【8953】日本都市ファンド投資法人/KKR傘下入り後は外部成長力が伸長、先ずは歩合回復に期待。 | なちゅの市川綜合研究所

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【8953】日本都市ファンド投資法人(東証REIT) NT


現在値 98,800円/1株  P/E 22.2  P/NAV 0.91  2月分配 8月分配

三菱商事とUBSとスポンサーとする商業施設特化型で、セクターでは最大規模。MMIと合併へ。

予想分配金は2月末・8月末の年2回合計4,530円配で、分配金利回りは約4.59%となります。

業績を確認します。第38期までは合併前のJRF単独業績、DPUのみ分割遡及修正済です。

■2021年2月期_第38期 営業収益 305億円、経常利益 118億円 DPU 2,285円* JRF

■2021年8月期_第39期 営業収益 403億円、経常利益 135億円 DPU 2,286円 JMF

■2022年2月期_第40期 営業収益 405億円、経常利益 169億円 DPU 2,284円 JMF

■2022年8月期_第41期 営業収益 411億円、経常利益 157億円 DPU 2,263円 JMF

□2023年2月期_第42期 営業収益 409億円、経常利益 157億円 DPU 2,280円 JMFce

□2023年8月期_第43期 営業収益 406億円、経常利益 153億円 DPU 2,250円 JMFce

 

2022年8月期_第41期の落着は、営業収益は第40期比+1.3%の411億円、経常利益は同▲7.1%の157億円で上振れ着地となり、分配金は同2円減配の2,284円となりました。第40期取得の赤坂02、広尾01、船橋01の巡行化、期中取得のレジ2物件の一部寄与にくわえ、銀座01(30%)、サミット中野南台店、神宮前02売却で売却益14億円を計上しました。また、原価の水光熱費が想定超だったものの、歩合賃料やカード手数料は想定超となり、最終的に税会不一致にともなうRTAを▲0.9億円取り崩して微減配に留めています。

 

進行中の2023年2月期_第42期の見通しも微修正しており、営業収益が第41期比▲0.5%の409億円(従予:404億円)、経常利益は同変わらずの157億円(従予:UNCH)、分配金は同17円増配の2,280円(従予:UNCH)を予想しています。銀座01の残り40%持分の売却益14億円の計上や、改装したmozoワンダーシティの賃料増、12月に期中取得した大阪野田レジが増収寄与する一方、解約違約金剥落や原価の水道光熱費負担増にともない、横ばい圏となります。尚、上記分配金は内部留保(RTA、圧縮積立金)を▲2.1億円取り崩す前提です。

 

今回初公表の2023年8月期_第43期の予想は、営業収益が第42期比▲1.1%の404億円、経常利益は▲2.2%の153億円、分配金は同30円減配の2,250円を見込んでいます。ラウンドワン高槻店、ライフ岸部店の譲渡により、第42期比で売却益が6億円程増加するほか、期初取得のレジ3棟(北品川・大阪福島・池袋)も増収寄与するものの、心斎橋03のユニクロ退去にともなう原状回復収入を中心としたその他収入剥落(▲10億円)の影響が大きく、減収減益予想となります。尚、上記分配金は内部留保(RTA、圧縮積立金)を▲3.5億円取り崩す前提です。

 

当法人は2021円3月にMCUBS Midcity(MMI)を吸収し、日本都市ファンド(JMF)に衣替えしており、当初は多額の負のれんを内部留保として計上する予定でしたが、当時の株価急変により一転して正ののれん(160億円)の計上を強いられた経緯があります。そのため、税会不一致項目となる営業権償却が期あたり▲4億円発生しており、圧縮積立金や(過去の買収による)RTAといった内部留保を吐き出して、なんとか分配金水準を維持している状況です。

 

他方、運用法人親会社である三菱商事及びUBSの株式売却により、スポンサーがKKRに変更されています。KKRはハイアットリージェンシー東京を1,400億円で買収するなど、本邦での不動産エクスポージャーを急速に拡大しているだけでなく、マレリ(カルソニックカンセイ)や西友、PHC(パナソニックヘルスケア)など多くの大手事業会社を傘下に抱えていることから、これら再生絡みCRE案件の吐き出し等も期待されます。事実、KKR入り後の情報件数はYoY+43%と飛躍的に伸長していることから、外部成長力の強化が確認されます。

 

今後は売却による含み益の顕在化により、事実上の分配金のフロアである2,250円を守りつつ、上記のKKRルートを活用した物件入替を進めます。元よりこの3~5年程度で2,000億円程度の売却を進める方針としていましたが、既に半分程度まで進捗しており、商業依存度も60%水準まで低下しているため、安定度が増しています。その一方で、正常化後の回復力が弱くなってしまった点は否めないものの、先ずは商業歩合回復による巡行水準の底上げを待ちたいと思います。

 

*参考記事①  2022-07-30  108,400円  NT

【8953】日本都市ファンド投資法人/スポンサーが三菱商事系からKKRに変更、物件入替続く。

 

*参考記事②  2022-01-13 97,500円 NT

【8953】日本都市ファンド投資法人/DPUではなくEPUでの、2,250円配の到達を待ちたい。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。

 

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