【3688】CARTA HOLDINGS(東証プライム) BY
現在値 1,325円/100株 P/E 333.7 P/B 1.32 6月優待 12月配当優待
ネット広告関連事業運営。19年初にサイバー・コミュニケーションズ(CCI)と合併。電通傘下に。
配当金は年2回・合計54円配当のため、配当利回りは4.08%となります。
CARTA HOLDINGSは株主優待制度を実施しており、6月末・12月末時点の単元株主に対し、"nanaco"や"WAON"等に交換可能な1,000円相当のギフトコードを進呈しておりますので、単元保有時の配当優待利回りは約4.83%となります(※3年以上継続保有で1,500円に増)。
業績を確認していきます。
■2020年12月期 売上高 224億円、営業利益 34.6億円 EPS 70.5円
■2021年12月期 売上高 258億円、営業利益 49.7億円 EPS 122.6円
■2022年12月期 売上高 259億円、営業利益 24.1億円 EPS 119.2円
■2023年12月期 売上高 266億円、営業利益 23.0億円 EPS 3.9円 ce
□2023年3月1Q 売上高 64.3億円、営業利益 6.2億円 EPS▲49.6円(5/12)
□2023年6月2Q 売上高 132.0億円、営業利益 11.4億円 EPS▲27.8円 四e
2022年12月の売上高はYoY+0.5%の259億円、営業利益はYoY▲51.4%の24.1億円で着地し、中間時点の減額見通しを更に下振れました。CCI中心のレップ等代理店事業については、消費財系のナショナルクライアントを中心に出稿意欲の減少により減収減益となりました。また、VOYAGE中心とするアドPF事業も、運用型TVCM事業の「テレシー」が想定超の伸長となったものの、積極的な広宣費の投下で増収減益となったほか、「ECナビ」やゲーム関連のコンシューマー事業についても新規タイトル想定以下、先行投資の増加で増収減益となりました。
進行期である2023年12月期の予算については、売上高がYoY+2.5%の266億円、営業利益がYoY▲4.9%の23.0億円を見込んでいます。デジタル広告事業については、従来型ネット広告領域では売上依存度の高い一部大企業の出稿意欲が不透明な状況が続き、ブランド型広告・予約型広告の減少が見込まれる一方、アドPF領域の「テレシー」については広宣費効果の発現等により続伸が見込まれます。また、年内中のオフィス移転(※後述)を移転しており、営業外で20億円の特損計上を予定しています。なお、5月12日に開示済の1Q決算は売上高64.3億円&営業利益6.2億円で進捗しており、おおよそ計画線推移とみられます。
終わった2022年12月期を最終年度としていた4年中計では、売上高320億円(CAGR11%※実勢反映で260~280億円に減額予告あり)、修正EBITDA60.0億円(CAGR13%)を業績目標に定めていましたが、3年度目で前倒しで達成しています。他方、今般公表された“新中期経営方針”については、期限の定めや業績の定量計画が省略されており、今後の事業方向性のみが示されるという限定的かつ定性的な内容に留まっています。
柱のデジタル広告事業は、旧CCIのドメインであったレップ事業からの脱却を志向し、電通との協業促進によるデジタルマーケティングに軸足を移す方針です。具体的には、国内TVCM市場(1.8兆円)のうち115億円に過ぎない運用型TVCM市場が、向こう数年は年率8割超の勢いで成長することが目されることから、低予算のSMB向けだけでなく、予算潤沢な電通の優良顧客の取り込みを図るほか、運用SaaS導入やオウンドメディア提案など“顧客起点”による営業寄りのビジネスに移行します。
当社は2019年にVOYAGE GROUPとCCIの統合により誕生し、CCIの完全親会社であった電通が当社持分の52.7%を保有しています。経営統合から4年が経過し、これら傘下の事業会社の統合が完了したほか、管理部門の合理化に一定の目途がついたことから、昨年末に虎ノ門ヒルズステーションタワーへの本社移転を公表しています。これにより電通(汐留)との協業促進が期待されるほか、同じく電通子会社の電通デジタル、セプテーニとのグループ内再々編の兆候が一段と高まったとみられます。
なお、株主還元については従来の配当性向25%方針から、DOE5%という踏み込んだ還元性政策に切り替えており、進行期は巨額の特損が影響が大きく配当性向が異常値となるものの、配当金自体は横引きの年54円配を予想しています(配当性向1358%)。
*参考記事① 2022-06-10 1,934円 OP
【3688】CARTA HOLDINGS/運用型TVCMテレシーが爆発増、電通の再編期待も燻る。
*参考記事② 2021-11-15 2,366円 OP
【3688】CARTA HOLDINGS/中計は1年前倒しが確実、セプテーニの動きに注目。
*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。
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