【3068】 WDI(東証STD) NT
現在値 2,588円/100株 P/E 23.2 P/B 3.07 3月優待配当
ダイニングレストランの老舗。パスタ『カプリチョーザ』ほか、海外展開も。
配当基準日は3月末、年12円配当のため配当利回りは約0.46%となります。
WDIは株主優待制度を導入しており、3月末の単元以上株主に対して、3,000円分の食事券を進呈しているため、(配当)優待利回りは約1.62%となります。長期優遇制度も導入しており、5年超保有時には3,000円分を追加進呈しているので、単元保有時の同利回りは約2.78%となります。
業績を確認していきます。
■2021年3月期 売上高 158億円、営業利益▲14.2億円 EPS 266.2円
■2022年3月期 売上高 191億円、営業利益▲8.3億円 EPS 114.6円
■2023年3月期 売上高 261億円、営業利益 8.3億円 EPS 149.5円
■2024年3月期 売上高 300億円、営業利益 10.0億円 EPS 111.4円 ce
□2023年6月1Q 売上高 72.2億円、営業利益 3.8億円 EPS 104.5円(8/9)
□2023年9月2Q 売上高 125億円、営業利益 5.5億円 EPS 136.1円 四e
2023年3月期の売上高はYoY+36.4%の261億円、営業利益はYoY+16.6億円の8.3億円と対前・対計画で大幅増益となりました。直営出店については、御徒町とららぽーと富士見に「カプリチョーザ」、テキサスに「添好運」、銀座に「ウルフギャング」、他FC1店の計5店を出店しました。新型肺炎禍の一巡により団体入客が回復したほか、原価増の価格転嫁を推進したため、内外の既存店売上高は全ての月で100%超を確保したほか、期末にかけて尻上がりとなりました。なお、営業外の助成金収入2.6億円と米国の債務免除益9.5億円の計上もあり、最終利益は一段増となっています。
進行期である2024年3月期の予算については、売上高がYoY+14.6%の300億円、営業利益はYoY+20.3%の10.0億円を見込んでいます。開示済の8月度の既存店売上高については、国内122.4%&海外112.3%と強含みで推移しています。出店は好調な海外を中心に、イタリアンの「APPETITO」をバリ島に、「ウルフギャング」をマウイ島に、プラント系新業態の「Flora」をマイアミにそれぞれ出店します。尚、8月9日に開示済の1Qは売上高72億円&営業益3.8億円と計画超の推移が確認されます。
当社は10年程前から2021年3月期を最終年度とする長期経営計画で売上高400億円&営業利益率5%を目標としていましたが、新型肺炎禍で断念しています。P/Lだけでなく、B/Sの棄損も激しかったものの、2021年に“虎の子“の賃貸用ビル(千駄ヶ谷)を売却し、60億円強の含み益を顕在化させて財務改善させるとともに、出店余力まで創出しています。
現在走っている中計は無いものの、価格転嫁が進む海外事業の回復が顕著となっており、従前長計で目標としていた海外売上高構成比40%に対し、30%手前(27%)に達しています。国内でも好調な「添好運」は合弁で米国5店舗目を出店するほか、回復の続くハワイは「ウルフギャング」を中心に展開します。
国内事業については、千駄ヶ谷ビルを売却した一方、代わりに市ヶ谷や千駄木で数十億円規模の賃貸マンションを相次いで取得し(計40億円)、収益安定化も進めています。インバウンドが回復傾向にあるため、新型肺炎禍で多くを閉店した「ハードロックカフェ」の出店を再開するほか、140余年の歴史を誇る浅草のすき焼き業態「ちんや」が想定超で推移していることから、増店を視野に入れます。
なお株主還元については、横引きとなる年12円配を予想しています。当社は非支配株主の持分控除(配当金支払)により、最終利益が削られて配当原資が少なくなる傾向にあるものの、以前よりは合弁事業も減少したことから、増配余地があるものと考えます。
*参考記事① 2020-08-21 1,400円 NT
【3068】WDI/海外エクスポージャー高く、当面は資金繰り優先の経営か。
*参考記事② 2019-09-18 1,720円 OP
「添好運」は好調だが、トップラインは伸び悩み傾向・WDI(3068)。
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