【2972】サンケイリアルエステート投資法人(東証REIT) NT
現在値 87,600円/1株 P/E 18.9 P/NAV 0.72 2月分配 8月分配
サンケイビルをスポンサーとする総合型。オフィスビル8割、その他サブアセットが2割。
予想分配金は2月末・8月末の年2回合計4,616円配のため、分配金利回りは約5.27%となります。
業績を確認していきます。
■2021年2月期_第4期 営業収益 21.4億円、経常利益 10.1億円 DPU 2,849円
■2021年8月期_第5期 営業収益 21.7億円、経常利益 10.1億円 DPU 2,862円
■2022年2月期_第6期 営業収益 27.7億円、経常利益 13.9億円 DPU 2,983円
■2022年8月期_第7期 営業収益 30.2億円、経常利益 14.7億円 DPU 3,158円
□2023年2月期_第8期 営業収益 28.6億円、経常利益 10.4億円 DPU 2,239円 ce修正
□2023年8月期_第8期 営業収益 28.5億円、経常利益 11.1億円 DPU 2,377円 ce
2022年8月期_第7期の着地は、営業収益が第6期比9.0%増の30.2億円、経常利益は同6.0%増の14.7億円、分配金は同175円増の3,158円となりました。品川TSのソニーが3月末で7枚解約となったものの、一過性の違約金(3.4億円)を受領したほか、東陽町や大森の埋め戻しも寄与しました。原価面については、2021年取得物件の固都税費用化開始や水光費収支悪化影響があったものの、修繕費抑制や予備費の未消化で打ち返した結果、対予算でも増益を確保しました。
進行期である2023年2月期_第8期の見通しは微修正しており、営業収益は第7期比5.3%減の28.6億円(従予:27.7億円)、経常利益は同29.1%減の10.4億円(UNCH)、分配金は同919円減の2,239円(UNCH)と大幅な減収減益・減配を予想しています。品川TSのソニーの先行解約床の7枚の賃料フル剥落、違約金剥落影響が非常に大きな減収要因となるほか、ブリーゼタワーのDTも響きます。他方、ソニーの原状回復工事収入(2.5億円)があるものの、収支上はほぼトントンとなります。
今回公表された翌2023年8月期_第9期の予想については、営業収益が第8期比0.3%減の28.5億円、経常利益は同6.2%増の11.1億円、分配金は同138円増の2,377円を見込んでいます。3月末に品川TSのソニーの解約床が14枚追加で発生するため、期を通して賃料がほぼフル剥落するものの、“名無し”の物件売却益5.7億円の計上により、トップラインは実質的に増収予想(数字上は横引き)とし、品川TSのリーシング費用(1.1億円)を飲み込む計画です。
当法人は中期目標として、2022年頃のAUM2,000~3,000億円到達を目指していたものの、AUMは依然として966億円程に留まっています。上述のとおり、旗艦物件である品川TSでキーテナントであるソニーの解約により投資法人の利益の約3割強が吹き飛んでおり、巡行分配金は既に2,000円以下の水準とみられるほか、P/NAVも0.7倍台前半のため、増資が事実上不可能な状況となっています。
そのため、当面は品川TSの埋め戻しの進捗と、(AUMが減少するジレンマはあるものの)物件売却を通じた利益顕在化と物件入替によるファンダメンタルの改善をひたすら待つような格好となります。
*参考記事① 2022-07-09 95,400円 NT
【2972】サンケイリアルエステート投資法人/品川のソニー解約は影響甚大、PO期待が大きく後退。
*参考記事② 2020-12-09 95,100円 OP
【2972】サンケイリアルエステート投資法人/依然として内部成長余力は大きく、ホテル賃料も確保。
*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。
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