【3063】ジェイグループHD/MSワラントにより再度希薄化、痛みを伴う財務改善が進む。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3063】ジェイグループホールディングス(東証グロース) NT

現在値 440円/100株  P/E 543.2  P/B 4.53 2月優待配当8月優待配当

名古屋地盤に飲食、ブライダル、不動産展開。居酒屋『芋蔵』が主力。
配当基準日は2月末・8月末の年2回ですが、配当予想は未定となっています。

 

ジェイグループHDは単元株以上の株主に対し、食事優待券2,000円分を2月末・8月末に年2回進呈していますので、配当優待利回りは約9.09%となります。

業績を確認していきます。

■2020年2月期 売上高 142億円、経常利益 0.1億円 EPS ▲19.1円 

■2021年2月期 売上高 67.0億円、経常利益▲14.5億円 EPS ▲249.3円  

■2022年2月期 売上高 47.0億円、経常利益▲19.0億円 EPS ▲63.3円 

■2023年2月期 売上高 104.4億円、経常利益 0.2億円 EPS 0.8円 ce 

□2022年8月期 売上高 35.8億円、経常利益 ▲6.1億円 EPS ▲19.5円(10/7)  

 

2022年8月中間期の売上高はYoY*2.5倍の35.8億円、経常利益はYoY+4.8億円の▲6.1億円となり、予想比は無いものの増収増益となりました。3月にまん防措置が解除されたことから復調に転じ、第7波影響があったものの、全店SSSは269.5%、居酒屋業態SSSは325.8%に回復しました。直営出退店は出店1に対して退店10、改装店2となり、上期末の店舗数は121店まで縮小しました。新店は池下に「大阪王将(FC)」を開業したほか、三条大橋に「寿司と串とわたくし」、静岡に「きばくもん」を転換開業しています。


2023年2月期通期の見通しは期初予想を据え置いており、売上高はYoY*2.2倍の104.4億円、経常利益はYoY+19.2億円の0.2億円と黒字転換を見込んでいます。9月以降の“新型肺炎禍前比”のSSSは9月71.0%、10月93.4%と急回復しているものの、店舗数が大きく減少しているため、トップラインの戻りが限定的となるほか、水光費・食材原価・人件費等の原価高騰により利益面でも均衡圏の確保が精一杯となります。尚、10月には郊外の藤が丘に「大阪王将(FC)」と「寿司と串とわたくし」を出店しています。

 

2021年5月に開発した錦の一棟商業ビル「EXIT Nishiki」には、恵比寿でも人気の「東京おでんラブストーリー」など複数店舗を直営出店する一方で、下層階・路面階は横丁プロデュースを手掛けるスパイスワークスに転貸し、「SCHMATZ」や「ロッキーカナイ」といった外部業態を誘致し、館全体の集客力を強化しています。顧客密着型の横丁風の当ビルは顧客の忌避傾向が強かったものの、新型肺炎禍の一巡後は急回復が見込まれます。

 

また、この「EXIT Nishiki」を含めた不動産事業については、栄三丁目の本社ビルや、名駅3丁目の「ジェイチル名駅」、「jG金山」、「ジュール則武」など5物件を保有しているため、収益性が回復しつつある縦積み飲食ビルから、リースバック形式で順次売却を進める方針とみられます。新規出店に関しては、「矢場とん」「大阪王将」といった他社ブランド展開を推進し、仕入効率化のためDDHD傘下の共同購買組合に参画するなどしています。

 

財務面の手当については、2018年にSMBC日興証券を相手先としたMSワラント発行により10億円程を調達したほか、2022年初に政投銀の飲食・宿泊支援ファンドを相手先にB種優先株式を10億円分を発行しています。また、同年5月には東海東京証券を相手先にMSワラント(最大11億円)を追加的に発行し、目下においても株式への転換が進んでいる状況です。これら一連の取組により、(優待券のバラマキと強烈な希薄化の抱き合わせで)足許の自己資本比率をとりあえず10.2%程度まで回復させています。

 

*参考記事① 2022-01-22  560円 NT

【3063】ジェイグループHD/政投銀ファンドに優先株10億円発行でひと息、リストラ策続く。

 

*参考記事②  2020-06-26  600円 NT

【3063】ジェイグループホールディングス/錦ドンキ横に大型一棟商業を開発、転売用か。

 

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