【3688】CARTA HOLDINGS/中計は1年前倒しが確実、セプテーニの動きに注目。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3688】CARTA HOLDINGS(東証一部) OP

現在値 2,366円/100株 P/E 19.1  P/B 2.29  6月優待 12月配当優待

ネット広告関連事業運営。19年初にサイバー・コミュニケーションズ(CCI)と合併。電通傘下に。
配当金は年2回・合計50円配当のため、配当利回りは2.11%となります。

 

CARTA HOLDINGSは株主優待制度を実施しており、6月末・12月末時点の単元株主に対し、"nanaco"や"WAON"等に交換可能な1,000円相当のギフトコードを進呈しておりますので、単元保有時の配当優待利回りは約2.95%となります(※3年以上継続保有で1,500円に増)。

業績を確認していきます。
■2017年9月期 売上高 258億円、営業利益 18.0億円 EPS 96.9円 
■2018年9月期 売上高 285億円、営業利益 14.2億円 EPS 93.6円 

■2019年12月期 売上高 261億円、営業利益 38.3億円 EPS 94.2円 変則15m

■2020年12月期 売上高 224億円、営業利益 34.6億円 EPS 70.5円 

■2021年12月期 売上高 250億円、営業利益 45.0億円 EPS 123.7円ce修正

□2021年6月2Q 売上高 126億円、営業利益 29.4億円 EPS 87.7円
□2021年9月3Q 売上高 184億円、営業利益 35.5億円 EPS 101.1円(11/11)

2021年6月中間期の売上高は前年同期比13.6%増の126億円、営業利益は同47.6%増の29.4億円で着地し、2桁の増収増益を確保したほか、対予算でも上振れました。CCI中心のレップ等代理店事業については、ナショナルクライアントを中心に他メディアよりも出稿意欲の早い回復がみられ、ブランド広告が高水準に推移しました。他方、VOYAGE中心のアドPF事業は、iOS14.5(所謂IDFA追跡許可)リリースによるマイナス影響が殆ど無かったほか、「ECナビ」やゲーム関連のコンシューマー事業についても、広告費投入で減益となったものの、デジタル販促の「デジコ」が伸長しました。


2021年12月期の通期見通しは中間時点で修正しており、売上高が前期比11.2%増の250億円(期予:245億円)、営業利益は29.9%増の45.0億円(期予:38.0億円)に増額しています。レップ等代理店事業については、企業側の出稿意欲の著しい回復により下期も引き続き堅調な推移が見込まれます。懸案のアドPF事業についてもiOS14によるマイナス影響が限定的であるほか、Googleの「3rdPartyCookie」廃止が2023年後半まで見送られることとなったことから、ターゲティング広告も堅調に推移する公算です。なお、11月11日に開示された3QではアドPF事業における「テレシー」の積極的な広宣費支出により数字の積み増しが鈍ったものの、修正予算に対して順調な進捗が確認されます。

 

2019年2月開示の4年中計によれば、翌2022年12月期に売上高320億円(CAGR11%※但し足許実勢を反映して260~280億円に減額する旨のガイドあり)、修正EBITDA60.0億円(CAGR13%)を業績目標に定めていますが、中計2年度目の修正EBITDA実績値は計画を4億円程上回る41.3億円を確保したほか、進行期の修正予算で1年前倒しの達成が視野に入る水準となっています。特に足許では、アドPF事業において100万円からTVCMを出稿出来る運用型のTVCM配信プラットフォームの「テレシー」を開発し、戦略的な広宣費支出を増やしていることから、今後のために意図的に数字を潰している印象もあり、今次中計は大幅な過達となる可能性すらありそうです。

 

当社はVOYAGE GROUPと、電通とソフトバンクの合弁のレップ企業であるCCIが2019年に経営統合した企業であり、CCIの完全親会社であった電通が当社株式の52.7%を握ることとなり、事実上の電通グループ入りをしています。業績が順調なことから、傘下のVOYAGEとCCIの事業会社統合についても目下前倒しで進めており、コーポレート部門の統合と持株会社への集約など合理化も一段と進捗しています。今後の注目点は、同じく電通のネット広告の“別動隊”として動くセプテーニが電通の連結子会社となったほか、電通ダイレクトを完全吸収、電通デジタルを持分法適用(25%)に収めることが公表されており、否応なく当社とセプテーニ回りで更なる再編が意識される状況です。

 

なお、株主還元については従来の配当性向25%方針から、DOE5%という踏み込んだ還元性政策に切り替えており、実績配当金は年16円から年48円へと3倍水準に激増させています。今期の配当についても更に2円増配となる年50円を見込んでいるほか、3Q時点の1株純資産は1,035円のため、少なくともあと2円程度(年52円)の増配がありそうです。

 

*参考記事① 2021-05-15 1,530円 BY 

【3688】CARTA HOLDINGS/配当ポリシーをDOE5%基準に大拡充、猶予期間も解除。

 

*参考記事② 2020-11-05 1,313円 BY

【3688】CARTA HOLDINGS/実質存続性喪失の猶予期間は、そろそろ“喪明け”の兆し。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。

 

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