【2340】極楽湯ホールディングス(東証スタンダード) NT
現在値 397円/100株 P/E --.- P/B -.-- 9月無配株主優待あり
大型温浴施設専業。極楽湯ブランドの直営店とFC加盟店を全国展開。
配当基準日は3月末ですが既に無配転落しています。
極楽湯は株主優待制度を導入しており、9月末に1年以上継続保有する単元株主に対して、入浴券を4枚進呈しておりますので、1枚900円(個店差あり)換算した場合の配当優待利回りは約9.06%となります。なお、2年以上継続で6枚進呈となり、その場合の同利回りは約13.06%となります。
業績を確認していきます。
■2021年3月期 売上高 105億円、経常利益▲9.2億円 EPS▲179円
■2022年3月期 売上高 100億円、経常利益 7.5億円 EPS▲99.2円
■2023年3月期 売上高 127億円、経常利益 1.8億円 EPS▲14.2円
■2024年3月期 売上高 (未定)億円、経常利益(未定)億円 EPS(未定)円 ce
□2023年6月1Q 売上高 34.0億円、経常利益▲0.4億円 EPS▲3.3円(8/14)
□2023年9月2Q 売上高 70.0億円、経常利益 1.1億円 EPS 14.9円 四e
2023年3月期の売上高はYoY+27.2%の127億円、経常利益はYoY▲75.5%の1.8億円となり、大幅増収&大幅減益となりました。主力の国内事業は営業時間の正常復帰や、アルコール提供制限解除といった営業与件の改善があったほか、“SPY×FAMILY”、“鬼滅の刃”などのコラボも寄与して増収したものの、ガス・電気代の上昇や助成金剥落(▲6.5億円超)もあって、大幅な経常減益となりました。他方、中国事業については、1Q期間で長春/上海ともにロックダウンで営業停止を強いられたほか、春節を含む最繁忙期の4Qでもインフル影響を受け、大幅減収で赤転しています。
進行期である2024年3月期通期予算は期初より非公表となっていますが、外部予想では売上高は145億円、経常利益は3.0億円程が観測されています。当社は年末年始・お盆・中国の春節回りの1Q/4Qに売上が集中する季節偏重型であり、国内事業については、正常化による客数増と、値上げ通期化と館内飲食増による単価増が見込まれます。なお懸案の中国事業については、7月に所管の香港子会社を事業譲渡を完了しており(※後述)、業績上のマイナス寄与が剥落のほか、特別利益ながらも譲渡益3.5億円程の計上を見込んでいます。
当社は中期経営計画等を公表しておらず、展開店舗数もここ数年は50店舗強の水準で横ばい推移しています。現状、国内は40店(FC込)を運営する最大手となっており、中国でも上海と長春の直営3店を含む13店を展開しているものの、赤字が続く海外事業(中国)は撤退します。
中国事業を所管する香港子会社の持分(現状51%)の殆どを現在の中国FCオーナーに売却することとし、譲渡に合わせて当社からの債権・延べ38億円分を棒引きするだけでなく、「極楽湯」「RAKU SPA」といった登録商標延べ35個を低廉な価格で譲渡します。
他方、残る国内事業の当面の方針については、直営出店再開と既存店修繕&バリューアップとなるものの、既に債務超過状態に陥っていたため、財務増強が急務となっていました。そのため、5月に第三者割当増資を公表しており、7月31日付で当社役員や中国現法役員、中国FCオーナーなどの会社関係者に対して、延べ19億円分(@235円)の新株を発行しています。なお、調達資金のうち15億円は借入金返済に充てるものの、残り3億円強は和光店のリニューアルに充当します。
これら一連の取組により、債務超過状態を脱してB/Sの堅牢度が一定程度回復するほか、中国事業の切り離しにより中長期的な成長期待が大きく喪失したものの、赤字連結の消失により全社P/Lも水面下から“浮上”する見通しです。かような状況のため、依然として株主還元が出来るような状況にはなく、向こう数年は無配が継続する公算です。
*参考記事① 2023-02-15 246円 OP
【2340】極楽湯HD/債務超過ギリギリの状況が継続、正常化による既存店回復待ち。
*参考記事② 2018-02-21 699円 OP
中国事業再加速期待も、三者割希薄化が悩ましい・極楽湯ホールディングス(2340)。
*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。
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