【3201】日本毛織/中計1年度目は大幅過達で推移、株主還元の拡充が待たれる。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3201】日本毛織 (東証1部) OP

現在値 882円/100株 P/E 9.28  P/B 0.63  5月配当 11月配当優待

羊毛紡織の有力会社だが、利益柱は商業施設賃貸。介護・売電も展開。
配当は5月末・11月末の年2回・合計28円配当のため、配当利回りは3.17%となります。

ニッケは株主優待制度を導入しており、5月末に単元株を1年以上保有する株主に対し、1,000円分のクオカードを進呈しておりますので、配当優待利回りは約4.30%となります。

業績を確認していきます。 

■2019年11月期 売上高 1,264億円、営業利益 104億円、EPS 89.7円

■2020年11月期 売上高 1,049億円、営業利益 90億円、EPS 98.5円

■2021年11月期 売上高 1,066億円、営業利益 99億円、EPS 115.0円 

■2022年11月期 売上高 1,150億円、営業利益 102億円、EPS 95.0円 ce
□2022年5月2Q 売上高 535億円、営業利益 50億円、EPS 40.7円 四e  

 

2021年11月期の売上高はYoY+1.6%の1,066億円、営業利益はYoY+9.4%の99.0億円となり、中間の増額予算を上振れて着地しました。衣料繊維事業は制服値上げ前の仮需剥落で数量減も、プライシング効果や生地見直しによる原価減で増益を確保したほか、生活事業もEC向けの寝装品や生活家電・雑貨、官公庁向け感染防護衣が好調に推移しました。他方、不動産関連事業については市川と加古川の商業施設が前期並みだった一方、児童施設や大型案件剥落の建設関連が低調だったほか、産業機材事業もフジコーの2ヶ月取込で増収するも、自動車市場低調によるFA装置投資抑制や環境用フィルターの需要減で減益となっています。

 

進行期である2022年11月期の予算については、売上高がYoY+7.9%の1,150億円、営業利益はYoY+3.0%の102億円を予想しています。衣料繊維事業において新型肺炎禍一巡による企業向けユニフォームや一般衣料向け素材の回復が見込まれるほか、苦戦の産業機材事業についても、自動車生産の回復によるFA装置の復調や、中国の環境用フィルターの新工場稼働開始による上乗せが見込まれます。他方、不動産関連事業については、商業施設の一部改装工事入りで減収となるほか、生活流通事業も巣ごもり特需の一巡で反落を想定しています。


進行期は3年中計の中間年度となっており、最終年度である2023年11月期に売上高1,270億円(CAGR6%)、営業利益を115億円(CAGR8%)を目指すこととしています。領域別の基本戦略として、①衣料繊維事業:中国の学生服市場拡販と高性能機能性商材の開発、②不動産関連事業:市川・加古川の周辺事業(介護・保育・キッズ・スポーツスクール等)拡大、③産業資材事業:海外拡大とフジコー(3515)との提携強化、④生活流通事業:EC拡大、が掲げられています。

 

上記推進のため全社で450億円の成長投資枠を設定し、向こう3年間の純利益と減価償却費の合計300億円とデット200億円の合計500億円を設備投資とMAにつぎ込む方針です。具体的には①で大型の設備更新を実施するほか、③で2020年5月にフジコー(3515/年商71億円)の30%持分を取得したほか、昨年9月に完全子会社化しています。フジコーが主戦場とする不織布は、国内が頭打ちの一方で中国の低廉な輸入不敷布に押されているような状況であるため、当社子会社で不敷布を手掛けるアンビック(年商72億円)と合併させ、当社グループのバリューチェーンを活かした海外展開や、生産拠点の統廃合による合理化を図るとみられます。

 

今次中計の最終目標である営業利益115億円は新型肺炎禍前(2019年11月期)の実績104億円を考慮すれば達成可能圏にあり、前回中計も過達となったことから蓋然性は高いものと考えています。事実、終わった中計1年度目のマイルストン業績については、営業利益ベースで13億円も上振れて推移しており、当初は中計終盤に数字が尻上がりとなる想定だったものの、(背伸びをしない)巡行レベルの成長でも十分手に届くような勢いとなっています。

 

他方、株主還元に関しては配当性向30%(ROE8%、DOE2%)を基準としており、今期は1円増配の年28円配当を予想しています。ただ当社は実質無借金であるとともに、180億円を超える膨大な投資有価証券を保有している盤石財務のため、これ以上貯めこむ必要がなく、一段の還元拡充が望まれるところではあります。

 

*参考記事① 2021-10-15 946円 OP

【3201】日本毛織/持分法化したフジコー(3515)をはや完全子会社化も、損益貢献は先。

 

*参考記事② 2021-03-19 1,023円 OP

【3201】日本毛織/累進配当&DOE2%基準導入により、株主還元拡大に改めて期待。

 

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