【3563】FOOD&LIFE COMPANIES(東証プライム) OP
現在値 2,681円/100株 P/E 51.7 P/B 4.51 9月配当株主優待 3月配当
回転ずし。スシローを全国展開し国内首位。海外は台湾、香港、タイ等。京樽も。
配当金は9月末一括の22.5円配当のため、配当利回りは0.84%となります。
FOOD&LIFE COMPANIESは株主優待制度を実施しており、3月末・9月末時点で100株保有する株主に対して、年2回1,100円分の自社割引券を進呈しておりますので、配当優待利回りは約1.65%となります。
業績を確認していきます。
■2020年9月期 売上高 2,049億円、営業利益 120億円、EPS 55.6円
■2021年9月期 売上高 2,408億円、営業利益 229億円、EPS 113.6円
■2022年9月期 売上高 2,813億円、営業利益 101億円、EPS 31.2円
■2023年9月期 売上高 3,200億円、営業利益 110億円、EPS 51.8円 ce
□2023年3月2Q 売上高 1,432億円、営業利益 52.3億円、EPS 31.3円
□2023年6月3Q 売上高 2,189億円、営業利益 79.3億円、EPS 49.0円(8/7)
2023年3月中間期の売上高はYoY+2.2%の1,432億円、営業利益はYoY▲45.3%の52.3億円と増収減益となりました。国内スシローは“おとり広告”問題や迷惑客発生によるネガティブ影響が継続したため、SSSは1Q78.0%→2Q91.8%と水面下が続いたほか、広告費復元で利益回復も緩慢となりました。他方、海外スシローは全ての展開エリアで増収増益となり、店舗数の多い台湾・香港を中心に好調だったほか、中国も赤字を脱しています。尚、受取協力金/助成金の差異(YoY▲32億)が大きいため、実力ベースの減益幅は限定的です。
進行中の2024年3月期の見通しは期初予想を据え置いており、売上高はYoY+13.8%の3,200億円、営業利益はYoY+8.7%の110億円を予想しています。8月まで11ヵ月分が既開示の国内スシローSSSは、数字上は前年ハードルの低い夏場の回復がみられるものの、実質90%程度と回復緩慢な状況です。海外スシローは中国で水産物輸入制限の影響を受けるもの黒字を確保したほか、台湾・香港・タイも軒並み好調を維持しています。尚、8月7日開示済の3Qは売上高2,189億円&営業利益79.3億円で計画線推移と解されます。
進行期は2024年9月期を最終年度とするの3年中計の中間年度であり、売上高を2,408億円→4,200億円に、営業利益を189億円(229億円)→330億円に引き上げる計画ですが、①国内スシローは魚価反動増や助成金剥落で増収減益想定であり、出店は従来ペースを維持する一方、持ち帰り強化やAI活用による発注・シフト管理など既存店強化を重視します。出店は従来の郊外だけでなく都心型や空中階・地下階への出店を進めるほか、昨年10月には最低120円への値上げ(中計計画外)を実施しています。
特に成長ドライバーとなるのが➁海外スシローであり、セグメント売上高を170億円→900億円に、営業利益を▲12億円→65億円まで伸ばす計画です。既黒字化地域の台湾・香港ではスケール化により広告宣伝効果が向上しているため、スシローの出店加速と寿司居酒屋・杉玉も展開する計画です。韓国・SG・タイの各域も順調に拡大しているものの、目下会社側では中国本土での出店を進めており、この6月には武漢・重慶への出店により、進行期3Q時点では期末比3倍の29店まで急拡大させています。
このほか、吉野家HDから買収した③京樽事業については、売上高を93億円→400億円、営業利益を2億円→20億円まで引き上げる計画です。(江戸前寿司の)スシローとは違う上方寿司(関西寿司)が、そもそも折詰系商品でテイクアウトに馴染むため、京都の二つ星老舗料理旅館等とコラボし、高単価化を図ります。他方で、スシローの知名度を活かしたWネーム店の展開や、セントラル厨房のグループ活用といったシナジー創出で収益改善を目指します。
これらの取組はあるものの、足許では迷惑客や値上げによる国内の客離れ(同業の価格据置き)や、魚価やエネルギー等のコスト増が大きく、計画外の値上げ効果やDXによる省人化、好調な海外事業でも巻き返すこと困難であり、中計達成は画餅状態と解されます。なお、株主還元に関しては、安定配当ポリシーから年22.5円配当(配当性向43.4%)の据置を見込んでいます。
*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。