中国事業再加速期待も、三者割希薄化が悩ましい・極楽湯ホールディングス(2340)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【2340】極楽湯ホールディングス (東証JQS) ---

 

現在値 699円/100株 PER554.9 PBR1.63  3月配当 9月株主優待

大型温浴施設専業。極楽湯ブランドの直営店とFC加盟店を全国展開。
配当は3月期末一括の6円配当で、配当利回は0.86%となります。

極楽湯は株主優待制度を導入しており、9月末に1年以上継続保有する単元株主に

に対して、入浴券を5枚進呈しておりますので、1枚800円換算した場合の配当優待

利回りは約6.58%となります。

業績を確認していきます。
■2014年3月期 売上高 100億円、経常利益 0.4億円 EPS▲40.1円
■2015年3月期 売上高 120億円、経常利益 2.0億円 EPS 9.2円
■2016年3月期 売上高 141億円、経常利益 3.4億円 EPS 24.1円 
■2017年3月期 売上高 137億円、経常利益 7.0億円 EPS 21.2円 

■2018年3月期 売上高 139億円、経常利益 3.8億円 EPS 14.0円 ce
□2017年9月中 売上高 69.3億円、経常利益 0.9億円 EPS 1.1円

□2017年12月3Q 売上高 100億円、経常利益▲0.1億円 EPS▲1.7円(2/13)

2017年9月中間期の売上高は前年同期比0.2%増の69.3億円、経常利益は同74.2%
減の0.9億円となり、中間予想非開示だったものの大幅減益となりました。主力の

国内事業は一昨年8月に改装開業した「RAKU SPA浜松」がフルに寄与し、何とか

増収を確保したものの、改装費用や水光熱費の増加、天候不順もありセグメント

利益は前年の半分程に留まりました。一方、3ヶ月遅れで決算算入する中国事業

についても、一昨年11月に開業した直営の武漢店舗がフル寄与したものの、1-6

月の繁忙期(清明節・労働節)に気温が落ちなかったため、減収減益となりました。


なお2018年3月期通期の予算は据え置いており、売上高は前期比1.0%増の139億

円、経常利益は46.0%減の3.8億円となる期初予想を据え置いています。当社決算

は年末年始・お盆・中国の春節回りに売上が集中する季節偏重型の決算であり、

1Q(中国は4Q)、4Q(中国は3Q)に数字が偏る傾向にあります。既に2月13日に3Q 

決算が開示されており、閑散期ということもあり例年数字映えのしない3Qですが、

今期は上期の黒字を食い潰して、赤字圏まで突っ込んでいます。 国内事業では

人件費と水光熱費上昇の影響を受け伸び悩んだほか、中国事業では改装費用

及び改装休業ロスが大きく響いており、当該セグメントは赤字へ転落しています。

そのため、通期予算は未達が濃厚であり、減額修正待ちという格好になります。

今期は国内事業における新規開業は予定されていないものの、中国においては

FCによる出店が続いており、昨年11月に1号店を青島に出店したほか、2号店を

12月に上海市に出店しております。なお、直営店に関しては来期に4号店を上海

に出店するほか、再来期に5号店を江蘇省蘇州市に出店する予定となっています。

 

当社はこれまで中国事業は自前の直営出店にこだわってきた印象ですが、足許

での日本式温浴施設の競争激化に伴い、出店スピードアップとローカライズ目的

のため、現地有力フランチャイジーとの提携によるFC展開へ舵を切ってきている

模様です。実際、当社は昨年8月に実に10年振りとなる第三者割当増資(241万株

@793、希薄化率15%+)を実行して、約19億円を調達していますが、中国のFC候補

先(金之泉酒店投資管理有限公司)を引受先として混ぜてきています。また、この

増資による調達資金は、「RAKU SPA名古屋」の出店費用に全額充当予定であり、

中国事業とはまるで関係もないため、会社側はかなり割り切って中国企業の資本

を受け入れた上で、成長を志向しているものと思料されます。

この三者割当により、15%強の希薄化を強いられはしたものの、財務面は改善して

おり、足許の自己資本比率は37%強まで一気に上昇しており、10ポイントほど良化

しています。そのため、中国での4店目・5店目の直営事業を開業する体力が戻った

とみることは出来ますが、株主還元は遠のいた可能性は高く、暫くは通年6円配当

継続すると考えられます。また、当社株の評価自体も中国市場の成長加速と増

による希薄化の綱引きが意識される状況にあり、特に下方修正含みの現況では、

バリュエーション的にもかなり悩ましい状況にあると言えそうです。

 

(四谷で蕎麦屋を始めたようです(写真)。謎ですが、一度訪店してみたいと思います)

*過去記事① 2016-12-07  856円 ---

好調続く中国でもFC展開を開始、極楽湯(2340)。

*過去記事② 2015-12-05 601円 ---
待望の中国第3号店は内陸・武漢に判明、極楽湯(2340)。

 

 

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