【3201】日本毛織/累進配当&DOE2%基準導入により、株主還元拡大に改めて期待。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3201】日本毛織 (東証1部) OP

現在値 1,023円/100株 P/E 18.3  P/B 0.78  5月配当優待 11月配当優待

羊毛紡織の有力会社だが、利益柱は商業施設賃貸。介護・売電も展開。
配当は5月末・11月末の年2回・合計27円配当のため、配当利回りは2.64%となります。

ニッケは株主優待制度を導入しており、5月末・11月末に単元株を保有する株主に対し、500円分のクオカードを進呈しておりますので、配当優待利回りは約3.61%となります。

業績を確認していきます。 
■2017年11月期 売上高 1,034億円、営業利益 83億円、EPS 71.5円

■2018年11月期 売上高 1,105億円、営業利益 83億円、EPS 72.2円

■2019年11月期 売上高 1,264億円、営業利益 104億円、EPS 89.7円

■2020年11月期 売上高 1,049億円、営業利益 90億円、EPS 98.5円(1/14)

■2021年11月期 売上高 1,070億円、営業利益 86億円、EPS 55.7円 ce
□2021年5月2Q 売上高 530億円、営業利益 45億円、EPS 41.8円 四e 

 

2020年11月期の売上高は前期比17.0%減の1,049億円、営業利益は同13.6%減の90億円で着地しており、中間時点の減額修正予算を大きく上回り、対期初予算でも上振れとなりました。各事業とも新型肺炎の影響があったものの、衣料繊維事業は各種制服の値上げ前の仮需が旺盛だったほか、不動産関連事業も市川と加古川は休館後に客足が前年並みに復元したほか、介護・保育分野については利用者数の増加により底堅く推移しました。また、流通事業については“巣ごもり”需要の増加で、EC向け家電・雑貨、100円ショップ向け雑貨、家具販売が軒並み好調となりました。その一方、産業機材事業については自動車市場低調を受けたFA装置の大幅減と釣り具・スポーツ用品の需要減で大幅なセグメント減益となっています。

 

進行中の2021年11月期の見通しについては、売上高が2.0%増の1,070億円、営業利益は同5.0%減の86億円と減益を予想しています。衣料繊維事業に関しては、学生服値上げと生地見直しによる好採算化が見込まれるほか、全般的に新型肺炎禍における需要減からの反発を見込んでいます。同様に産業機材事業についても、自動車向けの各種資材が回復していることから増収を見込んでいます。一方、不動産関連事業については、実績期に見送った商業施設の修繕工事の実施や、好調だった建設事業の反動減が見込まれるため減益、流通事業についてもEC特需の剥落を織り込んで減益予想となっています。全社トータルとしては従来通り保守的な予算の印象です。


今期は新3年中計の初年度となっており、最終年度である2024年5月期に売上高1,270億円(CAGR6%)、営業利益を115億円(CAGR8%)を目指すこととしています。領域別の基本戦略として、①衣料繊維事業における中国の学生服市場拡販や高性能機能性商材の開発、②不動産関連事業における市川・加古川の周辺事業(介護・保育・キッズ・スポーツスクール等)拡大、③産業資材事業における海外拡大とフジコー(3515)との提携強化、④生活流通事業におけるEC拡大、がそれぞれ掲げられています。

 

これらの既存領域の定性目標以外では、全社合計で450億円の“成長投資枠”を設定しており、向こう3年間の純利益と減価償却費の合計300億円超と、追加資金調達(デット想定)200億円を合わせた500億円超の殆どを設備投資とMAにつぎ込む方針です。特に足許においてもMAは活発に実施しており、昨年年2月に福井の合成繊維製品販売会社の第一織物(年商22億円、経常利益2.2億円)の70%持分を取得したほか、同年5月には不織布大手のフジコー(3515、年商85億円、経常損失▲1.2億円)の30%持分を取得して、同社と資本業務提携を締結するなどしています。中計に掲げる営業利益115億円という水準自体は、2018年度に105億円を叩き出していたことを踏まえれば実現可能な水準であるほか、前回中計も超過達成したことから、蓋然性はそれなりに高いものと考えています。

 

なお、株主還元に関しては配当性向30%(ROE7%)を基準としており、今期は据置の年27円配当を予想しています。ただ当社は実質無借金であるとともに、200億円を超える膨大な投資有価証券を保有しており、財務も盤石であることから、引き続き増配基調の継続とスポットの自社株買いに期待していきたいと考えます。特に今期からはDOE2%基準と(減配しない)累進配当を還元ポリシーに加えたので、従来よりは踏み込んだ還元がなされるものと考えています。

 

*参考記事① 2020-10-22 1,022円 OP

【3201】日本毛織/フジコー株式の3割超を取得、相次ぐ買収で業容拡大意欲は強い。

 

*参考記事② 2020-04-02  931円 OP

【3201】日本毛織/本業順調だが、MAや株式取得による“インオーガニック”成長期待も強い。

 

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