【7458】第一興商 (東証一部) OP
現在値 4,155円/100株 P/E--.- P/B1.52 3月配当優待 9月配当優待
業務用通信カラオケ『DAM』で業界首位、直営でビッグエコー・飲食店。
配当金は年2回の合計113円のため、配当利回りは約2.72%となります。
第一興商は株主優待制度を実施しており、100株以上の3月末・9月末株主に対して、当社利用券(カラオケ店舗・飲食店舗で利用可)を5,000円分を進呈しておりますので、配当優待利回りを算出した場合は約5.12%となります。
業績を確認していきます。
■2017年3月期 売上高 1,420億円、営業利益 206億円 EPS 193円
■2018年3月期 売上高 1,413億円、営業利益 211億円 EPS 230円
■2019年3月期 売上高 1,420億円、営業利益 196億円 EPS 274円
■2020年3月期 売上高 1,462億円、営業利益 190億円 EPS 221円
■2021年3月期 売上高 965億円、営業利益▲40.0億円 EPS(未定)円 ce修正
□2020年9月2Q 売上高 427億円、営業利益▲16.4億円 EPS▲69.3円 (11/9)
□2020年12月3Q 売上高 712億円、営業利益▲11.7億円 EPS▲59.3円 (2/8)
2020年9月中間期の売上高は前年同期比39.8%減の427億円、営業利益は同赤転(116億円の損益悪化)の▲16.4億円となり、大幅な減収減益となったほか、途中で開示した2Q予算に対しても未達となりました。主力のカラオケ事業については、顧客店舗であるカラオケ業者やカラオケ飲食店が休業(時短営業)ないしは廃業に追い込まれていることから稼働台数が減少したほか、販売から賃貸シフトに踏み切ったことが裏目に出る形でリース料減免に応諾したため大幅減となりました。また、直営のカラオケ・飲食店事業については、緊急事態宣言前後の約1ヵ月間で全面休業に踏み切ったほか、その後の時短営業や密集度の高いカラオケ自体への忌避傾向もあり、当該セグメントは大赤字での折り返しとなりました。
2021年3月期の見通しついては、3Q時点で再度修正しており、レンジ予想となる下限の売上高は34.6%減の965億円(期予:1,147億円)、営業利益は同赤転の▲40.0億円(期予:72.0億円)と更に減額幅を拡大させています。会社側は当初10月には前年の9割の売上水準に戻る想定で予算を組んでいるほか、2Q・3Qでボトムラインで雇用調整給付金の戻りを20億円分既に織り込むなど、楽観的に数字を取り込んでいたため再減額を強いられた格好となります。既に開示済の3Qについては、売上高が前年同期比36.3%減の712億円、営業利益は同赤転の▲11.7億円と2Qからは数字が良化していますが、4Qは年明けからの緊急事態宣言発出の影響を色濃く受けるとみられるため、結局は予想レンジ下限の表記程度の落着になるものと考えています。
当社は中長期的な経営計画を開示していないものの、新型肺炎禍における当座の成長施策としては、繁華性のある駅前商業立地にかなりの空き物件が出ていることから、賃料を抑制しつつ、新規出店を積極化させるものとみられます。特に当社はカラオケ機器の賃貸リース収入で積み上げた自己資本が非常に厚く、足許水準でも60%前後と外食他社やカラオケ他社を圧倒しているため、積極出店出来る体力もあることから残存者利益を確保しやすい事業環境になったという見方も出来ます。また商業ビルを賃借だけでなく、オンバランスで持つということにも手慣れた会社なので、カラオケ・居酒屋・カフェ等の複合用途による自社利用前提で空ビル一棟買いということも可能であり、逆に“泳ぎ幅”が広がったと言えます。
実際に足許では興銀ビル建て替えプロジェクトである新築の丸の内テラス(みずほ丸の内タワー)の1階、2階に最新鋭のカラオケやダーツ等を揃えた「MARUNOUCHI BASE」という複合アミューズメント併設型飲食業態を大箱出店するなどしており、ダイナック等の同エリアで幅を効かせるアッパー居酒屋チェーンを尻目に積極投資を推進しています。また、「メガビッグ」という飲み放題付の繁華立地向けのカラオケ大箱業態を開発して複数出店しており、都心大型店出店推進を進めるコシダカとともに、学生客中心の廉価帯を得意としていたクリアックスの牙城を崩しにかかる目論見とみられます。
なお株主還元については、修正後予算は赤字圏にも拘らず、年113円配当の配当予想を据え置いています。また昨年8月には50億円(2.8%)という当社にしては大きめな自社株買いを公表しており、手厚い自己資本を活かしたタイムリーな資本政策が実行されている印象です。
*参考記事① 2020-09-26 3,400円 OP
【7458】第一興商/カラオケ逆風も自己資本厚く、残存者利益獲得の好機到来か。
*参考記事② 2019-09-10 4,755円 NT
業績頭打ち感強く、今後の資本政策に注目・第一興商(7458)。
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