【8165】千趣会/システム刷新トラブルでモタつく、JR東日本との協業拡大に期待したい。 | なちゅの市川綜合研究所

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【8165】千趣会(東証プライム) OP

現在値 411円/100株  P/E 128.4  P/B 0.87  6月配当優待 12月配当

「ベルメゾン」展開するカタログ、ネット主体の通販大手。頒布会、店舗に特徴。
配当基準日は6月・12月の年2回ですが、直近無配に転落しています。

千趣会は株主優待制度を導入しており、6月・12月末に100株以上を保有する株主に対して各回1千円分の商品券進呈していますので、(配当)優待利回りは約4.86%となります。なお長期保有により1年あたり500円ずつ商品券が加算されるため、3年以上の保有で約8.51%の利回りが確保できます。

業績を確認していきます。2022年度より新収益基準に移行しています。
■2019年12月期 売上高 891億円、営業利益 7.7億円 EPS 210.1円  
■2020年12月期 売上高 832億円、営業利益▲3.8億円 EPS▲95.2円
■2021年12月期 売上高 731億円、営業利益 3.4億円 EPS 6.6円 
■2022年12月期 売上高 589億円、営業利益▲81.0億円 EPS▲233.7円 新収益
■2023年12月期 売上高 662億円、営業利益 5.0億円 EPS 3.2 ce
□2023年6月中間 売上高 320億円、営業利益 2.2億円 EPS 1.7円 四e

2022年12月期の売上高は新収益基準への移行により比較出来ないものの、YoY▲154億円の589億円、営業利益は同▲84.8億円の▲81.0億円に沈み、中間の減額見通しを更に下回りました。主力の通販事業については、期初実施のシステム刷新不調で受注が減少し、購入会員数も同▲47.9万人の200.4万人に減少したほか、かかるトラブル対応によりコストが想定超となりました。また、連結除外したブライダル事業の売上の一部剥落や、法人事業も低調に推移しました。


進行期の2023年12月期の予想については、売上高がYoY+12.4%の662億円、営業利益は同+86.3億円の5.0億円を予想しています。通販事業のシステム刷新の巡行稼働化による購入顧客数の回復を見込むほか、カタログ販促からSNS等へのデジタル販促への切替による効率化で、収益の改善を図ります。この他、一過性のトラブル解消費用が剥落するほか、在庫軽減バーゲンの縮小といった取組により大幅増益(黒転)を見込みます。

当社は2025年12月期を最終年度とする5年中計(約4.5年間)を策定しており、最終年度までに売上高を832億円→900億円、営業利益を▲3.8億円→40億円まで引き上げる計画ですが、システム刷新で失敗しまっているため、未達公算が非常に高い公算です。取組方針としては、①顧客深堀、②使用価値最大化の訴求、③新領域開拓、④経営基盤再構築の4点を挙げています。①は顧客とM2Mで対話する仕組の導入のほか、モニター会員(20万人)の活用、モバイル移行、実店舗マーケティング等により顧客接点の拡大を図ります。

②は“消費から使用”への潮流変化に対応すべく、ライフスタイル訴求型MDへの切替や、動画等の活用によるデジタル販促を充実させます。特に近年では、従来のカタログに最適化させてきたMD及び販促からの脱却を推進しており、カタログ配布を大幅に抑制する一方で、TVCMやSNSを活用した大規模なクロスメディアミックスに販促資源をシフトします。

 

③の新領域については、会員組織のデジタル移行によるサイト広告枠の外販強化にくわえ、昨年11月にはオークネットと協業した“Kimawari”という不用品買取サービス開始しており、顧客粘着率の改善を図ります。また、筆頭株主であるJR東日本(持分10.9%)との協業として、駅ナカ実店舗展開といった表層的取組だけでなく、同社ECである“JRE MALL”のテコ入れとして当社リソースの注入するいったOEM的なポジションで収益獲得を目指します。

 

財務の状況については、有利子負債をネットしてなお50億円程度のキャッシュ超過となっており、自己資本比率は56.5%と高水準を維持しています。但し、終わった期の大赤字計上で累損が▲40億円程まで膨らんでいることから、減資しない限り復配には時間がかかる見通しです。

*参考記事① 2017-04-07  788円 NT

カタログ通販からネット通販への脱却なるか、千趣会(8165)。

*参考記事② 2015-09-07 746円 NT
Jフロント傘下で再建中、千趣会(8165)から株主優待が届きました。