【3063】ジェイグループHD/小型店化奏功で本業底入れの兆し、株式希薄化も一巡。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3063】ジェイグループホールディングス(東証グロース) NT

現在値 563円/100株  P/E 242.6  P/B 5.56  2月優待配当  8月優待配当

名古屋地盤に飲食、ブライダル、不動産展開。居酒屋『芋蔵』が主力。
配当基準日は2月末・8月末の年2回ですが、配当予想は未定となっています。

 

ジェイグループHDは単元株以上の株主に対し、食事優待券2,000円分を2月末・8月末に年2回進呈していますので、配当優待利回りは約7.22%となります。

業績を確認していきます。

■2021年2月期 売上高 67.0億円、経常利益▲14.5億円 EPS ▲249.3円  

■2022年2月期 売上高 47.0億円、経常利益▲19.0億円 EPS ▲63.3円 

■2023年2月期 売上高 80.1億円、経常利益▲9.0億円 EPS▲57.7円 

■2024年2月期 売上高 94.8億円、経常利益 0.5億円 EPS 2.3円 ce 

□2023年5月1Q 売上高 25.7億円、経常利益▲0.1億円 EPS▲1.5円(7/7) 

□2023年8月2Q 売上高 40.0億円、経常利益▲0.3億円 EPS 0.9円 四e

 

2023年2月期の売上高はYoY+70.4%の80.1億円、経常利益はYoY+10.0億円の▲9.0億円となり、期初予算を大きく下回りました。新型肺炎禍の一巡で営業時間や酒類提供の制限が無くなったことから、全店SSSは211.6%&居酒屋業態SSSは234.9%と見かけ上は急回復したものの、“第8波”影響を受けた年末年始3ヵ月のSSSは平時比85%程度に留まりました。利益面についても、食材費・光熱費・人件費共に軒並み増となり、依然水面下となりました。出退店については、大阪王将(FC)2店を含む計4店を出店した一方、不採算店16店を閉鎖し、期末の店舗数は純減12店の118店となりました。


進行期である2024年2月期通期予算については、売上高はYoY+18.4%の94.8億円、経常利益はYoY+9.5億円の0.5億円と黒字転換を予想しています。相次ぐ不採算店の閉鎖により、新型肺炎禍前の水準への復帰が構造上困難になっているものの、人流増による既存店回復が見込まれます。利益面については、受取助成金の全剥落(▲7億円)や各種原価増の影響を受けるものの、均衡圏復帰を見込みます。なお、7月7日開示済の1Qは売上高25.7億円&経常利益▲0.1億円で進捗しており、概ね予算通りと解されます。

 

当社は中期的な取組として店舗ポートフォリオの変革を進めており、具体的には大型店→小型店、都心店→郊外店、総合居酒屋業態→専門業態へのシフトを図ります。新しい生活様式に適応すべく、新型肺炎禍の中で既に28店の出店と28店の業態転換を実施する一方、51店を閉鎖しています。注力業態は、寿司居酒屋の「寿司と串とわたくし」「寿司と天ぷらとわたくし」「すしつま」と、日本酒業態の「吟醸マグロ」「十八代光蔵」であり、何れも好調に推移しているものの、寿司居酒屋は最競合のヨシックスやスシローも加速度的に出店しており、持続性には疑問符も残ります。

 

他方、高速道路SAの土産店を含めたフードコート等の一括受託や、有力地場ブランドの「昔の矢場とん」のFC、ナショナルブランドである「大阪王将」のエリアFCについては、流行り廃りに左右されることなく持続性があるとみられることから、店舗ポートフォリオの底上げが期待されます。なお不動産事業については、「EXIT Nishiki」を含めた栄三丁目の本社ビル、名駅3丁目「ジェイチル名駅」、「jG金山」、「ジュール則武」など5物件を保有していますが、本業の回復が見込まれる進行期は売却しない旨公表されています。

 

財務面の手当については、2018年にSMBC日興証券でMSワラント発行で10億円を調達したほか、2022年に政投銀(飲食・宿泊支援ファンド)にB種優先株式で10億円分、東海東京証券にMSワラント(最大11億円)を追加的に発行し、行使が完了しています。目下の自己資本比率は12.9%であり、本業には底入れの兆しが見られていることから、財務面ひと息でこれ以上の株式希薄化は抑制される公算が高そうです。


*参考記事① 2023-01-05 440円 NT

【3063】ジェイグループHD/MSワラントにより再度希薄化、痛みを伴う財務改善が進む。

 

*参考記事② 2022-01-22  560円 NT

【3063】ジェイグループHD/政投銀ファンドに優先株10億円発行でひと息、リストラ策続く。

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