【7458】第一興商/カラオケ機器賃貸の回復顕著、自社株買い60億円で総還元性向は120%へ。 | なちゅの市川綜合研究所

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【7458】第一興商 (東証プライム) NT

現在値  4,220円/100株  P/E 23.0  P/B 2.16  3月配当優待 9月配当優待

業務用通信カラオケ『DAM』で業界首位、直営でビッグエコー・飲食店。
配当金は年2回の合計113円のため、配当利回りは約2.68%となります。

第一興商は株主優待制度を実施しており、100株以上の3月末・9月末株主に対して、当社利用券(カラオケ店舗・飲食店舗で利用可)を5,000円分を進呈しておりますので、配当優待利回りを算出した場合は約5.04%となります。

業績を確認していきます。

■2020年3月期 売上高 1,462億円、営業利益 190億円 EPS 221円 

■2021年3月期 売上高 933億円、営業利益▲26.9億円 EPS▲338円

■2022年3月期 売上高 947億円、営業利益▲2.8億円 EPS 95.2円 

■2023年3月期 売上高 1,265億円、営業利益 120億円 EPS 183円 ce

□2022年9月2Q 売上高 606億円、営業利益 57.7億円 EPS 109円 
□2022年12月3Q 売上高 945億円、営業利益 96.9億円 EPS 164円 (2/8)


2022年9月中間期の売上高はYoY+53.5%の606億円、営業利益はYoY+74億円の54.6億円となり、期初予想を上回って大幅な増収増益となりました。主力のカラオケ機器については、2度の緊急事態宣言下ながらもナイト市場の事業環境が改善し、リース料減免等も減少したことから、上期末の機器稼働台数も期末比+3%に拡大しました。直営のカラオケ・飲食店事業についても、時短による営業制限が無くなったため、平時比7割程度の水準まで売上が回復したほか、交渉による支払家賃の低減で採算性が良化しています。

 

2023年3月期の見通しは1Q時点で増額しており、売上高はYoY+33.5%の1,265億円(期予:1,260億円)、営業利益はYoY+123億円の120億円(期予:100.0億円)に修正しています。カラオケ機器については、新型肺炎禍の第7波・第8波の影響はあったものの、3Qからは営業制限が無くなり、ナイト市場の回復が顕著になっているほか、直営のカラオケ・飲食事業も書き入れ時の年末年始が大幅回復しており、駐車場の稼働率改善が進んでいます。2月8日開示済の3Qは売上高945億円&営業利益96.6億円と高進捗となっており、通期上振れ期待がかかります。


当社は中長期的な経営計画を開示していないほか、業容を多角化せずに既存3事業(カラオケ機器、カラオケ・飲食店運営、駐車場)でのオーガニックな成長を志向しています。主力のカラオケ機器事業は最近10年で殆ど伸びていないものの、機器販売から賃貸へのシフトを進めることで、新製品の発売有無による業績のブレの平準化を図っています。また、売上の6割を占める配信料と賃貸料を合算したストック性の売上比率は実に9割に及んでおり、当社業績の根幹を支えているため、漸減するスナック・バー市場でのシェア保持が肝となります。

 

カラオケ・飲食店事業については、駅周辺でのビル一棟借りと業態複合を特徴とした出店を進めているほか、オフィス街型の店舗として興銀ビル建替の丸の内テラスの1階、2階に最新鋭のカラオケやダーツ等を揃えた「MARUNOUCHI BASE」という複合AM併設型飲食業態を大箱出店するなどしています。当社は潤沢な自己資本を活かした積極出店・大型出店が強みではあるものの、500店程を運営する既存カラオケ店舗の深夜・早朝帯の客の戻りがいまだに鈍く、店舗運営事業の図体の大きさが全社の足を引っ張るような格好となっています。


なお株主還元については、年113円(配当性向61%)配当の配当予想を据え置いています。また本年2月には60億円(3.6%)の比較的大きめな自社株買いも公表しているため、全部買われる想定とすれば、進行期の総還元性向は実に120%を超える水準となります。


*参考記事① 2021-02-19  4,155円 OP

【7458】第一興商/見通し再減額も、財務なお余裕残しで自社株買い進捗も順調。

 

*参考記事② 2020-09-26  3,400円 OP

【7458】第一興商/カラオケ逆風も自己資本厚く、残存者利益獲得の好機到来か。

 

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