【8354】ふくおかFG/外債含み損ほぼ一掃、福岡中央銀行の負ののれん益計上が見込まれる。 | なちゅの市川綜合研究所

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【8354】ふくおかフィナンシャルグループ(東証プライム) OP

現在値 3,392円/100株  P/E 10.4 P/B 0.68  3月配当株主優待 9月配当 

傘下に福岡銀行、熊本銀行、十八親和銀行。総資産で地銀首位。

配当は年2回・合計115円のため、配当利回りは約3.39%となります。
 

ふくおかフィナンシャルグループは株主優待制度を導入しており、200株以上保有の1年以上株主に対して、預金金利上乗せやポイント進呈等の各種サービスクーポン、ご当地ギフトを進呈しており、3,000円換算した場合の配当優待利回りは約3.83%となります。
 

業績を確認していきます。

■2021年3月期 経常収益 2,747億円、最終利益 446億円 EPS 234.9円

■2022年3月期 経常収益 2,804億円、最終利益 541億円 EPS 284.6円

■2023年3月期 経常収益 3,313億円、最終利益 315億円 EPS 165.5円

■2024年3月期 経常収益 (未定)億円、最終利益 610億円 EPS 324.9円 ce修正

□2023年6月1Q 経常収益 941億円、最終利益 166億円 EPS 88.4円(8/4)

□2023年9月2Q 経常収益 (未定)億円、最終利益 305億円 EPS 162.4円   


2023年3月期の経常収益はYoY+18.1%の3,313億円、最終利益はYoY▲42.4%の311億円で着地し、3Q時点の見通し比で若干上振れました。大企業向け貸出減少も、堅調な中小企業向けで打ち返し、末残はYoY+1.4%の14兆7,323億円に漸増しました(貸出金利回りはYoY▲1.6bp.の1.00%)。利益面については、みんなの銀行の赤字(▲88億円)、外債売却損(▲261億円)のほか、本業でも与信費用をYoY▲15億円の▲31億円計上したため、大幅減益となりました。


進行期である2024年3月期の通期予算については、最終利益はYoY+95.8%の610億円を予想しています。予算上の計数諸元は、末残YoY+1.4%の14兆9,424億円、貸出金利回りYoY▲0.3bp.の0.99%、与信費用は60億円(4bp)で組んでいます。国債の含み損は残るものの、外債含み損処理がほぼ片付いたほか、投資流入の続く九州経済の資金需要増加で中小企業を中心とした貸出金増が見込まれます。また、みんなの銀行は赤字が継続するものの、予算未織込ながら福岡中央銀行との統合(※後述)による負ののれん計上が別途見込まれます。

 

当社は2025年3月期を最終年度とする3年中計で、最終利益を541億円→650億円に引き上げのほか、ROE6%維持、OHR64.6%→60%への改善を目標としています。なお進行期予算で610億円を予想しているほか、直近公表の“出来上がり”イメージとして、みんなの銀行への先行投資積み増しや、金利高騰による保有外債へのマイナス影響を追加的に織り込む一方、ポートフォリオ再構築効果や国内利ザヤ改善によるプラス影響でネットし、結果的には650億円は到達可能との見立てをしています。

 

取組事項は、①第二次業務改革、②営業改革、③戦略子会社強化、④新事業挑戦を挙げています。①と②はDX施策であり、アプリや店頭タブレット導入、法人ポータルサイトの提供を開始したほか、十八親和銀行との統合による支店合理化が進捗しています。③は傘下のCVCを活用した創業・ベンチャー支援、人材紹介、事業承継・ビジネスマッチングを強化するほか、旧・十八総合リースを東京センチュリーとの合弁に改組し、先進的取組の強化と福岡地域への本格進出を図る計画です。また新たに“FFGインダストリーズ”という商社事業を立ち上げており、従来的な金融業の枠を明確に超えた抜本的な業容拡大を図っています。

 

④の主軸はアクセンチュアと共同開発した“みんなの銀行”であり、当初計画では開業3ヵ年目に当たる進行期に190万口座&預金残高1,800億円と意欲的な目標を掲げていましたが、2ヵ年目を終えて52万口座&預金残高227億円と依然“低空飛行”が続き、終わった期で▲180億円の株式減損を計上しています。なお、本年10月に福岡の第二地銀・福岡中央銀行(福証;8540)との経営統合を予定しています。事業規模が大きく異なることから、福岡銀行との合併はしないものの、連結で200億円程度の負ののれん特益計上が見込まれます。

 

株主還元については、配当性向を35%基準に既に引き上げており、進行期は10円の増配となる年115円配を予定しています。なお、期初時点で自社株買いの公表が見送られたほか、テクニカル利益ながらも多額の特益計上が見込まれることから、追加的な還元も期待出来るものと思料しています。

 

*参考記事① 2023-02-11 3,015円 OP

【8354】ふくおかフィナンシャルグループ/外債含み損を一掃で下方修正、福岡中央銀行と経営統合。

 

*参考記事② 2022-09-09 2,417円 OP

【8354】ふくおかFG/投資先行のみんなの銀行はBaaS進出へ、外債含み損が気掛かり。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。

 

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