【9672】東京都競馬/競馬人気の持続力は想定超で上振れ圏、論点は株主還元のみ。 | なちゅの市川綜合研究所

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【9672】東京都競馬(東証プライム) OP


現在値 3,965円/100株 P/E 13.2  P/B 1.37  6月優待 12月配当優待

大井競馬場の大家。ネット投票「SPAT4」の歩合収入が主力。倉庫やサマーランドも。
配当金は年2回・合計65円配当のため、配当利回りは1.64%となります。

 

東京都競馬は株主優待制度を実施しており、12月末時点の単元株主に対し、大井競馬場の入場パス、サマーランド招待券等を進呈していますので、26,000円で換算した場合の配当優待利回りは約8.19%となります。

業績を確認していきます。

■2019年12月期 売上高 248億円、営業利益 79.8億円 EPS 182円 

■2020年12月期 売上高 287億円、営業利益 111億円 EPS 181円 

■2021年12月期 売上高 318億円、営業利益 128億円 EPS 320円

■2022年12月期 売上高 350億円、営業利益 131億円 EPS 289円 ce
□2022年6月2Q 売上高 167億円、営業利益 69.9億円 EPS 184円 

□2022年9月3Q 売上高 266億円、営業利益 114.4億円 EPS 301円(10/28)


2022年6月中間期の売上高はYoY+11.5%の167億円、営業利益はYoY+12.0%の69.9億円となり、期初予想を上振れました。公営競技事業の大井競馬については、南関3場の場外発売休止が継続しているほか、走路悪化による開催休止日があったものの、ネット投票「SPAT4」の好調持続による歩合増で打ち返して2桁の増収となりました。遊園地事業は、近隣住民の誘致や書き入れ時の夏場にかけて入場者数の段階緩和を行って増収したものの、セグメント赤字は若干の縮小に留まりました。


2022年12月期の通期見通しは据え置いており、売上高はYoY+10.1%の350億円、営業利益はYoY+2.6%の131億円を見込んでいます。公営競技事業・大井競馬が上限15,000名の有観客復帰により本場売上の回復が進む一方で、会員増の続く「SPAT4」の堅調持続が見込まれるほか、倉庫事業における昨年9月竣工の勝島第1地区5号倉庫(日本通運)の通期稼働効果による上乗せもあり、全社で2桁増収となります。他方利益面については、遊園地事業の赤字継続や、新規稼働倉庫の償却費増と取得税で伸びが鈍くなる想定です。それでも10月28日開示済の3Qは高い業績進捗が確認されることから、上振れ公算が高い状況です。

 

進行期は2025年12月期を最終年度とする5年中計の2年度目の位置付けであり、売上高を287億円→400億円に、営業利益を111億円→150億円に其々引き上げます。向こう5年間で設備投資に500億円(公営競技:300億円、倉庫事業:140億円、遊園地:40億円ほか)を投じます。計数達成の蓋然性については、競馬ブームの持続力に依存する部分は少なくないものの、re-opening後の足許でもモメンタムを維持していることから、達成可能性は十分に存するものと捉えています。

 

主力の公営競技については、巣ごもり需要や“ウマ娘”を契機とした競馬人気の復活により、地方競馬売上は年率2桁成長、地方全場の年間売上1兆円回復が確実視されているような情勢です。そのため、売上構成比9割以上を占めるネット投票の中でも最大の投票システムである「SPAT4」の第5次更新をこの10月に実施し、重賞投票集中によるシステム負荷の軽減と機能性向上を図ったほか、YoutTubeライブ競馬配信との連動企画(出演者予想に簡単に相乗り投票が可能)を開始しています。

 

安定収益基盤の拡大を企図する倉庫事業についても、昨年習志野市で物流素地6.7千坪を60億円で取得しており、2024年3月の竣工・賃貸開始を予定しているほか、大井競馬近隣の第3立体駐車場跡地1,700坪にミュージカル劇場、商業・オフィスを複合再開発する計画を新たに開示しており、此方は2024年4月の稼働開始を見込んでいます。

 

財務の状況については、自己資本比率は70.0%と高水準であり、有利子負債を手許現金及び有価証券でほぼネットしています。株主還元については、今次中計では「配当性向20~30%」としているものの、予想配当は期末のシステム減損計上を織り込んでなお22.4%水準の年65円配当に過ぎないため、昨年10月に4%程度の自社株買いをしていること等も考慮し、最低でも年75円程度までの増配が期待されます。

 

*参考記事① 2022-04-28 4,350円 OP

【9672】東京都競馬/競馬人気回復でSPAT4歩合賃料伸びる、株主還元ポリシーに変化も。

 

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