【7581】サイゼリヤ/ドル箱の中国事業が底入れ気配、足許の円安是正はトータルで追い風。 | なちゅの市川綜合研究所

なちゅの市川綜合研究所

「別に勝たなくてもいいので、負けないこと」を志向しております。
本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報等に基づき、作成されています。
当ブログの情報に全面的に依拠することはお控えいただき、最終的なご判断はご自身でお願いいたします。

image

【7581】サイゼリヤ(東証プライム) OP

現在値 3,000円/100株 P/E 33.3 P/B 1.56 8月配当 株主優待

低価格イタリアンを直営展開。自社豪工場で食材生産。中国など海外事業が利益柱。

配当基準日は8月であり、年18円配のため配当利回りは約0.60%となります。
 

サイゼリヤは株主優待制度を導入しており、8月末現在の1年以上継続保有する単元株主に対して2,000円分の食事券を進呈していますので、配当優待利回りは約1.26%となります。

業績を確認していきます。  

■2020年8月期 売上高 1,268億円、営業利益▲38.1億円、EPS▲70.8円 

■2021年8月期 売上高 1,265億円、営業利益▲22.6億円、EPS 36.3円  

■2022年8月期 売上高 1,442億円、営業利益 4.2億円、EPS 115.9円  

■2023年8月期 売上高 1,700億円、営業利益 75.0億円、EPS 90.9円 ce 
□2022年2月中 売上高  823億円、営業利益 27.0億円、EPS 32.7円 ce

2022年8月期の売上高はYoY+14.0%の1,442億円、営業利益はYoY+26.8億円の22.6億円と対前で増収増益も、減額後見通し比では未達となりました。予算前提のSSS(既存店売上高)は国内116.8%・海外110.7%でセットしていたところ、実績は国内で116.8%と計画線を確保したものの、新型肺炎禍の残る中国を中心とする海外が軒並み前年割れとなりました。出退店についても、期初時点では国内外合わせて純増45店を計画していましたが、実績は国内が純減20店、海外純増14店となりました(全1,547店)。


進行期である2023年8月期の予算については、売上高がYoY+17.8%の1,700億円、営業利益はYoY*17.7倍の75.0億円を予想しています。予算前提SSSは国内110.1%・海外112.2%、セグメント売上高は国内1,100億円・海外600億円ながら、セグメント利益は国内15億円に対して海外60億円を見込んでいます。出退店についても、計画純増数は国内+10店・海外+32店と海外中心となります。既開示の3ヶ月累計月次によれば、国内SSSは123.9%と急回復しており、酒類提供制限解除が大きく効いているものとみられます。

 

当社は中長期計画を開示していないものの、当面は国内では構造改革に注力し、成長軸については専ら海外での新規出店に焦点を当てています。国内事業は消費増税時の値下げや、その後の「ミラノ風ドリア1円値上げ」、直近のメニュー改定における大盛り・お子様パスタの廃止といった実質的なプライシング施策にくわえ、深夜営業の廃止による深夜手当、タクシー代、水光費の削減を進めることで、従来比8割の売上高での損分点確保を目指します。

 

他方で海外については、主力の中国市場で所謂“ゼロコロナ政策”によるロックダウン影響を大きく受けてきたものの、足許で当局が規制緩和に踏み切っていることから、売上回復と本格的な出店再開が期待されるほか、円安の場合は為替効果が見込まれます。なお、全社ベースでは円安は不利影響の方が大きく、進行期の前提レートは国内事業の豪ドルは95.1円、海外事業の中国元は20.3円のため、全社MtoMでは有利影響の方が大きいとみられます。

 

財務的には長らく無借金経営を続けてきましたが、新型肺炎禍の予備資金として125億円を長期借入で調達しているものの、営業外で高水準の助成金収入もあり、ネット475億円超の現預金を抱えています。配当は横引きの年18円配が予想されていますが、当社の還元ポリシーは安定性重視のため、業績が上振れてもそのまま据え置かれる公算が高そうです。

 

*参考記事① 2021-12-13 3,030円 OP

【7581】サイゼリヤ/足踏みする国内事業を尻目に、海外事業の成長は続く。

 

*参考記事② 2021-01-04  1,908円 OP

【7581】サイゼリヤ/短期借入で100億円調達も財務は超盤石、連続赤字でも配当据置きへ。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。

 

にほんブログ村 株ブログ 株主優待へ にほんブログ村 株ブログ IPO・新規公開株へ にほんブログ村 株ブログ サラリーマン投資家へ