【6789】ローランド.ディー.ジー.(東証プライム) OP
現在値 3,490円/100株 P/E 7.96 P/B 1.33 6月優待 12月配当優待
広告・看板用インクジェットプリンタで世界首位級。筆頭株主がローランドから親会社ファンドに。
配当金は年2回・合計135円配当のため、配当利回りは3.87%となります。
ローランド.ディー.ジー.は株主優待制度を実施しており、12月末時点の1年以上継続保有の単元株主に対し、3,000円相当のカタログギフトを進呈しておりますので、配当優待利回りは約4.72%となります。
業績を確認していきます。
■2020年12月期 売上高 347億円、営業利益 5.0億円 EPS 20円
■2021年12月期 売上高 450億円、営業利益 60.5億円 EPS 299円
■2022年12月期 売上高 504億円、営業利益 60.8億円 EPS 347円
■2023年12月期 売上高 581億円、営業利益 70.0億円 EPS 438円 ce
□2023年6月2Q 売上高 280億円、営業利益 30.0億円 EPS 178円
2022年12月期の売上高はYoY+11.9%の504億円、営業利益はYoY+0.5%の60.8億円となり、中間時の増額見通し比では下振れました。主力のプリンターは新型肺炎禍の一巡で投資意欲の回復したほか、連れてインク等サプライ品も伸長しました。然しながら、下期にかけて欧州を中心としたエネルギー価格高騰や、原料部材・海上輸送コスト増が重しとなり、最後は為替の円安効果で増収増益を確保した格好です。なおエリア別では、中国のロックダウン影響を受けたアジアを除く展開全域で増収を確保しています。
進行期である2023年12月期の通期予算については、売上高がYoY+15.1%の581億円、営業利益はYoY+15.1%の70.0億円を予想しています。主力のプリンターは、新型肺炎禍で遅延していた新製品投入を順次進める方針であり、期初の非溶剤(レジン/UV)品3種を皮切りに、ペントアップ需要獲得を図ります。エリア別では欧州域だけでなく、新興国拡販を図るほか、新製品投入により個人向け需要も深耕します。なお、部品は調達難前提でバッファ込みとみられ、為替前提も125円/$、135円/€で保守的な前提です。
当社は足許の好調な業績推移を受けて、この2023年12月期を最終年度とする3年中計を増額ローリングしており、計数目標を売上高を347億円→540億円(当初:480億円)に、営業利益を5億円→80億円(当初:60億円)まで引き上げる計画ですが、単年度予算に照らせば売上は過達・利益は未達となる見通しです。大型プリンター市場の成熟化とサプライ品の需要減、競合激化といった逆風下からの“再興”を目論んでいましたが、想定超のペントアップ顕在化で良化しており、海上運賃や為替の市況動向次第では、中計に掲げる利益計数も射程に入り得る状況とみられます。
今次中計では①拠点集約・固定費削減、②ポートフォリオ転換、の2点を取組事項としています。①は190名の人員削減を実施したほか、量産機能を有するタイ工場へ生産移管により、年13億円程を削減しています。同工場は昨年の倉庫増床で保管機能を拡充したほか、昨年9月には新棟建設にも着手しています。②はプリンター事業において高環境負荷の溶剤インク(ソルベント)のシェアを堅持しつつ、エコ型のUV・水系への置き換えを図ります。また、メタルフリー潮流など世界的に審美需要が高まっている歯科領域において、入歯やインプラント土台制作のためのCAD/CAMマシン分野の拡大を目指し、本年は歯科国際展示会が4年振りに開催されることから、特に高い成長を見込みます。
財務状況については、自己資本比率は70.2%と非常に高い水準を維持しており、110億円超のネットキャッシュを保有しています。今次中計における株主還元は、「配当性向30%&DOE2%」基準で5円増配の年135円配を見込んでいるほか、既に5.5億円の自社株買いを実施済のため、いまいま計算される総還元性向は40.9%となります(目標は同50%)
*参考記事① 2022-11-09 3,330円 OP
【6789】ローランド.ディー.ジー./為替は不利影響もあるが、株主還元の拡充に改めて期待。
*参考記事② 2022-04-26 3,330円 OP
【6789】ローランド.ディー.ジー./3年中計は初年度過達ではや増額、為替の“追い風“も強烈。
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