【9672】東京都競馬(東証プライム) OP
現在値 4,055円/100株 P/E 13.7 P/B 1.39 6月優待 12月配当優待
大井競馬場の大家。ネット投票「SPAT4」の歩合収入が主力。倉庫やサマーランドも。
配当金は年2回・合計75円配当のため、配当利回りは1.85%となります。
東京都競馬は株主優待制度を実施しており、12月末時点の単元株主に対し、大井競馬場の入場パス、サマーランド招待券等を進呈していますので、26,000円で換算した場合の配当優待利回りは約8.26%となります。
業績を確認していきます。
■2020年12月期 売上高 287億円、営業利益 111億円 EPS 181円
■2021年12月期 売上高 318億円、営業利益 128億円 EPS 320円
■2022年12月期 売上高 354億円、営業利益 141億円 EPS 342円
■2023年12月期 売上高 372億円、営業利益 128億円 EPS 295円 ce
□2023年3月1Q 売上高 82.5億円、営業利益 29.1億円 EPS 43.2円(4/28)
□2023年6月2Q 売上高 174億円、営業利益 61.4億円 EPS 295円 ce
2022年12月期の売上高はYoY+11.5%の354億円、営業利益はYoY+10.6%の141億円となり、期初予想を上振れました。公営競技事業の大井競馬については、正常化にともなって他場開催も含めたネット投票「SPAT4」の発売レース数がYoY+596Rの15,120Rに増加したほか、実入場者数の上限制限も段階的に緩和したこともあり、投票増にともない歩合賃料が増加しました。同様に遊園地事業についても、入場者数の緩和と好天効果で12年振りに黒字を達成したほか、倉庫事業も2021年9月竣工の勝島第1地区5号倉庫(日本通運)の通期稼働効果で増収となりました。
2023年12月期の通期予算については、売上高はYoY+5.0%の372億円、営業利益はYoY▲9.2%の128億円を予想しています。公営競技事業・大井競馬の有観客競馬の巡行化にくわえ、「SPAT4」の会員数及び開催レース数の続伸が見込まれるため、歩合賃料が堅調に推移する見通しです。他方で利益面については、終わった期に実施した「SPAT4」システム更新による償却負担増や委託費用増(▲13億円)が重しとなり、増収ながら減益を見込みます。なお4月28日開示済の1Q決算は、売上高82.5億円&営業益29.1億円で進捗しており、概ね計画線とみられます。
進行期は2025年12月期を最終年度とする中計の3年度目であり、売上高を287億円→400億円に、営業利益を111億円→150億円に其々引き上げる計画であり、向こう5年間で設備投資に500億円(公営競技:300億円、倉庫事業:140億円、遊園地:40億円ほか)を投じます。目下の競馬ブームが持続する前提の計画ではあるものの、終わった期で営業益141億円水準に達しているため、進行期予算こそ一時的に凹むものの、相当程度の達成蓋然性が残るものとみています。
主力の公営競技は“ウマ娘”のヒット等による若年層開拓も進み、地方競馬売上は2022年も年率2桁成長を遂げており、ついに地方全場の年間売上は過去最高の1兆円を突破しました。かような事業環境のため、昨年は売上構成比9割以上を占めるネット投票の中でも最大の投票システムである「SPAT4」の第5次更新を実施しました。システムの減価償却負担が大きく増加したものの、システム負荷軽減だけでなくYouTubeライブの“相乗り投票”といった機能拡充を図りました。
倉庫事業については、傘下の東京倉庫が2021年に習志野市で物流素地6.7千坪を60億円で取得し、2024年3月の竣工・賃貸開始(TS茜浜Ⅱ)を予定しており、既に大手物流企業への一棟貸しが内定しており、収益化が確定しています。また、大井競馬近隣の第3立体駐車場跡地1,700坪にミュージカル劇場、商業・オフィスを複合再開発する計画を新たに開示しており、此方は2024年4月の稼働開始を見込んでいます。
財務の状況については、自己資本比率は約70%と高水準であり、有利子負債を手許現金及び有価証券でほぼネットしています。株主還元については、今次中計では「配当性向20~30%」としており、配当予想は横ばいの年75円配当を見込んでいます。尚、3月に著名アクティビストであるオアシスマネジメントが8%強の大量保有を公表しており、今後は株主還元姿勢に変化がある可能性があります。
*参考記事① 2022-11-12 3,965円 OP
【9672】東京都競馬/競馬人気の持続力は想定超で上振れ圏、論点は株主還元のみ。
*参考記事② 2022-04-28 4,350円 OP
【9672】東京都競馬/競馬人気回復でSPAT4歩合賃料伸びる、株主還元ポリシーに変化も。
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