【2932】STIフードHD/値上げ後も数量増で順調、滋賀新工場の稼働開始が待たれる。 | なちゅの市川綜合研究所

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【2932】STIフードホールディングス(東証プライム)  OP

現在値 3,030円/100株 P/E 15.6  P/B 2.90  12月配当・株主優待 6月優待

水産食品やおにぎり具材の製造。セブン向け8割強。国内一貫生産による品質に強み。
配当は12末一括の年55円配当のため、配当利回りは約1.82%となります。

STIフードホールディングスは株主優待制度を導入しており、6月末・12月末に単元株を保有する株主に対して、3,000円分の自社製品(缶詰)を進呈しておりますので、配当優待利回りは約3.79%となります。

業績を確認していきます。

■2019年12月期 売上高 206億円、経常利益 5.9億円、EPS 91.2円  

■2020年12月期 売上高 230億円、経常利益 12.7億円、EPS 162.7円   

■2021年12月期 売上高 262億円、経常利益 17.4億円、EPS 200.0円  

■2022年12月期 売上高 275億円、経常利益 15.2億円、EPS 174.1円  

■2023年12月期 売上高 300億円、経常利益 18.0億円、EPS 194.0円 ce 

□2023年6月2Q 売上高 135億円、経常利益 9.2億円、EPS 101.2円 四e

2022年12月期の売上高はYoY+5.0%の275億円、経常利益はYoY▲12.4%の15.2億円となり、概ね期初予算通りの着地となりました。“巣ごもり消費”の一巡や、期初の白岡工場の火災といった押し下げ要素があったものの、デイリー・冷食の新商材(計12品目)の投入や、サバの塩焼きといった定番商品の値上げで増収を確保しました。利益面については、原材料高とタイムラグ・円安影響にくわえ、火災関連損失があったものの、値上げ効果で概ねカバーしています。


進行期である2023年12月期の予算については、売上高がYoY+8.8%の300億円、経常利益はYoY+17.8%の18.0億円と増収増益を見込んでいます。白岡工場の火災影響が剥落するほか、主要販路であるセブン・イレブン向けにカップサラダ等の新商材を計20品目投入します。利益面については、物流費や水道光熱費、人件費といった原価の上昇を織り込むものの、商品ミックスの変更(実質値上げ)による採算性向上策で増益確保を目指す計画です。

 

当社は中計非公表ながら、生産能力を2021年12月期の620千食から、翌2024年12月期に約1.6倍の1,000千食まで引き上げる計画です。これまで当社はワタミから買収した白岡工場(9.4億円)のように居抜き工場中心に取得してきましたが、排水処理等の問題を解決するため、自社開発にシフトしています。昨年5月には滋賀に5千㎡の土地を取得して滋賀新工場を着工したものの、周辺環境問題のクリアが遅くなり、稼働開始が一年後ろ倒しになっています。

 

当面の取組事項として、①セブン取引拡大、②新規チャネル開拓、③新製品開発の3点を挙げています。①は海外セブン向けの開拓を進める計画であり、北米での工場取得検討を進めているほか、台湾6千店舗ではサーモン、サバ等を日本の2倍の売価で販売しています。②はEC注力の一環としてAmazonでのPB品の直売を開始したものの、他商流(セブン)へ安定供給の観点から、現状販売量を意図的に抑えている状況です。③は辻調グループとの提携による高付加価値商品の開発だけでなく、販売機会の増加とフードロス対策を兼ねた賞味期限延長技術(ガス置換)の開発を推進しています。

 

なお懸念されていたロシア産原料の供給不足(当社は基本的にロシア産は使用していない)に端を発した二次的な魚価高騰影響については、既に足許魚価が下落に転じていることから、影響は限定的とみられます。他方、工場の水道光熱費については高止まりしているものの、此方も燃料調整費がピークを打ったことから、これ以上の採算悪化は避けられる見通しです。そのため、遅れている滋賀工場の稼働開始と、現状成功している実質値上げ策の持続可能性が当面の投資論点となりそうです。

 

財務状況については、自己資本比率44.9%と一定水準を維持しており、工場の新設・ライン増設やMAといった資金需要が想定されるものの、公募増資等は当面不用と考えています。株主還元については、配当性向30%基準により年55円の配当予想を据え置いています。

 

*参考記事① 2022-11-10  2,738円 OP

【2932】STIフードホールディングス/売上成長の可視性は高いが、原価増は想定超とみられる。

 

*参考記事② 2022-05-16 2,032円 OP

【2932】STIフードHD/わらべや日洋の成長再現が期待されるが、ネックは魚価高騰。

 

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