【2503】キリンホールディングス(東証プライム) OP
現在値 1,917円/100株 P/E 13.9 P/B 1.79 6月配当12月配当優待
ビール類シェア国内首位級。海外はアジア、豪州主力。傘下に協和キリン。
配当金は年2回合計65円配当で、配当利回りは3.39%となります。
キリンホールディングスは12月末現在の100株保有の株主に対して、1,000円分の当社製品等を進呈しており、配当優待利回りは約3.91%となります。
業績を確認していきます。会計基準はIFRSとなります。
■2018年12月期 売上高 19,305億円、事業利益 1,993億円 EPS 183.5円
■2019年12月期 売上高 19,413億円、事業利益 1,907億円 EPS 68.0円
■2020年12月期 売上高 18,495億円、事業利益 1,621億円 EPS 85.5円
■2021年12月期 売上高 18,215億円、事業利益 1,654億円 EPS 71.3円
■2022年12月期 売上高 19,500億円、事業利益 1,660億円 EPS 137.6円 ce
□2022年6月2Q 売上高 9,000億円、税前利益* 815億円 EPS 63.2円 四e
2021年12月期の売上高はYoY▲1.5%の1.82兆円、事業利益はYoY+2.0%の1,654億円となり、期初予想を下回って減収増益となりました。酒税改定と家庭向けが伸長したキリンビールが数量増もブランド投資増で減益、ビバレッジは特保・機能性商品好調も、天候不順と自販機低調で減収減益となりました。他方、豪州ライオンは乳事業売却による減収も、好調なクラフトビールの拡販で増益、医薬事業・協和キリンはプラズマ乳酸菌の継続成長と協和発酵バイオの黒字化で増収増益となりました。尚、ミャンマー事業撤退によりボトムで▲466億円の減損を繰り入れていますが、前期より減損幅は縮小しています。
進行期である2022年12月期の予算は、売上高がYoY+7.1%のの1.95兆円、事業利益はYoY+0.3%の1,660億円を見込んでいます。キリンビールは一番搾り(缶)と、クラフト市場の拡大により豊潤496の数量増により増収増益とする一方、ビバレッジは数量増もコスト増を吸収しきれず減益を見込みます。豪ライオンはクラフト市場の順調な拡大と新型肺炎禍の一巡による業務用の戻りで増収増益、医薬事業・協和キリンはプラズマ乳酸菌への先行投資が続くもののグローバル戦略3品の堅調推移に増収増益を見込みます。3月迄の市場のビール類出荷は前年超で推移しているものの、競合品の刷新や投入もあり、当社は相対的に弱含みで推移する見通しです。
当社は2024年12月期を最終年度とする中期経営計画を公表しており、向こう3年で平準化EPS156円→213円(CAGR11%+)、事業利益1,654億円→2,386億円(CAGR13%+)、ROIC10%+を目指すこととしています。基本方針としては、①食料域の利益拡大、②ヘルスサイエンス領域の規模拡大、③医療域の世界基盤拡大、を掲げているものの、概ね長期経営構想通りの内容です。コア事業への集中を進める方針であり、中計公表に先立って懸案のミャンマーJV事業からの撤退(事業利益影響▲80億円/y)を公表しています。
①食料域については、国内ではSCMコストや販管費の削減、海外ではプライシングにより300億円の採算性改善を見込みます。ただ主力の一番搾りは、36年振りのアサヒ・スーパードライ刷新や、サントリー糖質ゼロ商品投入影響を受けるほか、クラフトビールも競合品の多様化が進んでおり、多額の顧客獲得費用を投じたHomeTapも想定以下の推移が続いるため、高付加価値化が進んでいないとみられます。
また、②ヘルスサイエンスについては、プラズマ乳酸菌・ヒトミルクオリゴ糖・シチコリンといった戦略素材に600億円を投じ、ファンケルとの競合を推進する目論見となっていますが、収益化に結び付いていない状況です。③医領域の協和キリン(持分53.4%)は順調な成長が見込まれるものの、当社ヘルスサイエンスとのシナジー発現が薄く、連結ではあるもののコントロールもあまり機能していない印象です。そのため、現時点では中計の達成可視性は極めて低く、当面は事業ポートフォリオ再構築による“筋肉質化”に期待したいと考えます。
株主還元については、平準化後EPSに対して配当性向41%となる年65円配当の据置を予定しています。別途、2月には500億円規模(3.6%)の自社株買いを公表しており、中計でターゲットとするEPS成長への一定の拘りを感じられたので、中計計数自体の妥当性はともかく、その辺りの資本政策については評価しています。
*参考記事① 2015-09-04 1,723円 OP
会計変更による利益水増も株主還元は強化、キリンホールディングス(2503)。
*参考記事② 2015-04-23 1,645円OP
今期予想配当は前期並みの38円止まり、キリンホールディングス(2503)
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