【6089】ウィルグループ/海外好調も国内は低調、採用難の建設技術者の確保が課題。 | なちゅの市川綜合研究所

なちゅの市川綜合研究所

「別に勝たなくてもいいので、負けないこと」を志向しております。
本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報等に基づき、作成されています。
当ブログの情報に全面的に依拠することはお控えいただき、最終的なご判断はご自身でお願いいたします。

image

【6089】ウィルグループ(東証プライム) OP

現在値 1,086円/100株 P/E 8.79  P/B 1.63 3月配当株主優待

人材派遣や業務請負等の人材サービス。家電量販店などの販売現場も。
配当金は3月末・年1回44円配のため、配当利回りは4.05%となります。

 

ウィルグループは株主優待制度を導入しており、3月末の単元株主に対して、500円分のクオカードを進呈しておりますので、配当優待利回りは約4.51%となります。また長期優遇制度があり、最長の3年以上保有となった場合は、クオカード進呈額が2,000円分(約5.89%)までハネあがります。

業績を確認をしていきます。

■2021年3月期 売上高 1,182億円 営業利益 40.3億円 EPS 106.5円

■2022年3月期 売上高 1,310億円 営業利益 54.7億円 EPS 147.0円

■2023年3月期 売上高 1,439億円 営業利益 53.1億円 EPS 143.2円

■2024年3月期 売上高 1,440億円 営業利益 42.0億円 EPS 123.8円 ce

□2023年6月1Q 売上高 344億円 営業利益 11.3億円 EPS 31.9円 (8/7)
□2023年9月2Q 売上高 690億円 営業利益 19.0億円 EPS 54.2円 ce

2023年3月期の売上高はYoY+9.8%の1,439億円、営業利益はYoY▲2.8%の53.1億円となり、概ね期初予算並みの着地となりました。国内事業は、セールス、コールセンター、介護・建設分野が堅調に推移した一方、スタートアップ子会社の外注手数料計上漏れ(▲4億円)が足を引っ張りました。海外事業については、豪州・SGともに求人数が減少に転じているものの、得意とする政府・行政向けが堅調に推移したほか、正常化のための一過性の人材需要や、大幅な為替の有利影響(+4.6億円)も追い風となりました。

進行期である2024年3月期の予算については、売上高がYoY変わらずの1,440億円、営業利益はYoY▲21.0%の42.0億円を見込んでいます。国内事業は、注力領域である建設を中心に、セールス・コールセンター向けの堅調な推移が見込まれる一方、外国人管理受託は低調となる見通しです。8月7日に開示済の1Qについては、売上高が344億円&営業益11.3億円と減収減益で進捗しているものの、元より先行投資で減益想定となる予算比ではインラインと解されます。

 

終わった期を最終年度とする3年中計では売上高1,335億円(CAGR6%)、営業利益53.5億円(CAGR15%)を目標としていましたが、概ね計画線の着地となりました。今般開示の新3年中計では、最終年度の2026年3月期に売上高1,700億円(CAGR6%)、営業利益65.0億円(CAGR7%)目指すこととしており、①建設技術者派遣の成長&収益化、②(建設以外)国内再成長、③海外安定成長の3軸を取組事項として掲げています。

 

今次中計期間では35億円規模の先行投資を計画するほか、引き続き①の建設領域に注力します。円安影響等で外国人労働者の採用難が継続していることから、未経験の中途と新卒の採用を倍増(1,000人→2,000人)させるほか、フォロー強化による定着率の改善(71%→73%)を図ります。➁はTVCMやWebCM、SNSを活用したブランディングに3~5億円を投じて、採用ブランド“WILLOF”の認知度拡大と採用力を梃入れします。

 

③の海外は新型肺炎禍で新たな業務パイプラインを開拓したことから、得意とする政府系・公共事業を中心に安定業績が見込まれることから、会計システムの統合やインセンティブ方式報酬の導入といった採算性の適正化に取り組みます。これ以外ではM&Aを再開のために100億円の投資枠を設定しており上振れ要素となりえる一方、不適切会計明けの子会社・フォースタートアップス(7089)はベンチャー企業の資金調達難から事業環境が急激に悪化しており、先行き不透明な状況となっています。

 

財務面については、多額の借入金で買収を連発していたものの、その後の剰余金の積み上がりで足許の自己資本比率は28.7%まで回復しています。株主還元は今次中計より「総還元性向30%&累進配当」に移行しており、横ばいの年44円配当(配当性向36.0%)を予想しています。


*参考記事① 2022-09-13 1,383円 OP

【6089】ウィルグループ/豪州・SG事業は円安メリットを享受、早くも通期上振れが濃厚。

 

*参考記事② 2021-09-08 1,307円 OP

【6089】ウィルグループ/増額後も見通しはやや保守的か、傘下フォーSU社の方が好調。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。

 

このエントリーをはてなブックマークに追加にほんブログ村