【9273】コーア商事ホールディングス(東証プライム) OP
現在値 585円/100株 P/E 9.4 P/B 1.23 6月配当 株主優待あり
ジェネリック医薬品の原薬販売が中心。注射剤や経口剤を中心とした医薬品製販も。
配当は6月末一括の年11円配当のため、配当利回りは約1.88%となります。
コーア商事は株主優待制度を実施しており、6月末の単元株主に1,000円分のクオカードを進呈しているほか、1年超継続保有の株主に対しては同2,000円分を進呈しているため、配当優待利回りはそれぞれ約3.58%、約5.29%となります。
業績を確認していきます。
■2020年6月期 売上高 160億円、営業利益 23.2億円、EPS 44.1円
■2021年6月期 売上高 178億円、営業利益 33.7億円、EPS 53.9円
■2022年6月期 売上高 203億円、営業利益 38.0億円、EPS 53.9円
■2023年6月期 売上高 222億円、営業利益 39.5億円、EPS 61.8円 ce
□2022年9月1Q 売上高 53.5億円、営業利益 10.1億円、EPS 15.2円(11/11)
□2022年12月2Q 売上高 90億円、営業利益 16.5億円、EPS 25.0円 四e
2022年6月期の売上高はYoY+14.2%の203億円、営業利益はYoY+12.7%の38.0億円となり、3Qの増額修正見通しまで届かなかったものの、期初比では大幅に上振れました。原薬販売事業については、新規採用品目の伸長や他社品供給停止による代替需要が寄与し、薬効別では発生循環器管用薬や腫瘍用薬が中枢神経系用が好調に推移しました。医薬品製販事業についても、主力の「マキサカルシトール」の不採算認定によりプラスの薬価改定がなされたため、製造量を15ℓ→17ℓに引き上げ、この単価及び数量効果が寄与しました。
進行期である2023年6月期の予算は、売上高がYoY+9.1%の222億円、営業利益はYoY+3.7%の39.5億円と続伸を見込みます。利益柱の原薬販売事業は、2020~2024年に薬価収載見込みとなる新規採用品が増加する一方で、円安による仕入れ原価高騰により利益は横這い止まりとなります。医薬品製販事業については、引き続き「マキサカルシトール」の製造ライン増強に取り組んでおり、追加で1億円を投じて年内にも製造量をもう一段増加させる計画です。尚、11月11日公表済の3Qは売上高53.5億円&営業益10.1億円と順調な進捗が確認されます。
当社は中計を開示していないものの、医薬品製販事業において2023年6月期頃に原薬販売事業と並ぶ利益水準を目指し、全社で営業利益32億円水準(*手許試算値)を目指す目標感でしたが、既に過達となっています。原薬販売が薬価改定影響で利益水準がジリ貧に陥っていたほか、厚労省によるジェネリック医薬品原料の調達ルート複線化(2社以上)の指針で被リプレイス影響がみられたものの、近年では逆にリプレイスの取込が進んで利益水準が回復してきたことに由ります。
業容シフトをすすめる計画の医薬品製販事業は成長ペースがいまひとつだったものの、旗艦の蔵王工場の増産を進めています。上述の「マキサカルシトール」の薬価上方改定を契機に更なるライン増強と検査設備の自動化を進めており、現在の増産後生産量17ℓを25ℓまで引き上げる方針です。また、バイアル製剤もまだラインに余裕があることから、シリンジ品も含めて抗がん剤に代表される高薬理活性剤の新規受注獲得を図ります。
他方、原薬販売事業については複数商材(AG向け:2品目、長期収載品向け:数品目)が評価中フェーズに入っていることや、今後の施策として海外承認済の医薬品を国内中堅製薬会社が導入する際の仲介業(ライセンスイン)に取り組むことにより、商社機能を伸ばす方針としています。
財務状況については、ネットキャッシュ50億円弱、自己資本比率71.8%と盤石の状況となっています。他方、蔵王工場への追加投資を継続しているほか、医薬品製販事業のMAも志向するなど資金需要があることから、株主還元については据置となる年11円配当を予想しています。
*参考記事① 2021-10-21 694円 OP
【9273】コーア商事HD/原薬販売事業もリプレイス獲得で反転、蔵王工場増強で安定成長へ。
*参考記事② 2020-11-04 655円(*分割後修正後) OP
【9273】コーア商事ホールディングス/医薬品製販事業が想定超、一部指定で記念配に期待。
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