【2685】アダストリア/好財務活かし、飲食中堅のゼットンをTOBで子会社化へ。 | なちゅの市川綜合研究所

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【2685】アダストリア(東証1部) OP


現在値 1,636円/100株  P/E 19.4  P/B 1.41 2月配当優待 8月配当

カジュアル衣料店をSC内軸に展開。グローバルワーク等ブランド多数。
配当金(実績ベース)は2月末・8月末の年2回で合計50円で、配当利回りは約3.06%となります。

アダストリアは株主優待制度を実施しており、単元株を保有する2月末の株主に対して、3,000円分のお買い物券を進呈しておりますので、配当優待利回りは約4.88%となります。なお、2年超の長期保有で優待額が5,000円になるので、その場合の同利回りは約6.11%となります。

業績を確認していきます。 

■2019年2月期 売上高 2,262億円 営業利益 71.0億円 EPS 82.6円 

■2020年2月期 売上高 2,223億円 営業利益 128.0億円 EPS 135.1円 

■2021年2月期 売上高 1,838億円 営業利益 7.6億円 EPS▲14.8円

■2022年2月期 売上高 2,190億円 営業利益 65.0億円 EPS 84.1円 ce
□2021年8月2Q 売上高 926億円 営業利益 6.3億円 EPS 9.9円 

□2021年11月3Q 売上高 1,467億円 営業利益 44.8億円 EPS 78.1円(12/27)

2021年8月中間期は売上高YoY+16.3%/926億円、営業利益YoY+50億円(黒字化)の6.3億円となり、期初予算比は無いものの増収増益となりました。予算前提の単体SSSは118.2%(2019年2月期比では95.0%)で組んでおり、1Qは気温上昇による春物回復により同149.2%と大きく戻った一方、2Qは緊急事態宣言の再発出により同95.8%と前年同期を割り込んでいます。業態別ではグローバルワークやジーナシスのECが堅調に推移したほか、都心型のエレメントルール系が営業再開で回復しています。利益面では、トップラインの戻りと値引抑制、人件費削減により大きく改善したほか、営業外では受取助成金がオンされています。

 

2022年2月期通期見通しは期初のものを据え置いており、売上高YoY+19.1%/2,190億円、営業利益YoY*8.5倍/65.0億円を予想しています。累計10ヶ月分迄開示されている月次SSSは107.9%と、新型肺炎禍の長期化により対予算でトップラインが低調に推移しているほか、原価面では当初より販管費を100億円以上積み増し、自社EC「ドットエスティ(.st)」への広告費積極投下のほか正常化による費用復元を見込んでいるため、予算達成はやや厳しい状況とみられます。出退店については雑貨業態を中心に純増54店を見込む一方、足許ベースで44店と順調に増店しています。

 

当社は今期からの向こう4ヵ年(~2025年2月期)の数値目標として、売上高CAGR5%、営業利益率8%、ROE15%を定めています。具体的な取組としては、①多ブランド化、②ECとコト消費強化、③海外強化、④飲食等外部提携戦略、の4点を注力事項としています。①は「LOWRYS FARM」「LEPSIM」顧客女性の高齢化に対応すべく、40~50代向けの「Elura」、60代向けの「Utao」の開発にくわえ、韓国発の「ALAND」を導入しています。また、「BAYFLOW」、「LAKOLE」や既存の「niko and」といったライフスタイル提案型ブランドも、150坪~200坪といった大型賃借により、雑貨や家具のMDを充実させて裾野を広げます。

 

②のEC化率は実店舗の売上回復により足許で低下しているものの、新型肺炎禍で全社売上構成比の20%程から30%程へ飛躍的に成長しているほか、自社ECである「.st」の強化と店舗を絡めたオムニチャネル化の推進により、手数料を中抜きされるZOZO等の外部ECからの“吸引”も進んでいます。④については、DDHD傘下のゼットンの第三者割当増資(12.9億円)を引き受けるとともに、公開買付(15.8億円)を実施して最大50%程度の持分を握り、連結子会社に収めます。ゼットンはハワイ系等「アロハテーブル」に代表される意匠性に富んだ店舗が多く、当社既存のブランドラインとの親和性も一定程度は見込まれそうです。

 

財務の状況については、当社は実質無借金経営を継続しており(※主力4行に300億円のコミラインを設定済)、足許時点でネット現金100億円、自己資本比率も51.8%となっています。直近の第3四半期で60億円の短期借入を起こしており、これが上記ゼットンの買収資金である可能性はありますが、別途手当するとしても依然盤石な状況を維持しています。そのため、業績達成の如何によらず、予想配当の年50円もこのまま実施される公算が高いと考えています。

 

*参考記事① 2021-06-30 2,105円 OP

【2685】アダストリア/自社EC「.st」増勢で採算性は一段良化、他社比優位が際立つ。

 

*参考記事② 2020-01-16 2,381円 OP

【2685】アダストリア/暖冬懸念あるが今期は逃げ切りか、改めて増配期待。

 

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