【7038】フロンティア・マネジメント(東証一部) OP
現在値 1,856円/100株 P/E 30.7 P/B 8.7 12月配当株主優待 6月株主優待
企業再生を手掛けた大西・松岡両氏が設立。コンサルとM&A助言が主力。
配当(実績)は12月末一括の23円配のため、配当利回りは約1.28%となります。
フロンティア・マネジメントは株主優待制度を実施しており、6月末・12月末時点の単元株主に対して、夫々1,000円分のクオカードを進呈しておりますので、配当優待利回りは約2.31%となります。
業績を確認していきます。
■2017年12月期 売上高 38.8億円、営業利益 2.5億円 EPS 14.4円
■2018年12月期 売上高 46.9億円、営業利益 6.7億円 EPS 45.6円
■2019年12月期 売上高 47.7億円、営業利益 6.6億円 EPS 37.7円
■2020年12月期 売上高 51.9億円、営業利益 5.8億円 EPS 36.8円
■2021年12月期 売上高 65.0億円、営業利益 10.0億円 EPS 60.3円 ce
□2021年6月中間 売上高 26.0億円、営業利益 2.0億円 EPS 13.0円 四e
2020年12月期の売上高は前期比8.8%増の51.9億円、営業利益は同15.2%減の5.8億円となり、2桁の減益となったほか、予算比でも未達となりました。M&Aを中心とするFA(ファイナンシャル・アドバイザリー)事業においては、新規受注獲得自体は底堅く推移したものの、4Qに予定していた大型案件2件(報酬額計3~4億円)が海外絡みであり調整が難航し、何れも期ズレを起こしたことが主な要因です。一方、経営コンサル事業については、人員投入と継続案件の積上げにより半期で6億円程度の売上高が継続的に計上されるようになったほか、再生事業も新型肺炎の(追い風)影響の顕在化により、こちらの2事業については堅調に推移しました。利益面については、採用積極化方針につき23名の人員拡充を予定していましたが、実際は50名を採用したため、このコスト増が利益を押し下げました。
進行期である2021年12月期の見通しについては、売上高が25.2%増の65.0億円、営業利益は72.7%増の10.0億円と大幅反発を予想しています。FA事業については、既述のとおり終わった期の期ズレ案件の顕在化が見込まれるほか、受注残高は約20億円と高水準を維持している状況です。経営コンサル事業、再生事業についても、昨年の人員投入と積上げ分が寄与するほか、地銀再生案件の増加により続伸が見込まれます。利益面についても、引き続き積極的な採用方針の下、40名の人員拡充を見込んでいるものの、トップラインの上伸や実績期で計上した“俺の”株の全額減損が剥落することもあり、大幅増を確保する見通しです。
当社はこれまで2022年12月期を最終年度とする3年中計で、売上高を47億円→65億円、営業利益を6.6→12.0億円まで伸長させるとともに、その他KPI目標として従業員数177人→240人を定めていましたが、今回1年分をローリングしています。新中計においては、最終年度である2023年12月期に売上高51億円→87億円(CAGR19%)、営業利益5.8→17.4億円(CAGR44%)までそれぞれ伸長させる計画とするほか、ROE基準20%を設定しています。
向こう3年間の重点施策としては①積極的な人材採用、②ドメイン拡大、③自社によるMA・資本政策、が挙げられています。特に①の採用については、ロール前の中計目標KPIであった目標とする従業員数240人については、既に227名を数えるまでになっているため、採用はかなり急ピッチで進捗していることが確認されます。②のドメイン拡大については、リサ・パートナーズ傘下時代から得意としていた地銀ネットワーク活用による地銀再生・再編関連のほか、再生コンサルを通じて得たノウハウ活用による高付加価値DXの実装化案件を増やす目論見となっており、おそらく①で大量採用した人材リソースはこのDXコンサルに割いていくものとみられます。
③のMA・資本政策、については昨年末に広島銀行及び傘下のひろぎんキャピタルとの業務提携を公表しており、今後は地域金融機関のファンド組成やファンド運営サポートにくわえ、出資先企業の経営支援とセイムボート出資により、三位一体のファンドビジネスを志向します。総括すると新中計の業績目標はかなり意欲的ではあるものの、キー要素となる人材採用が想定超で推移しているほか、新型肺炎禍による事業会社の再生・譲渡は今後更に本格化するとみられることから、現時点の可視性は低いものの、数字感自体は達成不可能なものではないと考えています。
株主還元については、資金を必要としないビジネスモデルのため、配当性向30%基準で配当を実施しています。今期の配当予想は未定となっているものの、この公表配当性向を単純に当てはめれば、今期の配当額は18円~20円と予想されます。
*参考記事① 2020-11-07 2,675円 NT *分割修正済
【7038】フロンティア・マネジメント/採用優先で費用先行だが、新型肺炎禍は大きな“追い風”。
*参考記事② 2020-04-27 1,143円 OP *分割修正済
【7038】フロンティア・マネジメント/SBI的な地銀支援で、中期的な高成長に期待がかかる。
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