【3550】スタジオアタオ/EC顧客移行トラブルが影響が一巡、OMO施策で回復が見込まれよう。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3550】スタジオアタオ(東証グロース) OP

現在値  217円/100株  P/E 60.9 P/B 1.19 2月優待配当 

店舗、ネットで自社ブランドの婦人用バッグ、財布を販売。ネット比率、リピーター比率高い。
配当は2月末の年5円配当のため、配当利回りは2.30%となっています。

 

スタジオアタオは単元株を保有する2月末の単元株主に対して、3,000円割引券(自社ECにおいて10,000円以上購入の場合に利用可)を1枚進呈していますので、参考配当優待利回りは約16.1%となります。


業績を確認していきます。

■2021年2月期 売上高 40.0億円、営業利益 0.9億円 EPS 2.6円  

■2022年2月期 売上高 36.1億円、営業利益 0.1億円 EPS▲1.5円  

■2023年2月期 売上高 37.0億円、営業利益▲2.5億円 EPS▲16.3円

■2024年2月期 売上高 37.5億円、営業利益 1.0億円 EPS 3.5円

□2023年8月2Q 売上高 20.5億円、営業利益 0.6億円 EPS 2.9円 四e

 

2023年2月期の売上高はYoY+2.6%の37.0億円、営業利益はYoY▲2.6億円の▲2.5億円

となり、均衡圏を見込んでいた期初予想を下回りました。実店舗売上は正常化にともなう客足の戻りのほか、京都店出店による上乗せによりYoY+24.5%となったものの、旧EC窓口会社との提携終了にともなうECサイトの顧客移行でトラブルが発生し、EC売上はYoY▲10.4%と低調に推移しました。また、利益面についても、サイト移行にともなう顧客誤認解消のための対応費用が発生したほか、円安や原価増も響き、赤字に転落しています。


進行期である2024年2月期の予算については、売上高YoY+1.1%の37.5億円、営業利益はYoY+3.5億円の1.0億円を予想しています。EC売上については旧サイト誤認トラブルの解消や、SEO対策の発現が見込まれるほか、実店舗売上についても京都店(ラクエ四条烏丸)の通期稼働、新宿店(小田急ハルク)の拡張移転効果による上乗せが見込まれます。利益面についても、トラブル対策費用の剥落や、原価高騰の一巡で黒字圏に浮上する見通しです。

 

当社はローリング方式で中期目標(売上のみ)を公表しており、翌2025年2月期に売上高41.1億円、翌2期の2026年2月期に同48.0億円を計画値としてトップライン年率2桁成長を目指すべき経営指標に据えているものの、1年前比では大幅に下方修正しています。当社はファブレスでバッグの生産を約20の工場に外注し、少量のEC販売で試験販売→量産化という“少量多品種”の低リスク手法を採っているものの、先述のECサイト移行トラブルでその持ち味が生かせなかったほか、5割という高いEC化率も裏目に出る格好となり、減額を余儀なくされています。

 

なお、当社のEC販売窓口兼大株主(17.54%)でったデジサーチアンドアドバタイジング(D&A)とは昨年7月末を以って提携関係を解消しています。これにより、EC顧客管理権を自社に取り戻したことから、“OMO”方式による店舗とネットの回遊型モデルの強化を図る方針であり、SNS活用や実店舗スタッフによるEC向け販促に注力する方針です。展開ブランドは主力のATAO、高級ラインのIANNE、子供向けのILEMERを軸に、育成ブランドとして京風テイストのStrawberryMeを2021年にリリースしたほか、足許ではゴルフブランドの発売も開始しています。

 

財務状況については、期末時点でネット現金10億円程を抱えており、自己資本比率7割弱と良好な水準を維持しています。なお配当予想については、横引きの年5円配当を見込んでいるほか、買付低進捗ながらも自社株買い枠を1億円(2.85%)を設定しています。


*参考記事① 2022-07-26 263円 OP

【3550】スタジオアタオ/懸案のECサイトをついに自社運用に切替、経営の透明性が高まった。

 

*参考記事② 2021-06-18  486円 OP

【3550】スタジオアタオ/EC化率高く健闘も、関連当事者取引となる販促費がネック。

 

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