【2503】キリンホールディングス(東証プライム) OP
現在値 2,165円/100株 P/E 13.3 P/B 1.70 6月配当12月配当優待
ビール類シェア国内首位級。海外はアジア、豪州主力。傘下に協和キリン。
配当金は年2回合計65円配当で、配当利回りは3.00%となります。
キリンホールディングスは12月末現在の100株保有の株主に対して、1,000円分の当社製品等を進呈しており、配当優待利回りは約3.46%となります。
業績を確認していきます。会計基準はIFRSとなります。
■2019年12月期 売上高 19,413億円、事業利益 1,907億円 EPS 68.0円
■2020年12月期 売上高 18,495億円、事業利益 1,621億円 EPS 85.5円
■2021年12月期 売上高 18,215億円、事業利益 1,654億円 EPS 71.3円
■2022年12月期 売上高 19,900億円、事業利益 1,660億円 EPS 137.6円 ce
□2022年6月2Q 売上高 9,170億円、事業利益 720億円 EPS 66.6円
□2022年9月3Q 売上高 14,571億円、事業利益 1,351億円 EPS 156.3円(11/9)
2022年6月中間期の売上高はYoY+6.1%の9,170億円、事業利益はYoY+0.2%の720億円となり、予算比は無いものの市場予想線を上回りました。キリンビールが業務用回復も、家庭用数量減と原価高騰が響き減収減益、ビバレッジも同様に数量減で減収減益、豪州ライオンについても数量回復も一過性影響で減益となりました。他方、医薬事業・協和キリンがプラズマ乳酸菌の好調持続で大幅増となったほか、コーク・ノースイーストが価格改定と為替効果で好転し、この2セグメントが全社利益を押し上げた格好となります。
2022年12月期の通期見通しは中間時点で修正しており、売上高がYoY+9.2%の1.99兆円(期予:1.95兆円)、事業利益はYoY+4.0%の1,720億円(期予:1,660億円)を見込んでいます。キリンビールは下期の数量減と原価高騰影響を織り込み(▲70億円)、メルシャンと協和バイオで減額(▲45億円)する一方、為替有利効果が大きい協和キリン(+90億円)とコーク・ノースイースト(+49億円)で増額していますが、期初ゼロ想定のミャンマー分の実績算入(+46億円)考慮すれば、実力ベース修正無しとなります。尚、11月9日開示の3Qは売上高1兆4,571億円&事業利益1,351億円で進捗しているため、上振れる公算です。
当社は2024年12月期を最終年度とする中期経営計画を公表しており、向こう3年で平準化EPS156円→213円(CAGR11%+)、事業利益1,654億円→2,386億円(CAGR13%+)、ROIC10%+を目指すこととしています。取組事項は、①食料域の利益拡大、②医療域の世界基盤拡大、③ヘルスサイエンス領域の規模拡大、の3点を掲げています。コア事業への集中を進める方針であり、中計公表に先立って懸案のミャンマーJV事業からの撤退(事業利益影響▲80億円/y、売却損は減損戻入とその他営業外損益でほぼ相殺)を公表しています。
①食料域は国内のSCMコスト・販管費の削減と、海外は値上げにより300億円の採算改善を見込みます。主力の一番搾りは、10月に値上げがあったものの、36年振りのアサヒ・スーパードライ刷新や、サントリー糖質ゼロ商品投入といった業界の過当競争影響を色濃く受けているほか、アルミ缶をはじめとする原材料価格の高騰で苦戦が続きます。そのため、セカンドラインのスプリングバレー等のプレミアム商品による高付加価値化が急務となっていますが、未だ軌道に乗れていない状況です(※北米クラフトのNew Belgium Brewingのポテンシャルは評価可能)。
また、②医領域の協和キリン(持分53.4%)は順調な成長が見込まれるものの、当社ヘルスサイエンスとのシナジーが薄いほか、連結子会社にも拘わらず統制があまり効いていない状況です。③のヘルスサイエンス領域でのプラズマ乳酸菌・ヒトミルクオリゴ糖・シチコリンといった戦略素材への投資も収益化にかなり時間を要するとみられ、持分法適用のファンケルとの協業を推進する前提に立てば、株式の追加取得が想定されるものの、会社側は慎重姿勢を崩していません。
株主還元については、平準化後EPSに対して配当性向41%となる年65円配当の据置を予定しています。また、9月までに500億円規模(3.6%)の自社株買いを実行しており、中計でターゲットとするEPS成長への一定の拘りは感じられるため、中計の業績計数の可視性は依然としてかなり低いものの、還元策については評価出来る部分もありそうです。
*参考記事① 2022-05-12 1,917円 OP
【2503】キリンホールディングス/懸案のミャンマー撤退も、オーガニック成長可視性は低め。
*参考記事② 2015-09-04 1,723円 OP
会計変更による利益水増も株主還元は強化、キリンホールディングス(2503)。
*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。