【3086】J.フロント リテイリング(東証プライム) OP
現在値 1,341円 P/E 13.7 P/B 0.97 2月配当優待 8月配当優待
百貨店の大丸と松坂屋が統合。関西、中京圏が地盤。子会社にパルコ。
配当金は2月・8月の年2回で合計33円のため、配当利回りは2.46%となります。
J.フロント リテイリングは株主優待制度を実施しており、単元株以上を保有する2末・8末の株主に対して、10%割引優待カードを進呈しております。このカードの持参により、有料催事が同伴者1人まで無料となるため、仮に入場料1,000円の催事に、2人で年1回行った場合を想定した際の配当優待利回りは、およそ約3.95%となります。
業績を確認していきます。IFRS移行済です。
■2021年2月期 売上収益 3,190億円、営業利益▲242億円 EPS▲100円
■2022年2月期 売上収益 3,314億円、営業利益 93.8億円 EPS 16.5円
■2023年2月期 売上収益 3,596億円、営業利益 190億円 EPS 54.3円
■2024年2月期 売上収益 4,130億円、営業利益 385億円 EPS 97.3円 ce
□2023年5月1Q 売上収益 934億円、営業利益 101億円 EPS 24.4円(6/28)
□2023年8月2Q 売上収益 1,955億円、営業利益 185億円 EPS 47.7円 ce
2023年2月期の売上収益はYoY+8.5%の3,596億円、営業利益はYoY*2倍の190億円となり、中間の増額見通しを下回りました。柱の百貨店事業は、高額品を中心に外商売上が引き続き好調に推移したほか、下期からはインバウンドが急回復しました。店舗別では固定客の多い神戸店・名古屋店が快走したほか、前年ハードルの低い心斎橋店、東京店も期末に急反発しました。またSC事業もテナント売上回復による賃料増、賃料減免の終了で上振れたものの、松本パルコの整理損(▲19億円)・百貨店/パルコ減損(▲36億円)を計上し、IFRSのため営業利益にヒットして数字上は下振れしています。
進行期は2024年2月期の予算については、売上収益がYoY+14.8%の4,130億円、営業利益はYoY*2倍の385億円を予想しています。百貨店事業は好調な富裕層消費の継続とインバウンド回復をピーク時7掛けで織り込み、多くの旗艦店で2桁の増収を見込みます。SC事業も渋谷・心斎橋の好調持続を織り込むほか、不動産事業も物件売却益(30億円)を計上します。利益面は水光熱費が重しとなるものの、減損剥落で一段と浮上します。なお6月28日開示済の1Qは、売上収益934億円&営業利益101億円と計画線で推移しています。
当社はこの2024年3月期を最終年度とする3年中計で、新型肺炎禍前の実績営業利益である403億円の復元を目指していましたが、想定超の感染長期化と中間層・インバウンドの回復遅れといった外部環境実勢を織り込み、進行期予算で“達成先送り”としています。今次中計の取組事項は①不動産化戦略、②OMO戦略、③文化・芸術戦略の3店であり、会社周りのリストラ策として、固定費削減・資産効率向上といった構造改革を重点施策としています。
①の不動産はSC事業とデべ事業を切り分け、パルコにSC事業を残す一方、デべ機能を新設デべ会社に分割しています。新デべ会社は旗艦店を有する全国7都市で商業を中心とした複合開発を手掛け、26年に「錦三丁目25番街区計画(栄角地、三菱地所ほかJV)」、「心斎橋プロジェクト(ヒューリックほかJV)」といった大型再開発に参画します。②のOMOは、特に40代までの若年層の売上高も全社の3割(注:GINZA SIXは30代以下の売上比で過半)に迫っていることから、アプリによるCRM強化により、買上点数・単価の工場を図ります。
③の文化・芸術については、CVCファンドにより/Web3.0、アート、旅行業域への投資と協業を進めるほか、2030年までにデータ/アナリスト系のデジタルコア人材を拡充(100人→1,000人)します。これらの取組により、例えばメタバース空間と実店舗の融合や、デべ事業のDAO活用といった新たな空間創造・スキーム創出を目指します。このほか、昨年末にはeスポーツ事業にも参入しており、所謂“MZ世代”の取り込みも推進します。
財務状況については、自己資本比率32.4%で一定水準を確保していることから、デべ事業において継続的な資金需要が見込まれるものの、追加的な資金調達は不要とみられます。他方、株主還元については2円増配の年33円配を予想しており、計算上の配当性向は33%程度となります。
*参考記事① 2023-01-06 1,182円 NT
【3086】J.フロント リテイリング/中国人訪日客回復なら、心斎橋店の回復は顕著になろう。
*参考記事② 2022-07-13 1,041円 NT
【3086】J.フロント リテイリング/若年富裕層の開拓が進み、回復モメンタムは想定超。
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