【3201】日本毛織/持分法化したフジコー(3515)をはや完全子会社化も、損益貢献は先。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3201】日本毛織 (東証1部) OP

現在値 946円/100株 P/E 18.3  P/B 0.78  5月配当優待 11月配当優待

羊毛紡織の有力会社だが、利益柱は商業施設賃貸。介護・売電も展開。
配当は5月末・11月末の年2回・合計27円配当のため、配当利回りは2.85%となります。

ニッケは株主優待制度を導入しており、5月末に単元株を1年以上保有する株主に対し、1,000円分のクオカードを進呈しておりますので、配当優待利回りは約3.91%となります。

業績を確認していきます。 

■2018年11月期 売上高 1,105億円、営業利益 83億円、EPS 72.2円

■2019年11月期 売上高 1,264億円、営業利益 104億円、EPS 89.7円

■2020年11月期 売上高 1,049億円、営業利益 90億円、EPS 98.5円

■2021年11月期 売上高 1,070億円、営業利益 88億円、EPS 55.7円 ce修正
□2021年5月2Q 売上高 505億円、営業利益 47億円、EPS 14.5円  

□2021年8月3Q 売上高 765億円、営業利益 71億円、EPS 36.2円(10/8) 

 

2021年5月中間期の売上高は前年同期比3.7%減の505億円、営業利益は同11.9%増の47億円で進捗し、予算との比較は無いものの減収増益となりました。衣料繊維事業は制服値上げ前の仮需剥落で数量低調もプライシング効果発現で増益を確保したほか、生活事業もEC向けの寝装品や生活家電・雑貨が好調だったほか、官公庁向け感染防護衣が増勢でした。他方、不動産関連事業については市川と加古川の商業施設が堅調に推移した一方、児童施設や建設関連が低調だったほか、産業機材事業も自動車市場低調を受けたFA装置の投資抑制や環境用フィルターの需要減で大幅な減益となっています。

 

2021年11月期の通期見通しは中間時点で微増額しており、売上高が前期比2.0%増の1,070億円(期予:UNCH)、営業利益は同2.8%減の88億円(期予:86億円)に修正しています。衣料繊維事業は値上げ効果と生地見直しによる原価減で採算良化が通期で進むほか、“巣ごもり”需要で全般好調だったEC向けの上期上振れ分を織り込む形で見通しを増額しています。また、上期不調だった産業機材事業も、自動車向けのFAの復調が期待されるものの、これまで業績牽引役だった不動産関連事業は、見送った商業施設の修繕実施や、建設事業の受注反落で減収を見込んでいます。10月8日に開示済の3Qは、売上高が765億円&営業益71億円で仕上がっており、超過ペースとみられます。


今期は新3年中計の初年度となっており、最終年度である2024年5月期に売上高1,270億円(CAGR6%)、営業利益を115億円(CAGR8%)を目指しています。領域別の基本戦略として、①衣料繊維事業:中国の学生服市場拡販と高性能機能性商材の開発、②不動産関連事業:市川・加古川の周辺事業(介護・保育・キッズ・スポーツスクール等)拡大、③産業資材事業:海外拡大とフジコー(3515)との提携強化、④生活流通事業:EC拡大、が掲げられています。

 

上記推進のため全社で450億円の成長投資枠を設定し、向こう3年間の純利益と減価償却費の合計300億円超と、追加資金調達(デット想定)200億円を合わせた500億円超の殆どを設備投資とMAにつぎ込む方針です。特に③については2020年5月にフジコー(3515/年商71億円)の30%持分を取得したほか、この9月に株式交換にて完全子会社化しています。同社が主戦場とする不織布は、国内が頭打ちの一方で中国の低廉な輸入不敷布に押されているような状況であるため、当社子会社で不敷布を手掛けるアンビック(年商72億円)と合併させ、当社グループのバリューチェーンを活かした海外展開や、生産拠点の統廃合による合理化を図るとみられます。

 

中計目標の営業利益115億円という水準自体は、2018年度に105億円を叩き出していたことを踏まえれば実現可能とみられるほか、前回中計も超過達成したことから蓋然性はそれなりに高いものと考えています。但し、フジコーへの資本参加→完全子会社化へのスピード感と業容のスケール化については評価出来るものの、同社の業績はここ数年は営業赤字圏にあり、当面の損益貢献はマイナス寄与となりうる点は割引く必要がありそうです。

 

他方、株主還元に関しては配当性向30%(ROE7%)を基準としており、今期は据置の年27円配当を予想しています。ただ当社は実質無借金であるとともに、200億円を超える膨大な投資有価証券を保有している盤石財務であり、また今期からはDOE2%基準と累進配当を還元ポリシーに加えています。そのためスポットの自社株買い期待にくわえ、期末にかけて落着増配(年29~30円)されるものと考えています。

 

*参考記事① 2021-03-19 1,023円 OP

【3201】日本毛織/累進配当&DOE2%基準導入により、株主還元拡大に改めて期待。

 

*参考記事② 2020-10-22 1,022円 OP

【3201】日本毛織/フジコー株式の3割超を取得、相次ぐ買収で業容拡大意欲は強い。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。

 

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