【2678】アスクル/感染症対策商品の特需剥落も計画超、100億円の自社株買い&消却予定。 | なちゅの市川綜合研究所

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【2678】アスクル(東証プライム) OP

現在値 1,657円/100株  P/E 18.2 P/B 3.09  5月配当 11月配当 株主優待あり

オフィス用品配達で先駆、ヤフーと個人向けEC『ロハコ』等で連携。

配当金は5月末・11月末の年2回の合計30円で、配当利回りは1.87%となります。

 

アスクルは株主優待制度を導入しており、5月末・11月末の株主に対して、2,000円分のクーポン(※買上500円超につき、500円使用可)を進呈しているため、配当優待利回りは4.22%となります。

業績を確認していきます。2022年5月期から新収益基準に移行しています。

■2018年5月期 売上高 3,604億円、営業利益 41.9億円 EPS 46.1円 

■2019年5月期 売上高 3,874億円、営業利益 45.2億円 EPS 4.3円

■2020年5月期 売上高 4,003億円、営業利益 88.2億円 EPS 55.4円

■2021年5月期 売上高 4,221億円、営業利益 139.2億円 EPS 75.8円 

■2022年5月期 売上高 4,300億円、営業利益 140.0億円 EPS 87.8円 ce

□2021年11月2Q 売上高 2,090億円、営業利益 66.9億円 EPS 44.3円

□2022年01月3Q 売上高 3,179億円、営業利益 106.3億円 EPS 69.7円(3/15)

2021年11月中間期の売上高はYoY+1.3%の2,090億円、営業利益はYoY+13.0%の66.9億円となり、概ね計画線での進捗となりました。柱のB2B事業については、前年の感染症対策商品特需剥落のほか、オフィス向けの印刷紙等が軟調に推移して反落となりました。他方、B2C事業については、LOHACO新本店稼働に伴う販促抑制の影響や、移行期における買い回り減少があったものの、ZHD(PayPay)連携による機能拡充や大規模販促で2Qから急速に持ち直し、実質2桁成長まで回復しています。


2022年5月期通期見通しは据え置いており、売上高はYoY+1.9%の4,300億円、営業利益はYoY+0.5%増の140億円を予想しています。B2B事業は、感染症対策商品特需剥落が足許でマイルドになっているほか、生活用品やMROが好調に推移しており。B2C事業についても、PayPay祭りやCYBER MONDAYによる大型販促が好調だったLOHACOが単独四半期で黒転したほか、ペットECのチャームが引き続き好調に推移しました。利益面については、前期特需による一過性の採算性向上要素が無くなるものの、物流配送効率等により計画超の増益を確保する見通しです。

 

当社は2025年5月期を終期とする中期経営計画を公表しており、今期は初年度となっています。向こう3年で売上高を4,421→5,500億円(CAGR6%)、営業利益139→275億円(CAGR18%)、ROE14%→20%へと其々伸長させる計画とし、B2B事業単体では売上4,135億円(最終年度2桁成長)、LOHACO単独では売上743億円(CAGR9%)を目標としています。

 

本中計における取組としては、①品揃え拡大、②B2Bサイト強化、③ZHD協業、④PF改革の4点が挙げられています。①の品揃えについては「取扱商品2倍」「在庫商品4倍」「オリジナル商品1.4倍」を掲げ、所謂ロングテール戦略を採る方針です。また②のサイト機能拡充により、中小企業向けのASKULと大企業向けのソロエルを統合した新サイトを翌期ローンチ予定としているものの、想定超の工数増加により45億円の追加投資が足許で発生しており、この分だけでも年▲9億円(ソフトウェア5年償却)の営業利益押し下げが見込まれます。

 

③のZHD協業については、NB商品中心のPayPayモール店とオリジナル商品の多いLOHACO本店のポイント付与料率を揃えるとともに、中期的にはZHDが経営統合したLINE顧客の取り込みを図ります。④のPF改革については、昨年7月に竣工した葛西のASKUL東京DCに77億円を投じる計画であり、自動型AIロボット等の高性能マテハン設備により省人化・高速化を図る目論見ですが、目下の半導体供給不足によりマテハン工事が遅れているような状況です。そのため、これら4施策に関する布石は打たれているものの、想定よりビハインドしているとみられるほか、そもそも計数目標が意欲的過ぎるので、現時点では中計の達成見込みは高くないものと解されます。

 

なお株主還元については、5円50銭の増配となる年30円配当を予定しています。自己資本比率は32.0%(買掛金のためB/Sが重い)ではあるものの、実質無借金で500億円程度のネット現金を保有しており好財務です。去る2月2日には総額100億円(4.9%)もの自社株買いを公表しており、本旨はプライム市場基準成就のための流動性確保とされていますが、ZHDからの買取も含まれています。既に66億円分が買取されており、全量が消却予定となっているため、今期に限れば総還元性向は軽く100%を超過する公算です。

 

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