【2678】アスクル/新サイト稼働のB2B事業は概ね順調も、今期もまた追加投資発生か。 | なちゅの市川綜合研究所

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【2678】アスクル(東証プライム) OP

現在値 1,544円/100株  P/E 16.0 P/B 2.64  5月配当 11月配当 株主優待あり

オフィス用品配達で先駆、ヤフーと個人向けEC『ロハコ』等で連携。

配当金は5月末・11月末の年2回の合計32円で、配当利回りは2.07%となります。

 

アスクルは株主優待制度を導入しており、5月末・11月末の株主に対して、2,000円分のクーポン(※買上500円超につき、500円使用可)を進呈しているため、配当優待利回りは約4.66%となります。

業績を確認していきます。2022年5月期から新収益基準に移行しています。

■2020年5月期 売上高 4,003億円、営業利益 88.2億円 EPS 55.4円

■2021年5月期 売上高 4,221億円、営業利益 139.2億円 EPS 75.8円 

■2022年5月期 売上高 4,285億円、営業利益 143.0億円 EPS 90.8円 

■2023年5月期 売上高 4,555億円、営業利益 145.0億円 EPS 96.4円 ce

□2022年8月1Q 売上高 1,108億円、営業利益 29.5億円 EPS 19.4円(9/15)

□2022年11月2Q 売上高 2,180億円、営業利益 72.0億円 EPS 49.2円 四e

2022年5月期の売上高はYoY+1.5%の4,285億円、営業利益はYoY+2.8%の143.0億円となり、計画どおりで着地しました。柱のB2B事業については、前年の感染症対策商品特需剥落も、生活用品やMROが好調だったほか、印刷用紙等主力製品の価格改定が寄与しました。他方でB2C事業はLOHACO新本店稼働に伴う販促抑制の影響や、移行期における買い回り減少があったものの、ペットECのチャームの採算改善も寄与し、こちらも計画線を確保しました。


進行期である2023年5月期の予想については、売上高がYoY+6.3%の4,550億円、営業利益はYoY+1.3%の145.0億円を見込んでいます。柱のB2B事業においては、一括資材購入サイトであるソロエルアリーナのオープン化や、アスクルサイトの刷新効果が見込まれるほか、B2C事業もLOHACOの買い回り促進による単価向上を図ります。他方、利益面については、新サイトリリースに伴う10億円の追加的な販促費が発生するほか新DCと新サイトの減価償却費・一過性費用(34億円)も重しとなり、横ばい圏に留まる見通しです。また、9月15日開示の1Qも弱含みで推移しており、ややビハインドとみられます。

 

当社は2025年5月期を終期とする中計を策定としており、進行期は中間年度となります。向こう3年で売上高を5,500億円(CAGR6%)、営業利益を275億円(CAGR18%)を目指すほか、ROE20%(実績14%)、B2B事業売上高4,135億円(最終年度2桁成長)、LOHACO単独売上高743億円(CAGR9%)を目標としています。今次中計はトップライン成長が投資論点であり、足許月次によればB2Bの売上高こそCAGR6%に届いているものの、B2CのLOHACOが弱いほか、利益面についても期中で計画外の追加投資を行ってテコ入れする傾向がみられるため、計数目標の達成可視性は高くない状況です。

 

中計取組事項は、①品揃え拡大、②B2Bサイト強化、③ZHD協業、④PF改革の4点が挙げられています。①の品揃えについては“取扱商品2倍“、“在庫商品4倍”、“オリジナル商品1.4倍”を掲げ、ロングテール戦略により、医療・介護や製造業MROを強化し、カテゴリー競合首位のMonotaROを追います。②については、大企業向けのソロエルのオープン化は実現したものの、ローンチが2ヶ月遅れとなったほか、再編成した新ASKULサイトとのシステム統合もモタついている状況です。終わった期では工数増加による費用が▲45億円発生したため、別途年▲9億円(ソフト5年償却)の営業利益の押し下げが発生しています。

 

③のZHD協業は、NB商品中心のPayPayモール店と、オリジナル商品の多いLOHACO本店のポイント付与料率を揃え、中期的にはZHDのLINE顧客の取り込みを図ります。④のPF改革については、昨年7月に竣工した葛西のASKUL東京DCに77億円を投じ、自動型AIロボット等の高性能マテハン設備により省人化・高速化を図る計画です。半導体供給不足でマテハン納入が遅れていたものの、11月の稼働開始に向けてキャッチアップが図られている模様です。

 

他方、株主還元については、1円増配となる年30円配を予想しています。自己資本比率は30.2%(買掛金のためB/Sが重い)ではあるものの、実質無借金で400億円程度のネット現金を保有しており好財務を維持しています。なお本年2月には総額100億円(4.9%)もの自社株買いを公表しており、実際に満株買付(株価低迷で81億円で済んだ)し、全て消却まで済ませています。

 

*参考記事① 2022-04-06  1,657円  OP

【2678】アスクル/感染症対策商品の特需剥落も計画超、100億円の自社株買い&消却予定。

 

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