【8167】リテールパートナーズ/コスト高騰想定超で中計は未達の公算、M&Aに活路。 | なちゅの市川綜合研究所

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【8167】リテールパートナーズ (東証プライム) NT

現在値 1,518円/100株  P/E 18.6  P/B 0.86  2月配当優待 8月配当優待

食品スーパー中堅。山口の丸久と大分のマルミヤ、福岡のマルキョウが統合。
配当金は2月末・8月末の合計24円配当のため、配当利回りは1.58%となります。

リテールパートナーズは株主優待制度を実施しており、2月末・8月末時点で単元株を保有する株主に対して千円分の商品券(JCBギフトカード)を年2回進呈しておりますので、配当優待利回りは約2.89%となります。

業績をチェックしていきます。2023年2月期より新収益基準に移行します。

■2021年2月期 売上高 2,418億円、営業利益 83.8億円、EPS 112.5円 

■2022年2月期 売上高 2,395億円、営業利益 53.7億円、EPS 76.8円 

■2023年2月期 売上高 2,347億円、営業利益 52.8億円、EPS 66.7円 新収益

■2024年2月期 売上高 2,410億円、営業利益 55.0億円、EPS 80.1円 ce 

□2023年5月1Q 売上高 605億円、営業利益 17.8億円、EPS 29.5円(7/13)

□2023年8月2Q 売上高 1,200億円、営業利益 25.0億円、EPS 41.2円 ce

2023年2月期の売上高は新収益基準移行のため単純比較出来ないものの、2,267億円(従来基準YoYは+2.0%の2,414億円)、営業利益はYoY▲1.7%の52.8億円となり、予算割れとなりました。新型肺炎禍の一巡により衛生用品と“ついで買い”の剥落、物価高による生活防衛意識の高まりもあり、マルキョウの既存店売上高(SSS)は101.4%、マルミヤストアも同101.2%となった一方、主力SMの丸久は同99.1%となりました。出退店については、マルミヤストアで出店2となり、店舗数は純増2の269店となりました。


進行期である2024年2月期の通期予算については、売上高がYoY+2.6%の2,410億円、営業利益がYoY+4.1%の55.0億円を見込んでいます。前の期に大型改装を実施したマルミヤストア(大在店/約5.7億円、判田店/約5.9億円)の通期貢献するほか、3月末に買収したハツトリー(※後述)が一部寄与します。なお、出退店については、傘下主要3社合計で純増1店を見込むほか、7月13日公表の1Q決算は売上高605億円&営業利益17.8億円と順調な進捗が確認されます。

 

当社はこの2024年3月期を最終年度とする3年中計で、売上高2,480億円(CAGR1%)、経常利益76億円(▲17億円)とマイナス成長を見込んでいましたが、予算に照らせば未達公算となります。取組事項としては、①既存店改装と出店、②共同仕入、③グループ連携、④DX、を柱に挙げています。①で50店の改装&20店の出店を予定し、総額150億円を投じます。70億円を投じて丸久の大規模プロセスセンターを2020年に防府市に開設し、生鮮・デリカ・弁当製造能力を大幅強化したことから、周辺の丸久店舗に一斉改装投資を実施し、回収を図ります。

 

②・③については、アークス、バローとの“3社同盟”の結成から3~4年が経過し、食材共同仕入で▲12.3億円/3y、資材共通仕入で▲7.3億円/3yの経済効果(注:3社合計)がありました。然しながら、食材仕入れ原価のみならず光熱費、人件費が顕著に高騰しており、これらのコスト削減では到底打ち返せないほか、物価高による地方消費者心理の悪化でトップラインが伸びないことが中計未達の主要因となります。なお、3月末に宮崎県で高品位スーパーを展開するハツトリー(6店舗/年商77億円、営業益0.5億円)を買収しており、当面の成長活路をM&Aに求める方針としています。

 

財務状況については低還元施策による自己資本の積み上がりにより、自己資本比率は64.1%と依然高水準を維持しています。配当は2円増配の年22円(配当性向30.0%)を予想しているものの、会社側は安定配当ポリシーを謳っているため、一層の還元増は見込みにくい状況です。

 

*参考記事① 2023-01-11   1,197円 NT

【8167】 リテールパートナーズ/物価高による生活防衛意識や、光熱費高騰で事業環境は良くない。


*参考記事⓶ 2022-07-18  1,201円 OP

【8167】 リテールパートナーズ/“巣ごもり特需”の再投資遅く、減益中計も可視性は低め。

 

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