志向しております。
本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報等に基づき、作成されています。
当ブログの情報に全面的に依拠することはお控えいただき、最終的なご判断はご自身でお願いいたします。

image

【2678】アスクル(東証プライム) OP

現在値 1,726円/100株  P/E 17.8  P/B 2.74  5月配当 11月配当 株主優待あり

オフィス用品配達で先駆、ヤフーと個人向けEC『ロハコ』等で連携。

配当金は5月末・11月末の年2回の合計32円で、配当利回りは1.85%となります。

 

アスクルは株主優待制度を導入しており、5月末・11月末の株主に対して、2,000円分のクーポン(※買上500円超につき、500円使用可)を進呈しているため、配当優待利回りは約4.17%となります。

業績を確認していきます。2022年5月期から新収益基準に移行しています。

■2020年5月期 売上高 4,003億円、営業利益 88.2億円 EPS 55.4円

■2021年5月期 売上高 4,221億円、営業利益 139.2億円 EPS 75.8円 

■2022年5月期 売上高 4,285億円、営業利益 143.0億円 EPS 90.8円 

■2023年5月期 売上高 4,555億円、営業利益 145.0億円 EPS 96.4円 ce

□2022年11月2Q 売上高 2,205億円、営業利益 67.4億円 EPS 45.9円 

□2023年1月3Q 売上高 3,342億円、営業利益 103.6億円 EPS 72.9円(3/15)


2022年11月中間期の売上高はYoY+5.4%の2,205億円、営業利益はYoY▲0.1%の67.4億円となり、公表計画比は無いものの横ばい圏で進捗しました。柱のB2B事業については、経済活動再開にともない飲食業・旅行業からの需要が回復したほか、商品別では生活用品やMROが顕著に増加しました。他方、B2C事業はトップライン成長重視のため赤字が継続したものの、客単価上昇による物流費の削減や販促効率化より赤字幅が縮小しました。

 

なお2023年5月期の通期予想は期初のものを据え置いており、売上高はYoY+6.3%の4,550億円、営業利益はYoY+1.3%の145.0億円を予想しています。B2B事業は一括資材購入サイト“ソロエルアリーナ”のオープン化とアスクルサイト刷新効果が見込まれるほか、B2C事業もLOHACOも買い回り率上昇による単価向上が顕著となっています。利益面については、新サイトリリースに伴う追加販促費の発生(▲10億円)と、新DC・新サイトの減価償却費/一過性費用(▲34億円)により横ばい圏を見込みます。なお3月15日開示の3Qは売上高3,342億円&営業利益103.6億円で進捗しており、概ね計画線とみられます。

 

進行期は2025年5月期を終期とする4ヵ年中計の2年度目であり、最終的に売上高5,500億円(CAGR6%)、営業利益275億円(CAGR18%)を目指すほか、ROE20%(実績14%)、B2B事業売上高4,135億円(最終年度2桁成長)、LOHACO単独売上高743億円(CAGR9%)を計数目標としています。今次中計では売上成長に重きが置かれており、B2Bの売上高こそ計画線に届いているものの、B2CのLOHACOの方は採算性も重視しだしたので、売上伸長がいまひとつとなっています。利益面についても、サイト再構築等に計画外の追加投資を行う傾向がみられるため、中計の達成可視性はあまり高くありません。

 

今次中計での取組事項は、①品揃え拡大、②B2Bサイト強化、③ZHD協業、④PF改革の4点が挙げられています。①は“取扱商品2倍“、“在庫商品4倍”、“オリジナル商品1.4倍”を掲げ、ロングテール戦略により、医療・介護や製造業MROを強化し、カテゴリー競合首位のMonotaROを追います。②は、大企業向けのソロエルのオープン化こそ実現したものの、新ASKULサイトとのシステム統合に時間を要しています。また前期には工数増加による追加費用(▲45億円)が発生したため、年▲9億円(5年償却)の追加的な営業利益の押し下げが発生しています。

 

③のZHD協業は、NB商品中心のPayPayモール店と、オリジナル商品の多いLOHACO本店のポイント付与料率を揃え、中期的にはZHDのLINE顧客の取り込みを図ります。④のPF改革については、2021年竣工の葛西のASKUL東京DCに77億円を投じ、自動型AIロボット等の高性能マテハン設備により省人化・高速化が図っています。なお、昨年12月には子会社でMROを手掛けるアルファパーチェス(7115)を上場させて、一部株式を売り出したものの、以前7割弱の持分を維持しています。

 

他方、株主還元については、1円増配となる年32円配を予想しています。自己資本比率は30.0%(買掛金でB/Sが重い)ではあるものの、実質無借金で450億円超のネット現金を保有しており好財務を維持しています。

 

*参考記事①  2022-10-25 1,544円 OP

【2678】アスクル/新サイト稼働のB2B事業は概ね順調も、今期もまた追加投資発生か。

 

*参考記事②  2022-04-06  1,657円  OP

【2678】アスクル/感染症対策商品の特需剥落も計画超、100億円の自社株買い&消却予定。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。

 

にほんブログ村 株ブログ 株主優待へ にほんブログ村 株ブログ IPO・新規公開株へ にほんブログ村 株ブログ サラリーマン投資家へ

AD