【7038】フロンティア・マネジメント/人員増と投資子会社で中計未達公算も、実力ベースは高成長。 | なちゅの市川綜合研究所

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【7038】フロンティア・マネジメント(東証プライム)  OP

現在値 957円/100株  P/E 15.6 P/B 3.7  12月配当株主優待 6月株主優待

企業再生を手掛けた大西・松岡両氏が設立。コンサルとM&A助言が主力。
配当(実績)は12月末一括の28円配のため、配当利回りは約2.92%となります。
フロンティア・マネジメントは株主優待制度を実施しており、6月末・12月末時点の単元株主に対して、1,000円分のプレミアム優待クラブポイントを進呈しておりますので、配当優待利回りは約5.01%となります(※10単元までは株数500ポイント毎増加、10単元保有時の同利回りは約4.07%)。

業績を確認していきます。 

■2019年12月期 売上高 47.7億円、営業利益 6.6億円 EPS 37.7円 

■2020年12月期 売上高 51.9億円、営業利益 5.8億円 EPS 36.9円  

■2021年12月期 売上高 57.4億円、営業利益 5.0億円 EPS 29.7円  

■2022年12月期 売上高 79.1億円、営業利益 9.0億円 EPS 48.7円 

■2023年12月期 売上高 100.0億円、営業利益 12.0億円 EPS 61.0円 ce 
□2023年6月中間 売上高 43.0億円、営業利益 5.0億円 EPS 26.2円 四e

 

2022年12月期の売上高はYoY+37.9%の79.1億円、営業利益はYoY+81.2%の9.0億円となり、3Qの見通しこそ下回ったものの、対前・対期初計画で増収増益となりました。経営コンサル事業はSR/IR関連、DX関連のニーズ増加にくわえ、近年の積極的な採用増による人員増強効果が発現して大幅増となりました。また、M&Aアドバイザリー事業についても、1億円以上の大型案件が過去最高の11件に膨らみ、大幅増となりました。他方、利益面については、単体社員だけで50人増員(期末338名)したものの、トップライン増加で飲み込みました。

 

進行期である2023年12月期の予算については、売上高がYoY+26.3%の100.0億円、営業利益はYoY+32.1%の12.0億円を見込んでいます。経営コンサル事業については、DXやESG等のニーズ増で市場自体が年率8%程度成長しているほか、M&Aアドバイザリー事業についても、経済活動正常化により市場の“上げ潮”状況が継続しているため、全社の週次受注残高は足許でも堅調に推移しています。利益面については、引き続き積極的な採用方針の下、53名もの人員増強やオウンドメディア等の広告費用を積み増すものの、増収効果で3割増益を見込みます。

 

進行期は3年中計の最終年度であり、売上高を52億円→87億円(CAGR19%)、営業利益を5.8億円→17.4億円(CAGR44%)まで伸長させるとともに、その他KPI目標として従業員数年40人増、ROE基準20%を設定しています。開示の通期予算に照らせば、売上高や従業員数は過達、利益については大幅にショートする見通しですが、投資先行フェーズにある投資事業子会社のマイナス寄与が主要因であり、これが“なかりせば”営業利益15億円とまずまずの水準を成長幅を確保します。

 

今次中計の取組事項としては、①積極的な人材採用、②ドメイン拡大、③自社によるMA・資本政策の3点が挙げられています。①の採用は、期末人員数が当初計画350人のところ、376人まで増員が進む見通しであり、人件費が想定超となっているものの、次期中計期間での収益貢献が期待されます。②はリサ・パートナーズ傘下だった頃からの地銀ネットワークを活かした地銀再生・統廃合関連アドバイザリーにくわえ、積極採用した人員をDXコンサル業に注ぎ込みます。

 

③のMA・資本政策、については広島銀行、七十七銀行、南都銀行らと傘下投資会社の支援について業務提携しており、地域金融機関のファンド組成やファンド運営サポートにくわえ、出資先企業の経営支援とセイムボート出資を行います。また、2022年には自社の投資子会社としてフロンティア・キャピタル(FCI)を150億円規模(持分10%、議決権比率91%)で立ち上げています。当社保有は劣後種類株式で配当順位が低いものの、殆どの議決権を確保することで、投資の儲けよりも本業との営業シナジーを優先した事業となります。

 

株主還元については、資金を必要としないビジネスモデルのため、配当性向40%基準で配当することとしています。その際、キャッシュ移動を伴わない収益増減を捨象した“FCI除き”の調整値で配当額を決定することとしており、予算達成を前提にフォーミュラに照らせば35円程度の配当が予想されます。


*参考記事① 2021-04-16 1,856円 NT

【7038】フロンティア・マネジメント/中計目標は意欲的だが、採用高進捗で急拡大も。

 

*参考記事② 2020-11-07 2,675円 NT *分割修正済

【7038】フロンティア・マネジメント/採用優先で費用先行だが、新型肺炎禍は大きな“追い風”。

 

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