【2685】アダストリア/ららぽーと門真にFOREVER21を出店へ、増額後予算はなお保守的。 | なちゅの市川綜合研究所

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【2685】アダストリア(東証プライム) BY


現在値 2,098円/100株  P/E 11.5  P/B 1.59 2月配当優待 8月配当

カジュアル衣料店をSC内軸に展開。グローバルワーク等ブランド多数。
配当金(実績ベース)は2月末・8月末の年2回で合計60円で、配当利回りは約2.86%となります。

アダストリアは株主優待制度を実施しており、単元株を保有する2月末の株主に対して、3,000円分のお買い物券を進呈しておりますので、配当優待利回りは約4.28%となります。なお、2年超の長期保有で優待額が5,000円になるので、その場合の同利回りは約5.24%となります。

業績を確認していきます。 

■2020年2月期 売上高 2,223億円 営業利益 128.0億円 EPS 135.1円 

■2021年2月期 売上高 1,838億円 営業利益 7.6億円 EPS▲14.8円

■2022年2月期 売上高 2,015億円 営業利益 65.6億円 EPS 108.7円 

■2023年2月期 売上高 2,400億円 営業利益 125.0億円 EPS 180.8円ce修正

□2022年8月2Q 売上高 1,125億円 営業利益 55.7億円 EPS 85.9円

□2022年11月3Q 売上高 1,770億円 営業利益 111.6億円 EPS 168.0円(12/9) 

2022年8月中間期の売上高はYoY+21.6%の1,125億円、営業利益はYoY*8.8倍の55.7億円となり、予算比は無いものの大幅な増収増益となりました。1Qはまん防終了とGW人流の回復で月次SSSは119.0%に上伸し、2Qも上海ロックダウンによる商品調達影響をこなして、同は110.8%と計画線を確保しました。業態別では「GLOBAL WORK(GW)」、「LAKOLE(LK)」、高額帯のエレメントルールが引き続き好調を維持しました。利益面については、為替の不利影響を値引き販売抑制で打ち返し、採算性も良化しました。

 

2023年2月期の通期見通しは3Q時点で修正しており、売上高がYoY+19.1%の2,400億円(従予:2,300億円)、営業利益はYoY+90.4%の125.0億円(従予:100.0億円)に修正しています。累計10ヶ月分が既開示のSSSは112.4%と堅調に推移しており、前年ハードルが高くなる3Q以降も着実に回復しています。投資は延べ132億円を計画しており、実店舗出店費用のほか、自社EC「ドットエスティ(.st)」の広告費・開発費、物流センターの自動化に投資します。出退店は「BAYFLOW(BF)」など純増36店(除:ゼットン)を見込みます。尚、増額後の4Q期間もコンサバ見込みとされており、更に上振れ公算が高いとみられます。

 

当社は進行期より中計をロールしており、最終年度の2026年2月期までの4ヵ年は売上高CAGR5%(最終的に2,800億円)、営業利益率8%、ROE15%を目指すこととしています。注力施策としては①ブランド強化、②EC・コト消費強化、③海外強化、④飲食等新規時評、の4点を挙げており、数字感も取組内容も従前中計と大差ありません。①は好調な「GL」にマス向け廉価商品を投じる一方、「niko and」はカフェや家具、アウトドア等も含めた提案型大型店を展開します。また「LOWRYS FARM」にはキッズ、メンズ向けを投入するほか、エレメントルールは「Chaos」「Curensology」の強化により“オトナ女子”向けの高価格帯を充実させます。

 

③は沿岸部の上海に店舗が集中していたことから、長らくロックダウンの影響を受けてきたものの、“ゼロコロナ政策”解除により中国本土がリオープンするため、本格出店に舵を切ります。7月に大型モールの南京水游城に300坪級の「niko and」を開業させたほか、上海以外の1級都市である成都、重慶にも出店エリアを拡大し、ドミナント展開を図ります。④は、DDHD傘下のゼットンの第三者割当増資(12.9億円)の引受と公開買付(15.8億円)により、子会社化・連結開始しています。ゼットンはハワイ系等「アロハテーブル」に代表されるライフスタイル想起型飲食業態を得意としており、当社ブランドとの親和性が高く、今後は飲食併設型の雑貨・アパレル業態の出店が加速するものとみています。

 

また、昨年9月には米国発のFFブランド「FOREVER21」の展開を公表しており、日本における販売権所有者兼マスターライセンシーである伊藤忠商事の下、今春のEC販売開始、実店舗1号店は4月開業予定のららぽーと門真に出店します。なお2028年2月期に上代売上高で100億円を目標としている模様です。以上から、成長ドライバーが非常に豊富ではあるものの、計数目標がかなり野心的であるため、現時点での達成可視性はあまり高くないものと考えます。

 

財務の状況については、当社は実質無借金経営を継続しており、足許時点でネット現金は100億円、自己資本比率も48.2%と高水準を確保しています。株主還元については、のれん償却前純利益の30%を目途に当初は年55円配当を予想していましたが、3Qで増配を公表しており、年60円配当(配当性向33.2%、のれん前32.2%)に修正しています。


*参考記事① 2022-07-14 2,106円 OP

【2685】アダストリア/自社EC「.st」の会員数が順調増、他社商材の取扱いも開始。

 

*参考記事② 2022-01-20  1,636円 OP

【2685】アダストリア/好財務活かし、飲食中堅のゼットンをTOBで子会社化へ。 

 

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