【3201】日本毛織/本業順調だが、MAや株式取得による“インオーガニック”成長期待も強い。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3201】日本毛織 (東証1部) OP

現在値 931円/100株 PER11.8 PBR0.74 5月配当優待 11月配当優待

羊毛紡織の有力会社だが、利益柱は商業施設賃貸。介護・売電も展開。
配当は5月末・11月末の年2回・合計26円配当のため、配当利回りは2.79%となります。

ニッケは株主優待制度を導入しており、5月末・11月末に単元株を保有する株主に対し、500円分のクオカードを進呈しておりますので、配当優待利回りは約3.86%となります。

業績を確認していきます。 
■2016年11月期 売上高 1,009億円、営業利益 76億円、EPS 67.8円
■2017年11月期 売上高 1,034億円、営業利益 83億円、EPS 71.5円

■2018年11月期 売上高 1,105億円、営業利益 83億円、EPS 72.2円

■2019年11月期 売上高 1,264億円、営業利益 104億円、EPS 89.7円

■2020年11月期 売上高 1,100億円、営業利益 87億円、EPS 77.4円 ce
□2020年5月2Q 売上高 550億円、営業利益 38億円、EPS 37.1円 四e 

 

2019年11月期の売上高は前期比14.4%増の1,260億円、営業利益は同25.1%増の104億円となり、3Q時点での増額予算を更に上回って着地し、2桁幅の増収増益となりました。衣料繊維事業に関しては、羊毛原材料高騰を原因とした原価増と学校制服の低調で苦戦していたものの、期末にかけて五輪を契機とした企業制服の更新需要が膨らんで増益を確保しました。また、産業機材事業についても前期に連結化した産業商社のエミーの通期稼働効果にくわえ、車載向け電装のFA装置や環境用フィルターが好調に推移し、不動産関連事業についても、「コルトンプラザ(市川)」と「パークタウン(加古川)」の改装効果が継続したほか、介護分野も入居者の増加が寄与しました。結果、衣類繊維事業のみセグメント減収(増益)となったものの、それ以外のセグメントは全て増収増益を確保したため、全社的に非常に力強い着地となりました。


進行期である2020年11月期の通期予算については、売上高が13.0%減の1,100億円、営業利益は16.9%減の87億円と一転して2桁の減収減益を見込んでいます。衣料繊維事業については学生服生地の値上げやデジタルによる業務効率化により増益を予想する一方、産業機材事業はエミー買収による販路拡大やEV/自動運転の市場拡大が引き続き見込まれるものの、好調反動により一服を見込んでいます。また、利益柱の不動産関連事業についても、実績期で計上した建設工事の大型案件や販売用不動産の売却益が剥落するため同セグメントは大幅な減収減益となる見通しであり、(元より当社は保守的なガイダンスを出す傾向にはあるものの、)全社業績は大きくする見立てをしています。


当社は実績期である2019年11月期を最終年度とする中計「NR130一次中計」において、計画期間である3年間で売上高を1,200億円(CAGR6%)、営業利益を90億円(CAGR6%)まで持っていく計画を立てていましたが、無事に超過達成となりました。祖業の衣料繊維事業は販売・原価両面で苦戦気味であるものの、産業機材事業におけるFA機器の活況や、加古川・市川の2大商業施設の改装効果想定超でこれらが業績を底上げした要素が大きいため、セグメント毎の仕上がりにやや濃淡があるものの、概ね評価出来る内容であったと判断しています。

 

なお新中計については、終了した3年中計の検証に時間を充てるため、1年間のインターバルを置くこととしており、今2020年11月期については中計の対象外期間となります。かような状況ではあるものの、本年2月には福井の合成繊維製品販売会社である第一織物(年商22億円、経常利益2.2億円)の70%持分を取得しているため、翌2021年11月期からの新中計期間からフル寄与する見通しです。この第一織物のほかにも、毛織物染色大手であるソトー(3571)の株式買い集め(8.3%)や、昨年4月には医療系消耗品の開発・販売を行う京都医療設計(年商65億円、経常利益1.2億円)の株式を8割取得して連結子会社に収めるなどしており、MAや株式取得によるインオーガニックな外部成長戦略を進めているため、こうした“飛び道具”による成長も期待出来ます。

 

なお、株主還元に関しては配当性向30%(ROE7%)を基準としており、今期は据置の年26円配当を予想しています。ただ当社は実質無借金であるとともに、210億円を超える膨大な投資有価証券を保有しており、財務も盤石であることから、引き続き増配基調の継続とスポットの自社株買いに期待していきたいと思います。

 

*参考記事① 2019-10-16 1,077円 OP

一次中計は超過確実圏、興味は次期中計へシフト・日本毛織(3201)。

 

*参考記事② 2019-03-14 930円 OP

3年中計の達成見込を公表、更なる配当積み増しに期待・日本毛織(3201)。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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