【3063】ジェイグループホールディングス/錦ドンキ横に大型一棟商業を開発、転売用か。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3063】ジェイグループホールディングス(マザーズ) NT

現在値 600円/100株 PER--.- PBR2.38 2月優待配当8月優待配当

名古屋地盤に飲食、ブライダル、不動産展開。居酒屋『芋蔵』が主力。
配当基準日は2月末・8月末の年2回ですが、配当予想は未定となっています。

 

ジェイグループHDは単元株以上の株主に対し、食事優待券2,000円分を2月末・8月末に年2回進呈していますので、配当優待利回りは約6.66%となります。

業績を確認していきます。
■2017年2月期 売上高 143億円、経常利益 0.6億円 EPS ▲10.5円 

■2018年2月期 売上高 149億円、経常利益 1.5億円 EPS ▲3.6円 

■2019年2月期 売上高 150億円、経常利益 0.2億円 EPS 7.2円  

■2020年2月期 売上高 142億円、経常利益 0.1億円 EPS ▲19.1円(4/10) 

■2021年2月期 売上高 (未定)億円、経常利益 (未定)億円 EPS (未定)円 ce 

 

2020年2月期の売上高は前期比5.6%減の142億円、経常利益は同48.5%減の0.1億円となり、期初予想を下回って減収減益となりました。昨年10月の大型台風といった天候不順や消費増税の影響を受けたほか、年明けからの新型肺炎の影響もあり、既存店売上高は95.3%水準に沈みました。また、直営店の出退店については出店3に対して退店14となり、不採算店舗の閉鎖が進んだものの店舗数は大幅純減となったため、トップライン押し下げの一因となっています。なお、営業利益段階では数値が大幅に良化していますが、“本業”である不動産事業において刈谷駅近くの一棟商業ビルの売却益がトップラインから乗っており、営業利益ベースで2.4億円も寄与しているため、飲食事業単独では実質赤字なので要注意です。

進行期である2021年2月期の予算については、新型肺炎の影響により合理的な算定が出来ないことから、未定としています。当社は3月から休業・営業時間短縮、4月から5月末までは首都圏店舗を中心に全面休業としているほか、元より月次売上高も公表していないので、1Q決算までは足許の状況も判明しないことになります(四半期毎の月次開示は有り)。然しながら、同じく名古屋を拠点とするゼットンの月次開示によれば4月・5月と壊滅的な状況になっていることから、当社業績も同程度のマイナス幅であると推計され、例年のように大型不動産売却による一過性利益なかりせば、通期で大赤字に転落するものと見通されます。なお、今期より創業者の新田氏が単なる代表に退き、「かごの屋」社長だった中川晃成氏へスイッチしています。

 

出店については、5月半ばに再開しており、錦のドン・キホーテ横に一棟商業ビル「EXIT Nishiki」を自社開発し、おでん業態の「東京おでんラブストーリー錦3丁目」や、麻婆豆腐業態の「狼牙包包軒」など複数店舗を出店しています。従来の当社は一棟で飲食ビルを保有し、そこに多業態で固め打ちで出店したり、独立社員に“のれん分け”としてテナント貸ししていたりするケースが多かったのですが、今次出店は空中階・地階を上述のような業態で自社営業とするものの、下層階・路面階(1階・2階)については館全体のプロデュースをしたスパイスワークスにマスターリースしています。

 

そして同社が「SCHMATZ」や「ロッキーカナイ」といった有力な外部業態を誘致して、館全体の集客力を強化を高めるといった戦略と解されます。一般的に高い集客力の期待出来る路面階を他社に手放すのは勇気が要る決断ですが、自社運営に拘わらず賃料収入に割り切ったことで、結果として新型肺炎によるダメージを軽減出来たので、結果的にこのスキームで良かった部分はあるかもしれません。また、路面店を取らなかった以上、当社としてもそこまでの思い入れはない物件とみられ、ある程度館の運営が軌道に乗った段階で外部への売却を視野に入れていると推察され、本件は“不動産業”寄りのプロジェクトと考えられます。

 

他方、当社は2018年4月にSMBC日興証券相手に150万株分のMSワラントを発行しており、当初行使価額は@992円(下限は@451円)で、18%強の希薄化を伴いつつも、概算で15億円を調達する計画となっていました。調達資金のうち7億円を新規出店と改装、残りの8億円ビルや不動産取得に充てる方針ですが、足許期末時点ではこのうち3分の2程の新株行使が完了しており、これにより7.5億円程を調達していますが、足許の株価が@600円を挟んだ展開になっていることや、会社側から行使制限依頼をかけたりしているようですので、実際の行使完了は今期いっぱいかかるとみられ、調達額も目論見より5億円程少ない10億円程度に留まるものと思われます。そのため、更なる財務良化のため(自己資本比率は足許20%程)、今期予想配当は未定ながらも無配となる公算が極めて高いものとみております。

 

*参考記事① 2018-06-12 931円 NT

大須一棟レジ売却で含み益を顕在化、「博多かわ屋」に期待・ジェイグループHD(3063)。


*参考記事② 2017-06-13 845円 NT

名駅前400坪はハイリスクな印象、ジェイグループHD(3063)。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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