【3201】日本毛織/目下堅調も、108円の為替予約消失とエネルギー高騰で不透明感強い。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3201】日本毛織 (東証プライム) OP

現在値 995円/100株 P/E 10.37  P/B 0.67  5月配当 11月配当優待

羊毛紡織の有力会社だが、利益柱は商業施設賃貸。介護・売電も展開。
配当は5月末・11月末の年2回・合計30円配当のため、配当利回りは3.02%となります。

ニッケは株主優待制度を導入しており、5月末に単元株を1年以上保有する株主に対し、1,000円分のクオカードを進呈しておりますので、配当優待利回りは約4.03%となります。

業績を確認していきます。 

■2019年11月期 売上高 1,264億円、営業利益 104億円、EPS 89.7円

■2020年11月期 売上高 1,049億円、営業利益 90億円、EPS 98.5円

■2021年11月期 売上高 1,066億円、営業利益 99億円、EPS 115.0円 

■2022年11月期 売上高 1,150億円、営業利益 102億円、EPS 95.0円 ce
□2022年5月2Q 売上高 536億円、営業利益 51.8億円、EPS 51.8円   

□2022年8月3Q 売上高 799億円、営業利益 77.6億円、EPS 78.3円(10/12)  

 

2022年5月中間期の売上高はYoY+6.1%の536億円、営業利益はYoY+10.4%の51.8億円となり、予算比は無いものの増収増益で進捗しました。衣料繊維事業は、予算削減の警察制服や企業制服が低調ながらも、学校制服や一般衣料向け素材好調で増収となったほか、産業機材事業も車載電装のFA設備が横ばいも、半導体関連の好調持続やフジコーの新規連結効果が大きく、大幅な増収増益確保となりました。また、不動産関連事業も建設・保育・介護が軒並み好調だったものの、生活流通事業は巣ごもり特需の剥落でECが低調に推移しました。

 

2022年11月期通期見通しは期初のものを据え置いており、売上高がYoY+7.9%の1,150億円、営業利益はYoY+3.0%の102億円を見込んでいます。衣料繊維事業は学校制服の受注拡大や欧州向け一般衣料素材の好調が持続しているほか、産業機材事業は買収したフジコーの車両向け不織布・縫製糸の好調にくわえ、中国新工場が稼働開始した環境フィルターの上乗せにより通期で大幅増が見込まれます。10月12日既開示の3Q決算によれば、売上高799億円&営業利益77.6億円で進捗しており、2Q時点から増収増益幅が縮小しているため、現状では計画インラインとみられます。


進行期は3年中計の中間年度であり、最終年度の2023年11月期に売上高1,270億円(CAGR6%)、営業利益を115億円(CAGR8%)を定量目標としています。領域別の基本戦略として、①衣料繊維事業:中国の学生服市場拡販と高性能機能性商材の開発、②不動産関連事業:市川・加古川の周辺事業(介護・保育・キッズ・スポーツスクール等)拡大、③産業資材事業:海外拡大とフジコー(3515)との提携強化、④生活流通事業:EC拡大、を掲げています。

 

中計推進のために、計画3ヵ年の純利益と減価償却費の合計300億円とデット200億円の合計500億円を設備投資とMAにつぎ込む方針です。①の衣料繊維では大型設備更新を実施するほか、③の産業資材では2020年にフジコー(3515/年商71億円)を買収し、完全子会社化しています。フジコーの主力製品である不織布は、慢性的に中国の低廉輸入品の影響を色濃く受けていることから、当社子会社で同事業を手掛けるアンビック(年商72億円)と提携し、生産統合や共同研究・購買等により合理化を推進します。

 

当社は保守的に中計組みをする傾向があり、前回中計も相応の過達で仕上がったほか、今次中計1年度目のマイルストン業績も営業益ベースで13億円上振れているため、達成蓋然性は高いようにもみられます。然しながら、足許で急激な円安が進行している一方で、衣料事業の想定為替レートは1ドル106円で組んでいることが懸念要素です。進行期までは108円で大半ヘッジしているものの、翌期からはヘッジが切れるためかなり原価増が予想されるほか、電気代高騰も会社側想定超の水準に達していることから、中計の達成可視性が急低下しているものと判断されます。

 

他方、株主還元に関しては配当性向30%(ROE8%、DOE2%)を基準としており、進行期は2円増配の年30円配当を予想しています。ただ当社は実質無借金であるとともに、180億円を超える膨大な投資有価証券を保有している盤石財務のため、これ以上貯めこむ必要はなく、もう一歩踏み込んだ還元拡充が望まれます。

 

*参考記事① 2022-04-09 882円 OP

【3201】日本毛織/中計1年度目は大幅過達で推移、株主還元の拡充が待たれる。

 

*参考記事② 2021-10-15 946円 OP

【3201】日本毛織/持分法化したフジコー(3515)をはや完全子会社化も、損益貢献は先。

 

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