【2685】アダストリア(東証1部) OP
現在値 2,106円/100株 P/E 15.1 P/B 1.69 2月配当優待 8月配当
カジュアル衣料店をSC内軸に展開。グローバルワーク等ブランド多数。
配当金(実績ベース)は2月末・8月末の年2回で合計55円で、配当利回りは約2.61%となります。
アダストリアは株主優待制度を実施しており、単元株を保有する2月末の株主に対して、3,000円分のお買い物券を進呈しておりますので、配当優待利回りは約4.03%となります。なお、2年超の長期保有で優待額が5,000円になるので、その場合の同利回りは約4.98%となります。
業績を確認していきます。
■2019年2月期 売上高 2,262億円 営業利益 71.0億円 EPS 82.6円
■2020年2月期 売上高 2,223億円 営業利益 128.0億円 EPS 135.1円
■2021年2月期 売上高 1,838億円 営業利益 7.6億円 EPS▲14.8円
■2022年2月期 売上高 2,015億円 営業利益 65.6億円 EPS 108.7円
■2023年2月期 売上高 2,300億円 営業利益 100.0億円 EPS 139.2円 ce
□2022年5月1Q 売上高 580億円 営業利益 45.7億円 EPS 73.2円(7/8)
□2022年8月2Q 売上高 1,040億円 営業利益 35.0億円 EPS 48.6円 四e
2022年2月期の売上高はYoY+9.6%の2,015億円、営業利益はYoY*8.5倍の65.0億円となり、対計画では減収も、利益は予算線を達成しました。1Qこそ春物回復で149.2%に回復したものの、2Q移行は緊急事態宣言やまん防の断続的発令により低調だった前年並みとなり、予算前提の単体SSS118.2%(2019年2月期比95.0%)に対して、実績107.0%となりました。業態別では「GLOBAL WORK(GW)」、「LAKOLE(LK)」が好調だったほか、高額帯のエレメントルールがECを中心に堅調でした。利益面では、トップライン回復と値引抑制、人件費削減により大きく改善し、営業外でも12億円の助成金を受領しました。
進行期である2023年2月期の予算は、売上高がYoY+14.1%の2,300億円、営業利益はYoY+52.3%の100.0億円を予想しています。累計4ヶ月分が既開示の月次SSSについては、前年ハードル自体が低いものの、好天寄与や外出需要の回復もあり、116.2%と順調な滑り出しが確認されます。投資は延べ132億円を計画しており、実店舗出店費用のほか、自社EC「ドットエスティ(.st)」の広告費・開発費、物流センタ-の自動化に投資します。出退店については、「BAYFLOW(BF)」など純増36店を見込み、期末1,464店体制を目指します。
この度当社は中計をロールしており、最終年度となる2026年2月期迄の4ヵ年は売上高CAGR5%(最終的に2,800億円)、営業利益率8%、ROE15%を目指すこととしています。注力施策としては①ブランド強化、②EC・コト消費強化、③海外強化、④飲食等新規時評、の4点を挙げており、数字感も中身も従前中計と殆ど変わりません。①は好調な「GL」にマス向け廉価商品を投じる一方、「niko and」はカフェや家具、アウトドア等も含めた提案型大型店を展開します。また「LOWRYS FARM」にはキッズ、メンズ向けを投入するほか、エレメントルールはオトナ女子向けの「Chaos」「Curensology」の強化で、高価格帯を充実させます。
②のEC化率は、新型肺炎禍で全社売上構成比の20%→30%へ飛躍的に成長しており、グロスの売上高ではユニクロに次ぐ国内2位となっています。特に二宮和也氏を起用した自社EC「.st」の積極的なCM等プロモーション施策により、オムニチャネル化が想定超で進捗しているほか、高額還元施策等の併用による外部ECからの“吸引”も進んでおり、自社EC率はついに6割に到達しています。また、1,410万人に膨らんだ一大会員へのマネタイズを進めるべく、美容機器のヤーマンや家具のシロカなど他社商材の取扱いにも乗り出しています。
④は、DDHD傘下だったゼットンの第三者割当増資(12.9億円)の引受と公開買付(15.8億円)により、同社を連結子会社に収めました。ゼットンはハワイ系等「アロハテーブル」に代表されるライフスタイル想起型飲食業態を得意としており、当社既存のブランドラインとの親和性も見込まれるほか、今後は飲食併設型業態の出店が加速するものとみています。以上から、成長ドライバーが多く、これ以外にも中国事業も付加されるものの、いかんせん中計に掲げる業績目標が強すぎるため、現時点での達成可視性は高くないものと考えます。
財務の状況については、当社は実質無借金経営を継続しており、足許時点でネット現金150億円、自己資本比率も55.1%と高水準を確保しています。株主還元については、のれん償却前純利益の30%を目途に、据置の年55円配当(配当性向39.5%、のれん前37.0%)を予想しています。
*参考記事① 2022-01-20 1,636円 OP
【2685】アダストリア/好財務活かし、飲食中堅のゼットンをTOBで子会社化へ。
*参考記事② 2021-06-30 2,105円 OP
【2685】アダストリア/自社EC「.st」増勢で採算性は一段良化、他社比優位が際立つ。
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