【7512】イオン北海道/中計序盤の投資効果発現期待かかるが、予算はやや過大気味。 | なちゅの市川綜合研究所

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【7512】イオン北海道(東証スタンダード) NT

現在値 867円/100株 P/E 25.1  P/B 1.82  2月配当株主優待 

北海道のスーパー大手、アークス・生協と3強。マックスバリュ北海道と経営統合。

配当金は2月一括の12円配当のため、配当利回りは1.38%となります。


イオン北海道は株主優待を実施しており、2月末の単元株主に対して、2,500円の優待券を進呈しておりますので、配当優待利回りは約4.26%となります。

業績を確認していきます。新収益認識基準に切り替えています。

■2021年2月期 売上高 3,199億円、営業利益 93.6億円 EPS 42.1円 

■2022年2月期 売上高 3,216億円、営業利益 66.1億円 EPS 27.5円 

■2023年2月期 売上高 3,172億円、営業利益 83.4億円 EPS 33.8円 

■2024年2月期 売上高 3,310億円、営業利益 88.0億円 EPS 34.4円 ce

□2023年5月1Q 売上高 797億円、営業利益 17.2億円 EPS 8.2円(7/12) 

□2023年8月2Q 売上高 1,740億円、営業利益 35.0億円 EPS 14.0円 四e

 

2023年2月期の売上高はYoY▲1.3%の3,172億円、営業利益は同+25.8%の83.4億円となり、新収益認識基準を考慮した実質ベースで増収増益となったものの、計画には届きませんでした。経済正常化で衣料品・住居余暇が好調に推移したGMS事業の既存店売上高(SSS)が104.2%となったほか、生活防衛意識の高まりでDS事業も同105.4%と好調に推移し、SM事業こそ同101.7%に留まったものの、全社SSSでは103.5%を確保しました。利益面では従業員向けの一過性給付金の剥落や労働時間減少で増益となったものの、水光熱費負担増(▲16億円)が想定超で、利益は未達となっています。


進行期である2024年2月期の予算については、売上高がYoY+4.3%の3,310億円、営業利益がYoY+5.4%の88.0億円を予想しています。経済活動正常化による外出増加で衣料品等回復が見込まれるGMS事業だけでなく、SM事業やDS事業もPB品の積極投入で節約需要を取り込む方針としており、予算前提の全社SSSは103.4%を見込みます。通期の出退店は純増3店で計画しており、7月12日開示済の1Qは売上高797億円&営業利益17.2億円と、ややビハインドとみられます。

 

当社はMV北海道(7465)との統合2年度目から5ヵ年中計を公表しており、2026年2月期に売上高を3,199億円→3,800億円、営業利益を93億円→157億円に其々引き上げる計画です。既に統合にかかる一過性経費は剥落しており、計画期間の5ヵ年で顕在化させるシナジー(仕入規模効果、物流費用削減等)は年8億円を見込んでいます。

 

本中計期間の方針として、①付加価値向上、②顧客化推進、③地域連携、④収益構造改革の4点を挙げています。①は2020年新設の石狩PC(延床9,000坪)のフル活用により、MV北海道との統合による規模効果最大化を図ります。また足許では、既存店改装にも注力しており、冷蔵ケースや新POSレジ(セルフレジ)入替に限らない大規模改装を実施しています。ただこれら大型投資については、中計初年度・2年度目に184億円・86億円を投じており、進行期はいよいよ“刈り取り”のフェーズに入る見通しです。

 

財務状況については、脆弱なMV北海道を吸収した後でも43%と安定した水準を維持しています。配当は据置となる年12円を予定しており、計算上の配当性向は37%となりますが、かような財務状況を鑑みれば余裕残しとみられます。なお、2月には流動性の上場基準の維持のため、株式売出し(15%)を実施しています。売出人はイオンを筆頭に、北洋銀、道銀、加藤産業、北陸銀が名前を連ねており、本件取組の際に合わせて株主優待制度の拡充したことから、イオン本体による完全子会社化の目は後退したものとみられます。


*参考記事① 2023-01-25  955円 NT

【7512】イオン北海道/STD市場の流動性基準充足のため大規模売出、完全子会社化期待は後退。

 

*参考記事② 2021-07-03 1,122円 NT 

【7512】イオン北海道/MVとの統合効果発現には要時間、石狩の大規模PCが稼働開始へ。

 

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