【1375】雪国まいたけ/他社との競合激化で業績急悪化も、代替肉開発成功でアップサイドに期待。 | なちゅの市川綜合研究所

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【1375】雪国まいたけ(東証プライム) OP

現在値  922円/100株   P/E 304.2  P/B  3.53  3月配当優待


マイタケ、マッシュルーム軸にキノコ量産。神明HDと西日本開拓。
配当は3月末・9月末の計2円配のため、配当利回りは0.22%となります。

雪国まいたけは株主優待制度を実施しており、3月末時点で半年以上保有を継続する単元株を保有する株主に対して、3,000円相当のきのこ詰め合わせを進呈しておりますので、配当優待利回りは約3.47%となります。

業績を確認していきます。 

■2021年3月期 売上高 513億円、営業利益 78.2億円、EPS 119.0円
■2022年3月期 売上高 470億円、営業利益 49.7億円、EPS 74.9円

■2023年3月期 売上高 422億円、営業利益 21.9億円、EPS 29.6円 
■2024年3月期 売上高 424億円、営業利益 6.7億円、EPS 3.0円 ce 

□2023年9月2Q 売上高 155億円、営業利益▲16.0億円、EPS▲45.1円 四e

2023年3月期の売上高はYoY▲10.4%の422億円、営業利益はYoY▲56%の21.9億円となり、対前・対期初計画で大幅な減収減益となりました。主力の舞茸を中心に生活防衛意識の高まりを背景とした消費者の量目重視傾向で商品ミックスが悪化したほか、鍋需要が徐々に増加する秋口の気候影響による需要減少、他社新工場稼働による需給緩和等によりトップラインから2桁減となりました。利益面についても、人件費や各種エネルギーコストの上昇により大幅減益となりました。

 

進行期である2024年3月期予算については、売上高がYoY+0.4%の423億円、営業利益はYoY▲69.3%の6.7億円を予想しています。引き続き同業他社の生産体制拡充による需給緩和影響を受けるものの、スーパー等での試食販売の本格再開等による需要増や、値上げによる単価効果で舞茸・エリンギ・ぶなしめじといった主力商品でいずれも増収を見込みます。他方で利益面については、上述の販売促進費/広告費の積み増しや人件費、エネルギーコストの上昇を織り込み、減益基調が継続する見通しです。

 

当社は昨年2026年3月期を最終年度とする5ヵ年中計を公表しており、進行期は2年度目に当たります。売上高を345億円→600億円に引き上げる一方、コアEBITDAマージン比は29.7%→20%に減少を見込むものの、直近一年の急激なインフレ傾向が反映される前の計画であり、消費者の節約意識の高まりや各種原価高騰といった事業環境激変が織り込まれておらず、計数目標は既に画餅的なものとなっています。取組事項としては、①国内茸事業の強化、②生産体制見直し、③海外ほか事業領域拡大の3軸を挙げています。

 

①は国内首位である舞茸事業の地位維持を目指し、CM等により手薄な西日本市場の開拓を進めるほか、依然として内食需要中心のため、外食・中食(コンビニ含む)企業との協業により舞茸市場の裾野拡大を図ります。また、ミックス良化のため高付加価値商材の開発を強化しており、昨年9月に高単価ラインの白舞茸“極白”を上市したほか、買収した三蔵農林のマッシュルーム事業の拡大・高付加価値化を目指します。また、6月には茸代替肉の開発成功と年度内上市を公表しており、未知数ながらアップサイドとなります。

 

⓶は上述の三蔵農林の生産体制の統合にくわえ、舞茸工場FA化による工場の人員削減(▲150人/5年)を目指し、設備投資を推進します。③の海外については、世界的な健康志向の高まりにより茸市場は年率4%程度の成長が見込まれることから、食の親和性の高いASEAN域(推計SAM2,400億円)には国産のプレミアム茸の輸出と現地生産拠点の開設を目指す一方、マッシュルーム等の西洋茸中心の欧米域(推計SAM5,800億円)では展開する事業基盤の構築から手掛ける方針です。

 

なお財務の状況については、自己資本比率は31.3%とまずまずの水準にみられるものの、旧雪国まいたけをベインキャピタルが非上場化した際に発生した自己創設のれん(と買収した三蔵農林ののれん)が51億円程B/Sに横たわっており、IFRS非償却となるものの、見かけよりも財務体質は良くないものとなります。かような背景と足許の業績急悪化もあり、配当については実に28円の減配となる年2円配当を見込んでいます。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に 基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。
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