【2914】日本たばこ産業/懸念のロシアは安定操業とみられる、足許好調で年200円配当も射程。 | なちゅの市川綜合研究所

なちゅの市川綜合研究所

「別に勝たなくてもいいので、負けないこと」を志向しております。
本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報等に基づき、作成されています。
当ブログの情報に全面的に依拠することはお控えいただき、最終的なご判断はご自身でお願いいたします。

image

【2914】日本たばこ産業(東証プライム)  NT

現在値 3,103円/100株 P/E 12.5  P/B 1.57  6月配当 12月配当優待

たばこが事業の中核。M&Aで海外たばこ事業を拡大中。
配当は6月末・12月末の年2回・計188円のため、配当利回りは約6.06%となります。

JTは株主優待制度を導入しており、1年以上単元株を保有する単元株主に対して、2,500円分の自社製品を進呈しておりましたが、2022年12月度の進呈を以って制度終了となりました。


業績を確認していきます。当社はIFRS採用企業となります。   

■2020年12月期売上高 20,925億円 営業利益 4,690億円 EPS 174円 

■2021年12月期売上高 23,248億円 営業利益 4,990億円 EPS 190円 

■2022年12月期売上高 26,578億円 営業利益 6,535億円 EPS 249円

■2023年12月期売上高 26,290億円 営業利益 6,120億円 EPS 247円 ce

□2023年3月1Q 売上高 6,652億円 営業利益 2,064億円 EPS 81.5円(5/2)

□2023年6月2Q 売上高 12,500億円 営業利益 3,600億円 EPS 148円 四e


2022年12月期の売上高はYoY+14.3%の26,290億円、営業利益はYoY+31.0%の6,535億円となり、3Qの増額見通し並みの水準で着地しました。従来型の紙巻たばこ等(Combustibles)は趨勢減となり、国内シェアがYoY▲2.0pptの42.4%に続落したほか、露・英といった海外主力国でもシェアが減少し、ワールドワイドでの総取扱数量はYoY▲0.5%の5,273億本となりました。他方で継続的な値上げによる単価効果が展開各域で力強く発現して数量減を打ち返しており、為替の有利影響も相俟って大幅増となりました。なお注力中のHTS(heated tobacco sticks)のシェアは+1.6pptの8.1%となり、成長が鈍化しています。

 

進行期である2023年12月期通期予算については、売上高がYoY▲1.1%の26,290億円、営業利益はYoY▲6.4%の6,120億円を予想しています。Combustiblesは国内、比、露、英などを中心にワールドワイドで需要趨勢減が見込まれる一方、シェア拡大による数量増を目指すこととし、為替不利影響も▲600億円織り込みます。なお5月2日に開示済の1Q決算によれば、中東・欧州を中心に好調推移が確認され、売上高はYoY+14.4%&営業益はYoY+15.7%と高進捗をマークしており、為替前提考慮で通期上振れ公算が高い状況です。

 

当社はロシア市場でシェア36.6%を握っており、全社構成比は売上で11%、営業益で25%(為替感応度はルーブル1%に対して営業益20億円)とエクスポージャーが大きく、原材料の確保を含めリスク状態が続いているものの、従前よりは継続可能性が高まっているものとみられます。また未値上げの伊・比や、インフレの進む英などで値上げを進めるほか、原材料のコスト削減により採算性の改善を目指します。

 

他方、注力中のRRPについては、2025年12月までの向こう3年で3,000億円を投資する計画です。マーケティングに67%、R&Dに24%、設備投資に8%を配賦する予定であり、販売量を3倍を目標とします。昨年10月には「PloomX」の英国展開を開始したほか、本年は伊で、米国ではAltria GroupとJV(持分25%、当社はHTSデバイスを現物出資)し、2025年上期を目途にFDA申請し、上市を目指します。米国たばこ市場は日本の3.6倍の規模で開拓余地は大きいものの、Altriaと袂を分かったPMIの「IQOS」が競合します。

 

当社最大の投資論点となる株主還元策については、配当性向75%を目途に横引きの年188円配当(配当性向76.1%)を見込んでいます。現状の配当ポリシーは「事業投資を最優先に、利益成長と株主還元のバランスを重視」と謳っていますが、足許業績の状況は好調であるため、年200円程度までの増配も視野に入りそうです。

 

*参考記事① 2022-06-15 2,403円 NT

【2914】日本たばこ産業/ロシア撤退シナリオなら影響甚大、減配リスクが燻り始めた。

 

*参考記事② 2021-11-05 2,365円 OP

【2914】日本たばこ産業/海外の単価効果本格発現で再増額、たばこ事業はスイス本社へ。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。

 

にほんブログ村 株ブログ 株主優待へ にほんブログ村 株ブログ IPO・新規公開株へ にほんブログ村 株ブログ サラリーマン投資家へ